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入り口は→電子レンジ  作者: 桐生 甲斐
第一章
14/20

使えるなら普通に使うけども

その電子レンジは“白”だったはずだ。梱包する瞬間を俺自身も見ていた。

が、眼前のそれはまさしく”黒”だった。


「あれ?おっかしいなぁ」


拭えない違和感が喉元にこびりつく。人間とは自分の記憶と現実に相違があると自分の記憶を疑うものだ。みるみるうちに俺は自分の記憶を信じられなくなってくる。


 俺は段ボールからレンジを取り出し、電源をつなぐ。

問題は使えるのかという所であって、色は問題ではない。

メーカー名の位置も、ダイヤルの場所やW数の表記も俺の記憶と相違がない。あるのは色だけ。


 俺はゆっくりと扉を開け、冷凍チャーハンを入れる。ダイアルを1分半にセットしスタートボタンを押すと聴き馴染みのある起動音と共に中の照明が点灯し、チャーハンはグルリと回転を始める。


「ま、使えるならいいか」


 俺は数秒レンジの中の様子を見て、無事に作動したことを確認し、部屋の隅に置いていた

段ボールを抱えてゴミ捨て場に持っていく。明日が丁度ごみの日でよかった。


ごみを出し終え軽快に階段を上って自分の部屋の扉を開ける。

チン! と小気味のいい音を響かせてチャーハンが出来上がる。文明の利器万歳。


 扉を開け、チャーハンを取り出す。あけ口から横に割くように開け皿に移す。

緩やかに立ち上る湯気に頬を緩ませチャーハンを口に運ぶ。


「うん。普通に食えるな。」


問題なく使えた。なら、色の違いはさほど気にかけることもあるまい。

そもそもまたこれを電気屋に持っていくのも面倒だったし。今日は少し早めに休むとしよう。


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