表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
悪役は二度目も悪名を轟かせろ!  作者: 大恵
コンフォートゾーン 番外編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

50/373

アルジェブラ 3

 3拍子――。

 馬のギャロップ音が、ソフィの耳を叩く。

 暗い意識から目を覚ますと、そこはまだ暗かった。


「親分! ガキが目を覚ましましたぜ」

 聞きなれぬ頭上の声で、ソフィは見知らぬ男に抱えられて馬に乗っていると気が付いた。


「は、放しなさい!」

「おおっと、落ちちまうぞ!」

 ソフィが暴れると、男はわざとらしく手綱を緩めて、馬を蛇行させた。


「ひぅ!」

 暗闇でも速い地面が見えた。

 先頭の男が、前方を魔法の光で照らしているようだ。

 

「気が付いたか。大人しくしてれば、そこらで解放してやるから辛抱してな」

 バツ印の男はそう言ったが、ウソだった。

 人質を取ったのは、追撃を鈍らせるためだ。

 盾にもなるし、突き落せば追跡者を1人足止めできる。

 子供を殺して捨て置いておけば、別の街で連絡を受けた捜索者に姿を見られても、子供を探している目を誤魔化すことができる。


「ペ、ペランドーは魔法学園の優秀な生徒よ! すぐに助けに来るわ! 痛い目に合う前に、私を解放しなさい!」

 ソフィははっきりとした声で叫んだ。これにはバツ印の男も驚いた。


「いやぁ、立派なお嬢ちゃんじゃねぇか。あのビビりなガキとは大違いだ」

「……ペランドーのこと?」

「ああ、お前にとっちゃ凄い魔法使いらしいが、あの腰抜けのガキじゃ追ってくるわけがないな」

「第一、馬がいませんよ、親分」

「そういえばそうだった。もっともあのガキじゃ、馬にも乗れねぇんじゃねーか?」

「ちがいねぇ」

「ひはははっ!」

 男たちにペランドーがバカにされているが、ソフィは否定できなかった。

 ソフィは知っている。彼の心が弱いことを。それに付けこんでいるソフィ本人だ。よく知っている。


 誰も助けに来ないと気が付いて、ソフィは身を縮めた。


 その時――。


「誰か、追ってきてます!」

 右後方にいた男が何かに気が付き、振り向いて言った。

 全員が耳を澄ました。確かに後方から、力強いギャロップ音が聞こえる。


「くそっ! 見えない!」

 バツ印の男は、失敗に気が付いた。

 林道に入ったのは失敗だった。

 上を覆われ、月明かりが届かない。追撃者を確認することができなかった。

 馬では追われる側が、不利になる場合もある。

 先を走る男たちは、逃げるためにも前を明かりで照らさなくてはならない。この光源は追跡の目印になる。

 そして今回のように山道の場合、先を走る側が最も不利となる点。それは――。


「親分! あっちは馬一頭のようですっべぇうっげっ!!」

「バカ野郎!」

 部下の一人が、後ろばかり気にしていたせいで、枝に頭をぶつけて落下していった。

 あっという間に、木々と暗闇の中に消えて行く。

 

 馬はある程度、危険を避けて走ってくれるが、背の人間まで気にかけてくれない。

 しかも、悪いことにこちらの動きで、どこに障害物があるかを追撃者に教えてしまうことになる。

 逃走者は、位置も走りやすい道も無防備な背中も、すべて見せる事になる。

 中には背面撃ちの弓妙技で、この不利を逆手にとる騎馬民族もいるが、この男たちに弓も技量もない。


 しかし、バツ印の男にまったく手がないということではない。


「まずいな……。だが、その分、動きが分かるってこった」

 追撃者のコースを誘導させることができる。わざと大げさに右に回るなどすれば、そこに障害物があると思って、追撃者は逃走者に倣う。

 

 追撃者の馬が、わずかにコースを変えた足音が聞こえた。


「そこだっ!」

 誘ったコース目がけ、見えぬ追撃者に魔力弾を放った。


 命中!


 したはずだが、魔力弾は追撃者の投影していた魔法陣に当たって砕けた。

 

「くそっ!」

 コースが誘導できるということは、攻撃の目標もバレるということだ。

 バツ印の男は浅はかだった。

 盾を翳す場所を限定させているようなものだ。

 

 無駄な魔力を使ってしまった。

 相手は未熟でもエンディアンネス魔法学園の生徒。魔力は確実に高い。

 2枚の正3角形陣を投影し、不相応な魔法を使うバツ印の男は燃費が悪い上に、魔力の総量が低い。

 撃ち合いは不利だと悟り、バツ印の男は正3角形陣を防御に使うことにした。

 

