今宵、素敵なダイオキシンを。
どうも。お久しぶりです。執筆中の作品がまだ書き終わっておりません。
なんとなく思いついたぽっと出の作品を優先してしまいました。
読んでやってください。
「僕やればできるから」
隣で虫けらが言った。煩わしい。まことに不愉快だ。
なぜこうも生き恥をさらし続けられるのだろうか。なぜ生きている。
口には出さないそんな言葉が頭の中を駆け巡る。
「それを俺に言ったところで仕方がないだろう。」
虫けらに返答してやる。会話を成り立たせてやった。
「お前さ、もう少し心を込めて会話をしろよ。最近冷たいんじゃないか?湿っぽい顔してさ。」
虫けらの分際で苦言を呈するとは。実に低俗だ。
虫けらごときの、至極どうでもいい話題に返答してやったというのに。
それも心を込めて。
「俺が何かを言ったところで、今回のテストの結果は変わらないだろう。」
「それはそうなんだけどさ。次回のテストに本気で取り組めるかもしれないじゃないか。」
「言葉一つで変わるのなら、はなからそんな点数など取りはしないだろう。」
全教科赤点など。
先日行われた、直接進路にかかわるテストの話だ。
俺は全教科満点。当然の結果だ。次元が違うのだから。
くだらない教育課程の寄せ集めなどには興味がない。役不足にもほどがある。
受けてやっただけでもむせび泣きながら、感謝状の一つや二つ持ってきてもよいくらいなのだ。
そんな、簡単というのもおこがましいくらい簡単なテストで赤点をとるのは、いかに頭の悪いゴミであっても不可能に近いと思っていたのだが、現実はそうではないらしかった。
生物として恥ずかしくはないのだろうか。などと心配までしてやった。
想像もつかないが、俺なら生まれる前に死を選んでいるかもしれない。
おもむろに席を立った。虫けらがまだ隣で何かをわめいていたが知ったことではない。
虫けらとしての本分を全うしているのだから、放っておけばよいのだ。
帰り道。町はゴミであふれかえっている。すべて焼却できればこれ以上ないのだが、いかんせんゴミによって作られたルールで禁止されている。ゴミが作るのだからゴミを守るものになるのは必然なのだろう。
「おかえり」
帰ると奥から声が聞こえた。母親とやらを自称するゴミの声だ。
どうやら俺の世話を、小さいころからやっていたようだがそんなことは記憶にない。
今度は言葉を返さずに自室に飛び込んだ。
ゆっくりと何かが満たされていく感覚。俺が俺であるために必要なものだ。
人間はもうこの世にはいない。もはやこの星には、ゴミや虫けらがいるばかりだ。
くだらない話をして、くだらない媚びを売って。死んだ生き方をしているゴミでいっぱいなのだ。
もとより狂っている。この世界は。
人間というものを求めて泣いた日は遠い。地平線のかなたで未だ震えているのだろうか。
だがもう届かない。見えない。もしかすると記憶にもないことなのかもしれない。
ゴミか否かを決めるのは俺。
暗いこの星に光を与えて、そしてそこに存在するものがゴミかを決める。
過剰サービスな太陽だ。他の恒星がゴミにも思えてくる。巨大なスペースデブリといったところだろうか。
窓から覗く空は燃えるような赤をたたえていた。
意図せず目に入った太陽が大きく傾いていることに気づく。
いや、気づいたのは今ではないのだろう。
かたくななまでに、西にしか沈まない太陽は杓子定規的にすら見えた。
室温がぐんぐんと上がっていく。目の前が真っ赤に燃え始めた。
いよいよ扉をたたく音が聞こえる。
待ち侘びた正客に、俺のこころは躍っていた。
少し暗い雰囲気です。まあ、毎度のことなのですが。
明るい作品は執筆がなかなか進みません。山あれば谷ありなんて出まかせです。
下ったら、じめじめした谷の底から抜け出せなくなってしまいました。
まあ、冗談はさておき。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
良ければまた立ち寄ってくださいませ。
では。