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俺が死ぬかは君次第  作者: 司馬えい
2/6

第2話 心は信用とともに

お久しぶりです。再投稿です。


 出てきた美梨に続く人物に、視線を向けると、車に轢かれたかのような衝撃が走った。


 想像通りだったのかもしれない。


 そこにいたのだ。



「えーっ悠ちゃん、もう帰っちゃうの?もっとしようよ!」



ーーおい…ゆ、悠ちゃんって。嘘だろ?ーー



「流石にもう帰んねぇと親に怒られるから。だから、悪いけどまた今度な」



ーー美梨、お前はほんとに宮田とーー



「えー、じゃあ、来週の土日お父さんが出張でいないから……ね?」



「しょうがねぇな。そんな美梨のために、泊まれるよう親を説得するわ。そんじゃあ土日は一晩中だな」



ーー美梨…これ、現実なのか?ーー


 あぁ俺の中で、何かにヒビが入っていく。



「うんっ!いっぱいしよっ!あっ避妊はしてね」



「おいおい美梨、そんなノリノリでいいんか?滝島は大丈夫か?」



ーー仲良さげに名前まで呼んで…ーー


 俺の中で、何かが壊れ始める。



「もうっ!心配しないで。翔ちゃんは、鈍いから大丈夫っ!それに、最近はちゃんと誤魔化せてるはず!」



ーーや、やめろぉっーー


 俺の中で、何かが崩れていく。



「そうだな。あいつほんとチョロいな」



「翔ちゃんのこと、そんなふうに言わないでよ。一応私の彼氏なんだから…もうっ!」



「そんなに怒んなって。でもさぁ、あいつ彼氏なのに全然美梨に手出してこないじゃん」



ーーえ、なんだよ…手出して良かったのかよーー



「う、うん…翔ちゃんは優しくて、ほんとに大好きだけど。でも、優しいだけじゃあ」


 美梨は、濡れて艶やかになった唇を開いた。そしてとどめを刺すように一言。



「全然足りないのっ」



 その瞬間、俺の中で、何もかも崩れ去っていった。



『うわぁあああああああぁああああぁああああああぁあ!!!宮田ぁああぁああぁああぁあぁああっっっ!!!』



 俺は宮田を殺す気で殴りかかる。


 …宮田の体をすり抜けた。



ーーえっ、あれっ?なんで?す、すり抜けた?ーー





「んっ?」



「悠ちゃんどうしたの?」



「いや。なんか今滝島の声しなかったか?」



「え、嘘?翔ちゃんの?私たちの声しか聞こえないけど…な、何?」



ーーなんで、これじゃあ宮田をーー


 ふと、俺は自分の手をみると、



「悪い。気のせいだったわ」



「もうっ!びっくりさせないでよっ!」



ーーはっ?何これ…ーー


 俺は恐る恐るその手を街灯にかざしてみる。

 すると、街灯の光は手に遮られずに透過して目に入って来た。


ーーど、どういうことだ?ーー


 俺は自分の体を確認し、最後に足元を見ると…



ーーえっ、ない…ーー


 俺を照らすその光は、俺の影を映してしなかった。


 俺の体は透けていたのだ。


 俺は思わず顔を俯けて両手で頭を掻きむしり、心当たりを探った。



「あぁ悪いって。そういやぁ、さっき携帯で見たんだけどさぁ。ちょっと前にここらへんで交通事故が起きたってよ」



「や、やめてよ。怖いって。」



 俺は顔をあげ、全てを思い出した。



ーーあぁ、そうだったーー



「びびることないだろ。なんでも、高校生くらいのやつが子供を庇って車に轢かれたらしいぜ。」



「へー。そうなんだ。すごいねその人っ!」



 その瞬間俺の頭の中に、ある記憶が流れ込んで来た。

 そして何度も、何度も、何度も、何度も繰り返された。


 怯える子供を押しのける。

 目が痛くなるほどの眩しい光が視界を覆い尽くす。

 そして、全てが終わったかのように、

 激しい衝撃と共に視界が暗転した。


 そんな記憶が繰り返される。



ーーそうだ。俺、飛び出してきた子供庇って車に轢かれたんだったーー



 頭の中で繰り返される記憶に耐えきれず、俺はその場に座り込んでしまった。



ーーうぐぅっ!くそっ!2人が目の前にいるのに何にもできじゃねぇかっ!ーー


 俺は悔しさのあまり、手の爪が皮を剥がしてしまいそうなくらい強く、血がでるくらい強く、拳を握りしめた。



「まぁいいや。とりあえず俺と美梨の関係は内緒な」



「うんっ!翔ちゃんだけには知られないようにしないとっ。あっ!翔ちゃんのメール返さないと」



ーーもう知っちゃったよ。くそがっ!……見損なったよ美梨…ーー



 雪が再び酷くなった。雪がどんどん積もっていく。


ーーこれから俺は、どうなるんだーー



 俺は、終わりそうに無い混乱へと落ちていき…



『あああぁああぁああぁあああぁああっっっ!!!』



 2人は最後にキスを交わし、俺の心はズタズタに崩れ去った。


 こうして2人は俺にとって最悪な逢瀬を終えた。


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― 新着の感想 ―
[一言] 死ね人型ゴミ共
[一言] 再開お待ちしておりました。宮田と美梨にざまぁを。
[良い点] 更新再開おめでとうございます!
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