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入り口は→電子レンジ  作者: 桐生 甲斐
第一章
19/20

エルフにとって家系の油は猛毒

「うぅ~~~」


 夜も22時に差し掛かり早い人であれば床に就くであろう時間帯に、一人のエルフのうめき声が響く。


「そりゃ、家系ラーメンにオムライスを一日に食べりゃこうなるか。」


食文化が何もかも違うこの世界では森のエルフにとって、家系ラーメン(固め・濃いめ・多め)の「大量の油」と、鮮やかな色彩の暴力「オムライス」を胃袋に詰め込めば、繊細な胃袋が悲鳴を上げるのも仕方がない。



掌を握りしめ、肩を震わせていたのは、単に「我慢」をしていたのであって俺の勘違いだったのだ。

少し時間を待ち、げっそりとしたコリンが力ない足取りで戻ってくる。


「毒を・・・盛りましたね?」

「人聞きの悪い事を言うな。」


人を疑うという事はできるようだ。だが、心外にも程がある。

家系ラーメンには体に合う・合わないがある。エルフの胃袋に一発で適合できる家系ラーメンがあるなら、それは決して家系ラーメンと謳ってはいけないだろう。


「そういえば、話を遮ってしまいましたね、言いかけていたことは何だったんですか?」


 コリンは掌でお腹をさすりながら俺に向き直る。


「実は俺、このレンジを買った日の夜に不思議な夢を見たんだよ。」

「夢ですか?」

「ああ、森の中を歩いていたら―」


俺は自分が見た夢の話を、覚えている限り全部話した。コリンが経験した事柄と類似点があったことも添えて。


「”夢”が関係しているという事でしょうか?」

「おそらくな。」


様々な要因が重なり合っているという事は想像に難くない。けれど「ひとりでに動いた」ということは要因の一つであって、たったそれだけのことが異世界から人を召喚する全ての条件を内包しているわけではないと思われる。


「ひとまず今日はこの辺にして、また明日色々と考えてみないか?」

「そうですね・・・。私も今日は久しく夜更かしをしてしまいました。」


エルフの生活リズムはわからないが夜22時はおそらくエルフの世界では夜中になるのだろう。


俺とコリンは各々布団を部屋の対角線上に敷き就寝の準備をする。

女の子と二人きりで寝泊まりをしているという現状に俺が気づきドギマギするのは、まだもう少し先の話だ。


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