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入り口は→電子レンジ  作者: 桐生 甲斐
第一章
13/20

帰路にkg

家までの帰路、電子レンジを抱えて帰ることを選択した自分に後悔していた。

軽い訳でもなければ、重たすぎることもない電子レンジは“煩わしさ”の塊でもあった。


「それにしても店主のあの顔・・・、何だったんだろう」


 俺に向けた得体のしれないあの視線。何かを伝えることを躊躇したような、それでいてそれを諦めたようなそんな視線だった。


まだ冬の気配を残す涼しい風が耳の横をスルリと通り抜けていく。斜め下に映るぼんやりとした影は、消えてしまいそうな頼りなさを残したままゆっくりと俺の足元に付いてきていた。


「とりあえず家着いたら荷解き終わらせて飯だな。」


俺は家に着くと電子レンジの置き場所を確保してから衣類などの整理を再開した。


荷解きを終え窓の外に目をやると柔らかな西日が差しこんでいることに気づいた。


「もうこんな時間か・・・」


ビニール紐でくくった段ボールたちを部屋の隅に追いやり、部屋の真ん中に置いたちゃぶ台の前に腰を落とし一息つく。意外と大変だな引っ越しって。


「晩飯にはまだ早いけど小腹も空いたし何か食べよう」


お湯を沸かすのを億劫に感じた俺は電子レンジでの調理を試みる。

持って帰ってきてから手を付けていなかった電子レンジの段ボールに手をかけたその時、異変に気付く。


「あれ?この電子レンジって”黒”だったっけ?」


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