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悪役は二度目も悪名を轟かせろ!  作者: 大恵
第3章 憧憬と真贋

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三位一体

 

 夜の墓地は気分がいい。

 だが、それを言うとタルピーが訝しがるので口にしない。

 オレたちは不意打ちを受けないよう警戒しつつ、ブトアに聞いた地下入り口を探す。


「タルピー。オマエの目からして何か異変はないか?」

『不死者の気配が残ってるってくらいかなぁ。みんな棺に戻って待機状態みたい』

 部署違いとはいえ、タルピーも上位管理者だ。その気になれば、下位種たちの行動を確認できる。彼女が言うなら、この手の情報は安心できる。

 問題は謎のマント集団だな。


『ねえ、ザルガラ様。なんでこんな厄介事に首を突っ込むの?』

 人間ではないタルピーでも不思議に思う――いや、人間じゃないからこそ不思議に思うのだろう。


「この間、オレの先輩方とケンカしたろ? クラメル兄妹ってヤツラ」

『名前は憶えてない』

「そうか……。アイツラが解放前の霧と黒の城で、儀式を行ったって言っただろう? って、そのぽかんとした顔は憶えてないな……。とにかく解放前に侵入したわけだし、同じようにマント集団も解放前に侵入した。関係がありそうだからな」

『わかった! そのクラメル? 兄妹のことが心配なんだね!』


「うなっ? 違、いや、ま、まあ気になるちゃぁ気になるわけだ」

 ここはウソをついても仕方ない。オレは近くの藪を捜索しながらタルピーと会話を続ける。


「クラメル兄妹が関係したらしい団体の幹部が暗殺された。もしかしたらその暗殺した側かもしれん。いや一番可能性は高いのは、その儀式したっていう団体そのものなんだが……」

『わからない……でもない』

 歯切れの悪い反応を見せるタルピー。


「まあ、要するに気になって眠れないって話だ」

『あーっ! 分かる分かる! 確認できる事なのに、確認しないでいると気になって踊りも集中できないよね!』

 共感できるような、できないような表現だな。しかし伝わったようだ。

 なにしろオレたちは、遅くとも明後日には帰る。確認しないで帰ると学園生活が始まってしまう。


『でも、面倒なことに巻き込まれちゃわない?』

「それも確かにそうだが……」

 すでにブトアから無理矢理聞き出してるし、クラメルのマヌケたちも何だかんだで接触のある学友だ。行方不明になっている依頼者ボトスたちも気になる。

 謎に触れるか触れないか、程度の状態ならいいが、完全に手を触れた上で無関係じゃないなら巻き込まれる前に少しでも知っておきたい。

 ――いやこれも言い訳か。

 本心というか、根底にある条件というか。

 ユールテルが原因の古来種騒動で会った2人のアザナ。アイツラから聞いた、タチの悪い古来種たちの話の件も気になる。

 遺跡に関する不審な事を調べていて損はないだろう。

 アザナのため――いや、好奇心のためだ。あー、気になるなぁ。古来種の能力とか技術とかそういうのー!

 

「まあ、オレの性分だな」

『……ふ~ん』

「いや、マジだって。こうなんていうかオレって好奇心旺盛なんだよ。ダレかのためとかそんなんじゃねーからさ。ほんと、純粋にオレ自身のため――」

『なんでそんなに必死なの?』

 純粋なタルピーの瞳……。

 いけねぇ、墓穴掘ったか。


「いや……別に……。必死じゃないよ……」

『ふ~ん』

 興味なさそうにタルピーは捜索に戻った。そのまま無言で周囲の警戒と捜索を続ける。

 

「………………」

 あちこちぴょんぴょんと移動して、地下への入り口を探すタルピーの背を目線で追ってしまう。コイツ、実は全部分かってるじゃないか?

