ハンス・アーム・カインドネスとの出会い
千文字制限悪役令嬢もの第二話です。
評価も反応も気にせず連投する身勝手をお許しください。
今回は王子様が出ます。そして話の方向性も概ね固まります。
どうぞ広い心でお楽しみください。
さぁ! 午前の授業は終わったわ! ウィニーの手作りお弁当が私を待っている!
「テンペルド様、どこで昼食にいたしましょう?」
「今日は天気も良いし、テラスに行きましょうか」
「はい!」
あぁ可愛い。もう可愛い。私には兄しかいないけど、妹がいたらこんな感じなのかしら。
「おや、テンペルド公爵令嬢にウィニー嬢。ご機嫌麗しゅう」
「これはハンス殿下。ご機嫌よう」
「は、はわわ! で、殿下! ご機嫌よう!」
廊下で出会ったのはハンス・アーム・カインドネス殿下。この国の国王の第一子、つまり王子様。
顔良し、頭良し、将来性良しの三拍子揃った、学園中の女生徒の憧れの的だ。
かく言う私も入学前は、王子を籠絡して玉の輿、なんて目論んでいたけど。
「あの、えっと、きょ、今日は、良いお天気ですねっ!」
「えぇ、本当に」
王子を前にしてあわあわする可愛いウィニーと微笑むハンス。意外と脈はあるのかしら? それなら一つ。
「ハンス殿下もこれから昼食でしょうか」
「えぇ」
「よろしければご一緒しませんか? ウィニーがお弁当を作って来てくれているのです」
「て、テンペルド様!?」
「それは良い。是非ご一緒させてください」
「ひああ……」
良し。まずは好感触。ウィニーに幸せになってもらうには、良いパートナーは必須。勿論ウィニーの意思が最優先だけど、その選択肢を増やすくらいのお節介はありよね。
「さ、行きましょうウィニー」
「あ、あの、私のお弁当なんかを、殿下に……」
「心を込めて作った料理には、妙なる味が宿ると聞きます。ウィニー嬢、自信を持って」
「は、はいっ!」
やるじゃない王子様。流石王族は気の配り方も優雅ね。
「美味しいわウィニー!」
「ほ、本当ですか!?」
「えぇ、実に美味しい。味付けには相当工夫をされてますね」
「あ、ありがとうございますっ!」
ウィニーが作ったという嬉しさを差し引いても、これは本当に美味しい。ハンスも満足そう。
「ウィニーも食べて」
「はい、いただきます!」
あぁ、満足げに頬張る姿も可愛い……。
あら? 王子のお付きが果物を運んできたわ。あら高級品。
「で、殿下、これは……」
「お二人のお弁当を頂いてしまったのでね。お詫びとお礼を兼ねて」
さっきお付きに声をかけてたのは、昼食のキャンセルだけじゃなかったのね。果物ならお弁当との比較は出来ないから、ウィニーも傷付けない。やるわね。
「あ、ありがとう、ございます……」
頬を染めるウィニー。よーし、私応援しちゃうからね!
読了ありがとうございました。
ガールズラブを期待した方、ごめんなさい。書けませんよあんな難ジャンル。
世話焼きおばちゃんと化したモリシャスが、ウィニーを愛でながら色々頑張るお話になります。期待してたのと違うって方は、その熱い思いを創作にぶつけてください。読みに伺います。
まだ付き合うと言ってくださる奇特な方は、不器用お兄様が登場する第三話をよろしくお願いいたします。