ジーン・ニー・アッシュとの出会い
千文字制限悪役令嬢もの第五話です。
「投稿する」と心の中で思ったならッ!
その時すでに行動は終わってるんだッ!
というわけでショタっ子登場の第五話、お楽しみください。
「次の授業は屋外での描画ね」
「良いお天気ですから、気持ちよさそうですね」
あぁウィニーは今日も可愛い。キラキラしてる。
「この辺りにしましょうか」
「この樹を中心に風景を描く感じですね」
「えぇ」
暖かい陽射しに包まれ、ウィニーとお喋りをしながら絵を描く! 最っ高ね! 絵画担当に家から褒賞を出させようかしら。
「ったわっ!」
「!?」
樹から何か落ちてきた!? 咄嗟にウィニーの前に立つ!
「ってて……」
……男、の子? この学園に初等部はないはず……?
「あ、びっくりした? 僕ジーン・ニー・アッシュ。木の上で寝てたら落ちちゃったんだー」
その名前に聞き覚えがある。本来十五歳にならないと受験できないエイムハイン学園の伝統を破った、十一歳の天才少年。あまりの理解の早さに、授業免除となる程に……。
「おねーさん達、何してるの?」
「え、あの、風景画を……」
「へー。僕もやるー」
ウィニーから画材を取ろうとするジーン。子爵家の末っ子で天才と持てはやされたら、我儘に育つものね。
「あの、ちょっと……!」
「やーらーしーてー!」
「やめなさい」
鋭くした私の言葉にジーンが止まる。
「やりたいなら道具は自分で取ってくるべきよ。あそこの教師に言えば貰えるわ」
「何で僕がー」
「自分のやりたい事をするのに、自分が動くのは当然だわ。それとも、何もかもしてもらわないと出来ない赤ちゃんかしら?」
「……僕は赤ちゃんじゃない」
憮然としながらも取りに行くジーン。甘やかされた子そのものね。昔の私みたい。でも素直なのは良いわ。
「モリシャス様、ありがとうございます」
「良いのよ。さ、描きましょ」
少しするとジーンが戻ってきた。
「……貰った」
「自分で出来たのね。偉いわ。さ、座って」
「……子ども扱いするな」
あら、誇りを傷つけたかしら。
「違うわ。責務を果たした立派な同級生に、一緒に絵を描いて欲しいのよ」
「!」
拗ねた顔がばぁっと明るくなる。
「誘われたならしょーがないなー! 一緒に描いてやるよ!」
「まぁ」
ウィニーがジーンを見て笑ってる。私に向けるのとは違う、緊張のない笑顔。可愛い。
ウィニーは子ども好きそうね。ジーンは母性本能くすぐりそう。少しお子様だけど素直だし、子爵家で天才少年とあれば将来有望かも。
「描き上がったら見せ合いましょう」
「僕一番に完成させるー」
「早さは競わなくて良いのよ」
最初に思ってたのと少し違ったけど、ウィニーの新しい顔も見れたし、素晴らしい一日だったわ!
読了ありがとうございました。
年齢、どれくらいがショタになるんでしょう。難しい塩梅です。どなたか詳しい方教えてください。
さぁ折り返しも超えました。あと三話!
大人しい系女性キャラ登場の第六話をお楽しみに!