真夏の実験
夏は実験の季節である。
子供も、大人も・・・
また、それを証明するように隣国でも、いろいろな実験が行われるのだった。
今日は毎年恒例の海水浴。
場所は大島。
でも、伊豆ではない。
愛知県の大島、蒲郡市にある。
この時期、今話題の竹島水族館の近くから船が出る。
片道600円、三河湾の無人島だ。
メンバーはというと、T自動車を支える大手部品メーカ(Dではない方)の
アラフォー男、6人。
日ごろ、電子制御装置のハード・ソフトの開発を行っている。
今日は、たまの骨休みのつもりだったが・・・
俺は一つのテーマを持って、この海水浴にのぞんだ。
危機感からだった。
俺は、クラーボックスから出して放置していたモノを取り上げた。
冷凍食品のから揚げ。
それをみんなに差し出す。
すでにビールを飲み始めている。
酒の肴だ。
「美味しいじゃん」
「悪くないね~」
「これで、冷凍?」
主婦の方々には当たり前だが、
冷凍食品の美味しさは一般男性に認知されていない。
今日は自然解凍タイプのモノだが、本当は・・・
その前に、何が危機だって?と言うだろう。
皆さんは、実感していないだろうか。
バーベキューができるエリアが減っていることを。
この海水浴場も数年前はBBQが可能だったが、
今は禁止になってしまった。
だからだ。
だから、冷凍食品を代替にしようという提案だ。
みんなの様子を見ると、成果は順調のようだ。
でも、何が実験?
もう終わっている?
いや、そうではない。
本当は自然解凍以外の冷凍食品も食べたいのだ。
チャーハンとか餃子、麺類とか。
アイデア商品を使って。
つまり、火や電気を使えない海水浴場や公園で、
冷凍食品を解凍するアイデア商品を開発しようというのだ。
需要はある。
大儲けの予感がする。
実験する価値があると断言する。
まずは・・・
太陽光を吸収する黒のビニール袋でくるんで・・・
レンズで太陽を集めて、発熱されて・・・
と考える人は多いだろう。
この素人らが、と俺は鼻で笑ってしまう。
そんなアイデア面白くない。
俺の構想を紹介しよう。
PV=NRT
ボイルーシャルルの法則だ。
ボイルって茹でるんじゃないぞ、人名。
空気を圧縮して、熱を出そうと言う寸法さ。
冷蔵庫の逆、空気を減圧して、冷却するのは知っているかな。
知らない?って、毎日冷蔵庫を使っているのに。
冷蔵庫さんに謝るべきだ。
人力を使って、空気を圧縮、発熱、
それで冷凍食品を解凍。
カルノーサイクルのように、このサイクルが浮かんだ。
「おい、ちょっと日焼け止めオイル塗ってくれ」
友人の言葉に俺はハッとした。
俺は彼のサンオイルを受け取る。
そして、彼の背の左側からオイルを塗り始めた。
ピーン、と来た。
実験だ。
俺は振り返り、別の友人に声をかける。
「ちょっと、オイル貸してくれ」
受け取ったオイルを背中の真ん中に塗る。
それから、俺のオイルを取り出し、左側へ。
つまり、日焼け止めオイルの効果実験だ。
俺は思わず笑みをこぼした。
帰りに彼の背中が、3段階に分かれて日焼けしていることを想像して。
日焼け止めオイルの実験はしてみましたが、
結果はよく分かりませんでした。
来年あたり、日焼けペンが発売されると想像します。
オイルを塗った後に、ペンで描くと、
文字や絵が浮き出る。
インスタ映えしそう~