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入り口は→電子レンジ  作者: 桐生 甲斐
第一章
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その箱から手が生えてるってよ

人間は本当に驚いたとき思考が止まるものだ、ということを齢18で知ることになった。


みんなは“電子レンジ”という機械をこれまでの人生のうちで利用したことはあるだろうか?

“電子レンジ”とは強烈な電磁波によって水分を含んだ食品を短時間で発熱させることができる調理器具の一種である。

 そう、調理器具のはずだ・・・。


 今、俺の眼前に広がる光景を「滑稽な冗談だ」「疲れからくる幻だ」と思うなら、ぜひ俺に代わってこの事実を体験してほしい。これはまごうことなき現実なのだ。


「電子レンジから手が生えてるぅぅぅぅぅ!」


 げに恐ろしきかな。

湖の水面を思わせる白く透き通ったきれいな肌だと思ったのはほんの一瞬だった。

“一瞬”というのは今現在起こっている事象に由来していることは前述の通りだ。

 昨日、町の電気屋で安く売られていた電子レンジを購入したことから全ては始まったのだと、宙を掴まんと動く五指を目の当たりにしながら俺は腰を抜かしていた。


「えっ!?ナニコレ? 何が起きればこんな事になるの!?」


 動いているということは死体じゃない。問題はそこじゃない。この異彩を放つ調理器具に感じる違和感と不気味さは計り知れなかった。ただ何が不気味かと問われたならばそれは、『“電子レンジ”から右腕だけしか出てきていないから』という解答が最適解であろう。


「中ってどうなってんだ・・・?」


 ジタバタと暴れる“右腕”を避けながら恐る恐る中を覗き込む。黒や白、紫といった色彩たちをグルグルにして閉じ込めたような穴から腕が生えているといった光景がそこにはあった。


「どういう原理ぃぃぃぃぃ!?」


 東京は世田谷区、喧噪という言葉の良く似合う若者の街『渋谷』を近くに臨むも、それらとかけ離れた閑静な住宅地が併存する街。

 その街のとあるアパートの一室、日も傾き蛍の光が町中に流れる夕方時に一人の男の叫び声が六畳一間に木霊していた。


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