 と、気になる。

 オレがあまりにも凝視しすぎたのか、タルピーが不審な顔で振り返ってきた。


『ん……なに?』

「いや、悪い。なんでもない」

『お尻ばっかり見て、エッチー』

「ソラマメみたいなケツに用はねーよ」

 タルピーは「ぶー」と不機嫌に頬を膨らませた。それを可愛いとは思うが、だからどうという気分もわかない。そんな風に不貞腐れながら、タルピーは仕事を続けてくれた。


『あったよー』

 オレより先に見つけたことが嬉しいのか、不機嫌さが吹き飛んだタルピーの指し示す先に、地下への入り口があった。覆い茂った繁みにしか見えないこんもりとした――、ん?

 つい先日、ブトアが侵入したはずの入り口が、すでに花と蔓で隠れているだと?

 古来種の残した墓地管理を管理する魔法のせいか? 

 それら復活した花と蔓を払って、念のため魔法で門扉の音を消して開け、内部へと足を踏み入れた。

 蔓や根が内部まで侵入していたが、少し進むと取り決められたように途絶えていた。ここから先には、何かの力で蔓や根が這い伝わることができないのか。


 ほどなくしてリッチの残骸を発見。なるほど、ブトアが急に出会ったのも頷ける。

 長い階段を降り切った先の角に隠れる形で、リッチの残骸があった。


『門番? ってかんじだね』

「ああ、そうだな」

 タルピーの感想にオレは頷く。確かに核の管理者というより侵入者撃退って配置だ。


「この先に何かあるのかもしれない」

 それはおそらく核と関係ないものだろう。

 マントの集団は、ソレに用事があるのか。普通に興味がわいてきた。ちょっと楽しい。


 湧きだしてきた好奇心を抱え、奥に足を踏み入れる。

 そこは高い天井を持つカタコンベだった。

 柱を兼ねた壁は、遺体安置も兼ねている。仕切られた壁は全て柱で、遺体が安置される穴。

 棺があれば、遺体がそのまま収まっているのもあった。

 さすが神を信仰しない古来種。無宗教、ここに極まるといった様相だ。


 恐らく、核が入り口にあったのは、ここの管理を総合的にするモノだったのだろう。内部の管理と出入りの管理をする都合だ。

 カタコンベに圧倒されたが、同時に広さにも驚く。


「やべぇ、意外と広い」

 今日は昼間、農業区画を解放するため冒険して疲労している。

 疲労程度で人間相手に負ける気はしない。だが、広いカタコンベを探索するのは億劫だ。


『うーん、空気の新鮮さと流れからしてちょっとしたお屋敷くらいの広さがあるかな?』

 タルピーは火の精霊だけあって、空気の存在と流れに敏感だ。風の精霊ほどでないにしろ、その感知力は高い。

 ――しかし、地下は寒いな。


「タルピー、ちょっと来い」

『なあに?』

 純粋な目で、タルピーはオレを見上げる。その脇に両手を伸ばし、懐に抱え込んだ。


「おお、暖たけぇな、タルピー!」

『ア、アタイは懐炉カイロじゃないよ!』

「これから寒い夜は、一緒に寝ようぜ!」

「え? あ……、うん……」

「暑い夜はどっか行け」

「ひどい! トキメキ返せ!」

 きゃあきゃあ喚くタルピーを抱え、オレは探索を再開した。

 

『あっちの通路の奥曲がると、蝋燭の火があるよ』

 熱はともかく、空気に含まれる成分でも検知できるのか?

 なかなか優秀だな、タルピー。

 指し示す方向へ進むと、通路の角から明かりが伸びていた。

 警戒しつつ角まで進み、その先を覗く。


 そこは地下神殿だった。

 白い遺骨で柱と壁が装飾され、不気味だが白磁の神殿のようにも思えた。

 中央にはやはり骨で作られた祭壇があり、周囲にはマント姿の人間が3人ほどいた。

 彼らは謎の地下神殿に付き物の怪しい儀式などはしていない。

 チリ取りやホウキなどを持ち、神殿内の掃除をしていたようだ。掃除用の小型自動人形オートパペットまでいる。


「よし、これで迎えいれる準備ができたな」

「なんとか間に合った」

 男たちは仕事を終えたという顔で、後片付けをしている。

 見たところ儀式前の大掃除ってところか。なんとも締まらないタイミングだが、考えようによっては良かったかもしれない。


 もう少し情報を探ろうと物陰に移動し視線を脇に向けると、神殿の片隅にボトスと2人の青年がいた。同時にあちらもオレに気が付く。

 オレは声を出すな、というハンドサインをしてみた、が――。


「た、助けてくれ!」

 ボトスのバカは、いきなり大声を上げやがった!