 魔法陣は武器にも防具にもなる。ならば、不相応な魔法陣で魔力を無駄使いしたりせず、投影だけして防御に回すことにした。

 攻撃は部下に任せればいい。


「……しかし今、馬が防御したような?」

 魔法が当たる瞬間、馬の足音が変わったように聞こえた。


 その推測は正解だった。


 追撃者は、ナイトとペランドーの即席コンビだ。 


 ペランドーは前方に、魔法陣の出来そこないを投影していただけだった。魔法攻撃への警戒と、障害物への対策だ。

 ナイトは馬上のそれを知っており、飛んできた魔法を察して軌道を変え、魔法陣を魔力弾の盾とした。

 馬上のペランドーは、ナイトの賢さに驚いた。 


 しかし急な軌道変更は、膝に大きな負担がかかる。

 炎症を起こしている膝に。

 ナイトが嘶く。激痛だろう。他人(他馬?)事ながら、ペランドーも痛みを想像して身を竦めた。


「がんばれ、ナイト……。ソフィのために……、ぼくの意地のために!」

 ペランドーは、前方の光源を追う。さっき落ちた男はおそらく死んだだろう。だが、巻き込まれてソフィが落ちた様子はない。

 まだペランドーは追う。ナイトが追う。


 一方、逃げるバツ印は次の手を打つ。


「林道を一時抜けるぞ! 速度を落として迎え撃つぞ!」

 林の中や森の中には飛び込めない。一般的に森は、藪などで壁と言っていいほど深いからだ。林とてそれに準じる。

 いずれ追い付かれるなら、連携の取れる今のうちだと、部下に指示を与える。


 ソフィを抱える部下に魔法の光源を与えて囮にし、前方にださせ、バツ印自らは横へと回る。追撃者に側撃する作戦だ。


 林の暗闇の中から、黒い馬が飛び出してきた。


「あの足で、なんで走れる?」

 黒毛の馬は、足を腫らしていた。それどころか、後ろ脚は長い距離を走るのに不向きな、バツ型足だった。

 見目も体躯も駄馬と言っていい。よいのは大きさだけだ。その大きさが、バツ型足に負担をかける。


 しかし、馬は無視だ。バツ印は騎乗者を狙って魔法を放った。

 ほとんど姿は見えないが、大きな馬のシルエットは見える。その上を狙う――。


 外れた……。


「外れただとぅっ!」

 バツ印は悲鳴混じりに驚愕の声を上げた。


 実は、ペランドーは林を抜ける時に振り落とされていた。

 だからこそ、バツ印は気が付かなかった。馬上に標的がいないことに。


 よもや、ナイト人質ソフィを救う騎士ペランドーを振り落とす、など考えもつかない。


 さらに彼は愚かにも、自分の位置を魔力弾の発射によって知らしめてしまった。

 林の中という完全な死角から飛んできた魔力弾が、バツ印の投影魔法陣の間を抜けて肩を打ち抜く。

 

「ごわっ!」

 ペランドーの魔力弾は、バツ印の男より遥かに威力が高い。いかに投影魔法陣が使えようと、魔力の地金が段違いに違う。

 一発で意識を奪われ、落馬で更なる大怪我を負ったバツ印は、不幸なことに今まで乗っていた馬に踏まれた。

 死んではいないが、もはやまともに歩くこともしゃべることもできないだろう。


 そしてソフィを人質にとっていた男は、跳ね挑むナイトの前足に蹴られ、一撃で顔を潰されて吹っ飛んだ。


「ナイト! よくやったわ!」

 ソフィは馬を飛び降り、ナイトの首に抱き付いた。

 大好きなナイトが、男をひどい目に合わせ、少し嗜虐趣味のあるソフィは胸がすく思いだった。


「ソフィ!」

 林の中からペランドーが駆けてくる。さすがのソフィも、ペランドーを褒めてやろうとそちらに歩きだす。


「ペランドー! 遅いわよ!」

 褒めてない。

 まったく褒めていない。


「遅くないよ!」

「……く、口答えするんじゃないわよ!」

 怒鳴ればすぐ萎縮するはずのペランドーが、大声で言い返してきたのソフィは驚いた。

 

