42.『最終兵器彼女』
前回はおすすめのSFに、実写映画の『バタフライ・エフェクト』を挙げた。
なので今回はアニメ作品のおすすめSFを紹介しようと思う。
これもご存知の方は多いかもしれないが、サブタイトルにもあるように今回紹介する作品は……
『最終兵器彼女』
これは1999年に発表された漫画を原作として、2002年に公開された全13話のアニメ作品だ。
本作は漫画、アニメ、OVA、実写映画と展開しており、作品ごとにラストが異なるのも作品の魅力の一つ。
今回筆者が何故この作品をおすすめするのか。
それは、作品に登場する人物の感情にリアリティを感じたからだ。
【あらすじ】
北海道のある街で暮らすシュウジとちせ。ちせは以前から好意を抱いていたシュウジに告白、そのぎこちない交際は交換日記から始まり、二人は静かに愛を深めていく。
しかし、ある日、謎の「敵」に街が空襲される。戦火から逃げるシュウジが見たのは、腕を巨大な武器に変え、背から鋼鉄の羽根を生やし「最終兵器」と化して敵と戦うちせの姿であった。
戦争が激化していくにつれ、ちせは力が暴走していき、肉体も精神も人間とはほど遠いものとなっていく。
壊れていく世界。壊れていく愛。シュウジはちせを連れて街を出る。
ラストシーンは、原作版・アニメ版・映画版ともに全く違う内容である。
――Wikipediaより引用
彼らの間に描かれるはずだった儚い恋模様は、降り注ぐ戦火の中でいずれ交差していき、愛する者、愛される者は遠く手の届かない所へといってしまう。
彼らはお互いに拠り所を求めて身を寄せ合った。それぞれの心に宿る本当に愛する者の残像を残したまま。
これは、至って普通の学校生活を送るはずだった高校生達の日常に、突如として訪れた謎の敵との戦いを描いたSFアニメーションである。
筆者はあらゆる作品の中でも、人の"感情"が丁寧に描かれた作品が好きだ。
人の心というのは決して綺麗では無いし、とても弱い。
それでも必死で人は自分を取り繕って生きているのだ。
時には重大な決断を迫られる事もあるだろう。それは人生を左右する事であったり、他人の人生を変えるきっかけになるかもしれないし、死と引き換えにする事かもしれない。
そしてその決断は人の心にはあまりにも重い物で、耐え切れずに挫折してしまう人、心を壊してしまう人だっているはずだ。
恐らくだが、ノンフィクション以外のアニメや映画などのエンターテイメント作品で、人の感情を完璧に再現して作品を作ることはとてつもなく難しいと思う。
今回はアニメに焦点を当てるが、世にあるアニメ作品は綺麗事や都合の良い演出が殆どであり、それはエンターテイメント作品として人を楽しませる事に特化しているからこそ成り立っている。もし仮に、数あるアニメの演出をより人の感情に近づけたら、とても醜い作品になって恐らく物語が成り立たないだろう。
この作品には"彼女"が"最終兵器"というとんでも設定でこそあるが、作中に描かれる人物の感情表現はとても丁寧に描かれており、筆者にはその残酷で美しい世界が魅力的に感じられた。
今週は二つの作品を紹介した。
もし気になった方がいたら、明日からの休日に作品を観てみては如何だろうか。
賛否両論あるかとは思うが、もし作品を観て頂けた人が居たら、感想欄で知らせてもらえると嬉しく思う。
それではまた来週!
来週は平日朝8時に更新します。