「なんだ!?」

 案の定、掃除道具を持ったマント集団に気が付かれた。

 マントの男たちはまずボトスを見て、彼らの視線を追う。そしてその先にはオレがいる。

 

「あ、オレ、冒険者です」

 一先ず、誤魔化そう。


「怪しいヤツめ! 捕まえろ!」

 通じなかった。問答無用で、マントの男たちはオレに襲いかかってきた。


『隷属せよ、獣!』

 オレを子供と見て油断したのだろう。杖の準備もせず、掃除道具を持ったまま、オレに向かって捕縛の新式魔法を放ってきた。

 魔法物質で出来た輝く網が広がり、オレに向かって飛んでくる。

 

『王者の行進!』

 オレはまっすぐ前へ突き進むだけの魔法を使い、身を低くして魔法の拘束範囲から一気に抜け出す。

 

「なに!」

 3人はオレの行動を見て驚いた。

 網による拘束魔法から横に逃げる相手は見たことあるのだろうが、前に進んで回避するヤツは見た事ないだろう。

 オレは隙を逃さず、3人に向かって魔力弾を放つ。

 1人は正5角形の新式魔法陣を投影していたが、オレの魔力弾はそれを撃ち抜き3人の意識を刈った。


 対象者の意識を失わせる――。この目的に魔力弾ほど向いた攻撃はない。

 火の魔法ほど周囲に影響を及ぼさず、致命的な傷を与えない。

 風は大きな音で気が付かれやすいし、空気の流れで埃やゴミをまき散らしてしまう。

 水や土は痕跡が残り過ぎるし、汚損がひどい。

 一方、魔力弾は対物など純粋な破壊には向かないが、対生物、対魔法存在には加減ができる上に音も痕跡も少ない。


『せいとーぼうえいだね! アタイ知ってるよ!』

「そうそう、それな。タルピー。オマエは誰か来ないか警戒頼む」

『りょーかい!』

 タルピーは常人には見えないという優位性を持って、警戒に当たる。

 オレは勢いとはいえ、ぶっ倒したヤツラを調べることにした。

 事情は分からないが、誰何されて拘束の魔法を放たれたんだ。多少、手荒い反撃をしてもかまわないだろう。

 昏倒した3人を魔法で拘束し、新式魔法陣を投影していた1人の服を調べる。


 背格好は普通の中年だが身なりがいい。しかし、身分を明かすものは持っていない。それを匂わすようなモノもない。


「こりゃ、けっこうマジ(・・)なヤツラか?」

 身元が分からないよう、意識して装備を整えている。

 尋問するため叩き起こしても良いが、相手は投影魔法が出来るほどの使い手だ。ここはしばらく寝てもらっていた方がいいかもしれない。


「お、おい! 助けてくれ!」

「こっちだ! 早く縄を解いてくれ!」

「うるせーな。テメーが情けない声で助けてくれーなんていうから、面倒になってんだろうが!」

 ボトスたちがうるさい。だが――、放っておいてもマズいか。

 オレはマントたちを尋問するつもりはない。多少は事情を知ってるボトスに話を聞いてもいいだろう。場所も変えた方がいい。


 ん?

