罪悪感の速度はF1級
俺はその後もコリンのことを聞き続けた。
歳は・・・怖くて聞けていないが、見た目からして俺と同じかそれより少し幼いぐらいで身長も150cmくらいだろうか。ただ女性の武器は健やかに育っており、独特なあしらいのされた民族衣は胸元が割と大きく開いていることから、たわわに実った果実は煌々と存在感を放っていた。うん、普通にデカい。
「よし、わかった。とりあえず・・・」
「・・・はい?」
何をわかったか言えと言われてもおそらく答えられないが、何となくわかった。
一時の間、立ち上がる俺。室内の照明が頭上から降る形になり俺の前半身は黒い影に覆われる。目の前に座るエルフからしたら得体のしれない凄みが感じられたのかもしれない。
「とりあえず、帰れるか試してみよう。」
「へ?」
次の瞬間俺は彼女の頭を電子レンジに突っ込んでいた。
「いたたたたたたた!!」
「大丈夫!痛くない!」
「いやいや!何言ってるんですか!?この状況見えてますか!?」
ひどい絵面だ。
我ながら無茶無謀なのは自覚している。だがしかし、人の頭がギリギリ入るかどうかの調理器具の中に人の頭を押し込んでいるんだ、これを目撃された場合、何て言い訳をしても法に裁かれてしまいそうだ。
「一旦抜いてください!どう見ても無理でしょう!」
「今どきの若い者はそうやってすぐ諦めようとする!気持ちの問題だ!お前ならやれる!」
「あなたオーガーですか!?」
ガタンガタンと暴れまわる電子レンジ、これ以上突っ込まれてなるものかという彼女の必死の抵抗もさることながら、俺も目の前でジタバタしてる女の子の頭を掴んで電子レンジに無理やり突っ込むのは流石にやばいと思ったのか罪悪感が猛スピードで押し寄せてきた。
「ごめん。俺も突然のことでテンパってて・・・。」
「気が動転していたのは私も同じです。それでもこれはやりすぎですよ!」
いつのまにやら俺は彼女の前で正座をする羽目になってしまった。腕を組み頬を膨らませるエルフの女の子というのも悪くないなと顔が綻ぶのも束の間。俺は説教をされているのだ。叱責は甘んじて受け入れる。
「・・・まあ、それはいいとして。私ちゃんと元の世界に帰れるのでしょうか?」
「どうだろうな。」
「あなた、人の頭をあれだけぞんざいに扱っておきながら・・・」
それはごめんなさい。と平謝るしかない。