毎日はちょっと・・・
「ふぉれにしれも何らったんれしょうか?」
スプーンの取っ手を握りこむように持ち夕飯のオムライスを口一杯に頬張るコリン。頬を膨らませてモグモグしている姿はハムスターのようで愛らしかった。異世界の食べ物にまるで警戒しないあたり不安ではあるが、そこは俺を信用してくれているのだろうか?
「さぁな、でも早いうちに解決しなきゃいけないことだし夕飯食い終わったら開けるぞ。」
「ふぁい。」
なんとも緊張感のない返事に俺は肩の力が抜ける。出会って二日とは思えない程だ。
口の周りにケチャップライスをくっつけながらオムライスの断面を覗き込む彼女。コリンの住む森ではまず考えられない色の食事なのだという。緑あふれる森の中ではオムライスは色彩の暴力だろう。
「それにしてもこれはなんという料理なのですか?」
「ん?これ?オムライスだけど、口に合わなかったかな?」
結構な自信作だったのだがやはり味の感じ方も現実世界の人間とは異なるのだろうか。彼女はスプーンの先で皿の上を転がるグリンピースをつつくと、
「こんなおいしい料理初めて食べました!おむらいすというのですね!」
なんと好印象だった。彼女曰く向こうの世界では卵は高級品で貴族のように裕福でないと食べられない代物だったらしい。コリン自身卵を食べるのも初めてだという。
「毎日これでも、飽きまふぇん。」
「毎日オムライスは流石に飽きるぞぉ・・・。」
俺とコリンは顔を合わせて笑い合う。お互いが初めて見せた飾らない笑顔だった。