 なんかごくナチュラルに、コイツらを助ける気持ちがないな、オレ。などと考えていたら。


『ザルガラ様! 向こうから誰かくるよ!』

 警戒に当たっていたタルピーから報告がきた。ちょっとまごまごしすぎたか。


「そうか、わかった」

 オレは報告に頷き、対策として分解した新式魔法陣手帳を取り出して、周囲にバラバラと撒く。一歩踏み出せば紙を踏む。というくらいに紙切れを散らばせた。


「タルピーはその3人を物陰に入れて守ってやってく……おい、同じ3人だがそっちのマント野郎共じゃねーよ。意識のある方だよ」

『あ、こっちね』

 タルピーは惑いながらも、実体化してボトスたちを引きずって物陰に移動する。


「わわ、火、火が!」

 小さなタルピーに引きずられ、ボトスたちは慌てた顔をしている。

 古来種に近い目を手に入れてしまったオレには分からないが、タルピーが実体化すると、普通の人間には燃え盛る小さな人型の火に見えるらしい。


『本気を出せば、ちゃんとアタイの姿も見せられるよ』

 踊りつつ、タルピーが言った。


「それなら、そうしたら――」

『紙が燃え上がるくらいに、周囲の温度が跳ね上がるけどね』

「やめとけ」

 タルピーを扱うには、気を付けないといけない。火事の原因になるな、コイツ。などと会話しつつ、タルピーがボトスたちを隠し終えたと同時に――


「何者だ!?」

 お揃いの黒いマントを身に着けた3人の男が、奥の通路から姿を現した。

 ……また3人か。多いな3人編成。

 この3人。見るからに、祭壇で掃除していたヤツラとは違う。

 堂々とした態度と、裏打ちされた自信を持つ者の大きな声。顔付きも引き締まっている。

 投影された魔法陣も、超立方体だ。


「あ、どうも。通りすがりの冒険者です」

「部下たちが伸びてる前で、そんな言い訳通じるか!」

 どうにも誤魔化しが上手くいかない……。いや、確かに今のはちょっと無いか。

 

「……むっ? 貴様! ザルガラ・ポリヘドラか!」

 リーダー格らしき精悍な中年男性が、オレの顔を見て気が付いた。オレの名そのものは有名だが、顔を見て気が付くヤツは少ない。貴族社会に顔出ししてないしな。


「ち、バレちゃしかたねぇ」

 自分言ってなんだが、なんかこれって悪役のセリフじゃねえか?


「あの古来種の再来と言われるザルガラ? 英雄英傑になれると逸材と噂の……」

「か、彼が? この少年が、あの方のお気にされる……」

 部下らしき2人がオレの名に動揺する。あの方か。まだバックがいるというわけか。


「相手が本人……ザルガラとしても、【古来種式観測カルテジアンカット】を今、邪魔されるわけにはいかない!」

 本人――の言い方が気にかかる。


「いくぞ! 銀冠だ!」

 リーダーの命令一下、3人は一列に並んで魔法陣を投影した。これを見て、オレは感心する。

 やるじゃねぇか、いいアイデアだ。

 一列に並ぶことによって、後ろにいるヤツらがどんな魔法陣を投影してるか見えない。一番前が防御用の投影魔法陣に専念し、後ろの2人が何をしてくるかもわからない。

 ケンカで使うような魔法ではなく、まともな攻撃魔法――力技で真正面から3人を魔法でぶち抜いてもいいが、殺す必要性はないし手加減してやるか。


 オレは手帳の1枚を使って、風の新式魔法を放つ。オレの背後から風が吹き抜け、解体しばら撒いて置いた魔法手帳が紙吹雪となり、神殿内のあちらこちらへと舞い散った。

 一時はオレの姿が隠れるほどだ。


「目くらましか? 浅はかだな!」

 紙切れとはいえ、新式魔法陣が描かれた紙は多少の防御を持つ。その程度の防御手段と踏んだのか、敵は警戒している様子はない。よほど、銀冠とかいう技に自信があるらしい。

 最後尾の男が魔法詠唱を終え、先頭の男が脇に退く。2番目の男も防御用の魔法陣を全力で投影していた。

 なるほどね。安易に1人目へ魔法を放っても、2段目もがっちり防御。3段目が確実に、全力の攻撃魔法をぶっぱなすってわけか。

 2人目も防御魔法陣をそのままにし、脇に退く。そして3人目の男がマントの裾を払って魔法を……発動……す……る。


「って、また全裸かよ!」

 3人目の男は、マントの下に何も来ていなかった。

 マントを着ている分、イシャンより少しマシ。だが全裸だ。

 普通ならば、2人退いて全裸の3人目が晒されることで、敵対者は度肝を抜かれて行動が遅れるだろう。

 だが、オレは見慣れているからさほど驚かない。

 ――え? 男の全裸見慣れてるオレって……

 いや、考えるな!


「『闇に潜む暗黒の鎌』」

 全裸マントが放った真っ黒い攻撃魔法は、大きくカーブしてあちこちの物影や暗がりを介しながらオレに迫る。

 ちくしょう、合理的だ。あのマントの全裸に気を取られていたら、迂回して迫るこの攻撃魔法を見失っただろう。視界遮断に2枚全力防御、そして視線誘導からの迂回攻撃――全裸の癖に良く考えてる!

 だが、オレは困ったことに不意な全裸を見慣れている。なんかオレ自身、いろいろ納得できないが、この小細工は通用しない!

 オレは分厚い古式魔法陣を投影し、全裸マントの攻撃を受け止める。と、同時に魔法陣書き替えを行い、紙吹雪のように舞い散っていた魔法陣手帳から、無数の魔力弾が一斉に放たれた。

 紙吹雪が魔力弾の暴風雨と化し、地下神殿内を攻撃で満たす。


「っ! ぐわぁっ!!」

 全裸マントとノーマルマント2人は、四方八方からの魔力弾に対処できななかった。

 威力の弱い、たかが新式の魔力弾の雨。だが包囲と飽和を前に防御も敵わず、3人のマント男たちは倒れ伏した。


 魔力弾はまっすぐにしか飛ばない。アザナの使った反発と吸引力を利用した魔法を除いて。

 以前、アザナは魔法学園の天井魔法陣を書き替えてオレを上という死角から不意打ちした。

 それをマネてオレなりにアレンジ。前もって途中まで魔法陣を書き替えた手帳を風で散らし、最後の一手で書き替えを終えて一斉に魔力弾を放つ。

 まっすぐにしか進まない魔力弾も、魔法陣からの射出時なら角度は自由に設定できる。オレの魔力と処理能力が持つ限り、相手がどこへ行こうと魔力弾の雨を放てるという寸法だ。


 一斉攻撃をくらいながらも、3人はまだ意識があった。なかなか基礎魔力が高いようだ。

 魔力弾を食らって耐えきったとはいえ、魔法抵抗に魔力を使いきり、投影魔法陣を維持できるほどではない。

 この隙に、3人を魔法で拘束した。


「三位一体のこの技が敗れる日がこようとは……」

「初披露でしたがね」

「いっぱい練習したのに……」

 練習の光景を想像してしまった……。

 なんだよ、コイツラ。


「うう、アトラクタ様……」

 先に倒した3人のうち、1人が目を覚ました。そして全裸の男を見て、名を呼んだ。


「アトラクタ? おい、全裸。アンタ、アトラクタ男爵か?」

 ディータ姫付きの侍女と才人さいじんを務める女官の父親。いよいよ、偽吸血鬼事件に関係してきたようだ。


「……」

 マント全裸は無言の肯定を示した。

 こいつがアトラクタ男爵か?

 マーレイから聞いた話じゃ、古くからの王家直参法服貴族で、法を順守する堅物ってイメージだったんだが。


「法律が服を着てるようなヤツだって、聞いたが……服着ろよ、おっさん」

 オレのなじりに似た文句に、アトラクタ男爵はぴしゃりと反論する。


「私は法律を着ているから、服など着る必要など、ないっ!!」

「法服ってそういう意味じゃねーから!!」

 法律が服を着てる……じゃなく、実際は法という服を着た結果、全裸かよ!


 歩

 銀

 玉


玉に深い意味はありません。

見た目だけで戦術は将棋の銀冠ではありませんね。下段が弱いって同じですが。下段に深い意味はありません。


法服貴族って文字見た瞬間に、法を着た全裸というネタが出ましてね。

それでこのひどいアイデアが。

うん、また全裸なんだ。


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― 新着の感想 ―
[一言] 金冠(きんかんむり)でも良かったかもしれねぇ
[一言] 全裸がゲシュタルト崩壊しそうwww
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