 そのソフィの後ろで、黒い影が消えた。


 振り返ると、大きな馬が消えていた。

 見上げる視線の先に、ナイトがいなかった。


 いや、倒れていた。


「う、うそ! ナイト! なんでっ! バカ、ペランドー! あんたが無理させたから、ナイトが苦しんでるじゃない!」

 ナイトの息が弱まっている。

 片手間でしか馬の面倒を見ていないソフィでも、ナイトが危険な状況だとわかる。馬が珠のような汗をかき、肌を触れれば熱い。


 ナイトを撫でながら、ソフィは振り返ってペランドーを責めた。


「やだ! ナイトが! ナイトが死んじゃう! ペランドー! あんたのせいよ! あんたが……」


 ドンッ……。


 倒れていたナイトが首を振って、ソフィを突き飛ばした。

 大好きなナイトの仕打ちを理解できず、尻もちをついたまま少女は震え始めた。


「……な、なんで?」 

「ぼくがソフィを助けたいと言いだして、このナイトがいう事を聞くと思う?」

 呆然とするソフィに、ペランドーが静かにいった。その声は優しいという言葉で誤魔化す、いつもの弱々しい声ではなかった。

 別人と思えるほど、はっきりと声が出ていた。単純に大きい声というわけではない。

 彼の本当の声。

 ソフィは初めて、彼の本当の声を聴いた。


「それにぼくは、ソフィを助けにきたんじゃない!」

 一転して、ペランドーが声を荒らげた。ソフィは気圧されて、尻もちを繰り返しながら、ナイトの身体の上に倒れ込む。


「ぼくはあのバッテン頭にバカにされた! それが許せなかったっ! だから、思い知らせるために、叩きのめして、結果きみを助けて見せただけだ!」

 ペランドーはソフィを見捨てるつもりだった。

 だが、それではあまりにも惨めだ。


 昔からソフィに振り回され、嫌な思いをした。このままいなくなれば、楽になれると一瞬ペランドーは考えた。


 だがそれでは、ソフィにイジメられたペランドー。という事実だけが残る。

 もうソフィを見返すこともできない。

 そして何より、そのソフィという存在を取り除いたのは、ペランドーをバカにしたバッテン男だ。


 底辺だ。

 悪いことも良いことも立派なこともやらないで、すべてに負け続ける言い訳のできない底辺のペランドーが完成だ。


 あのまま厩舎で大人しく縮こまっていたならば、ペランドーはどういう存在になるのか?

 卑劣にも女子供を攻撃し、盗みをするバッテンの男。

 犯罪者というバッテン男から、身を守れない軟弱なソフィ。

 そのソフィより、さらに惨めなペランドー。

 図式の完成だ。


 それをひっくり返す。


 ペランドーにとってこの戦いは、反骨と反逆を示す最初の戦いだったのだ。

 彼は戦いに勝った。

 人からはバカにされるかもしれない。

 意地と負けん気という衝動で、危険な行動をしたのだから。

 だが、ペランドーは戦って勝った。

 勝者であることは変わりない。

 

「私は……ついで、なの?」

 ペランドーの高揚する顔を憎々しげに見上げ、ソフィは呟いた。


「ぼくにとっては」

 弱い少女の鋭い視線など、もうそよ風にしか感じない。ペランドーは受け流し、ナイトを指差した。


「でもナイトは違う。ナイトはきみを助けたいから、命をかけて追った」

 ソフィはハッとして、冷たくなっていくナイトに視線を落とす。


「だから、ソフィ……。きみはナイトにだけ、お礼を言えばいい。だけどもしも、ぼくを責めるというなら……きみを助けるために、ぼくを利用したナイトの賢い忠誠を、ソフィはぜんぶ否定することになるよ」

 ナイトは自分だけで助けられないと分かっていた。

 だから、ペランドーを背に乗せた。

 一度たりとて、ペランドーに許さなかった誇り高い背を。

 ナイトは自分のプライド捻じ曲げて、ペランドーを頼った。

 ペランドーはそのプライドに乗って、男の意地を付き通した。


 ペランドーはまずそこで、ナイトに打ち勝ったといっていい。もちろん、ナイトが仕方なく膝を折った形だが。

 そしてペランドーはナイトをぎょして、バッテン男たちに勝ち、ソフィを助けた。


 倒れているものまで全てを含め、今ここの頂点アペックスにいるのはペランドーだ。


 ソフィとて、それが分からぬ愚か者ではない。むしろそういった強弱の序列に聡い。

 今夜、たった今、ついさっき――ソフィは追い越されたのだ。

 単純な強さも、精神的な意味でも。


 逃げるようにペランドーから視線を外し、ソフィは大切なナイトを撫でた。


「……ありがとう、ナイト」

 弱々しい呼吸音が途絶える。

 やっと、そこでソフィは泣き始めた。ナイトが死んだからなのか、自分の弱さに気が付いたからは分からない。だがそれは少なくともペランドーに負けたから、などという悔し涙には見えなった。

 

 ペランドーは黙って、幼なじみが泣き止むまで待った。

 空が明るくなるころ、飼育員が巡回兵たちを連れて現れた。


 そのころにはソフィも泣き止んでいたが、ペランドーは黙って待っていた。


 巡回兵たちが後始末をし、飼育員がソフィを助け起こす。


「ねえ、ペランドー」

「うん? なに?」

 いつもと変わらないように見えるペランドー。だが、たった一晩でとても大きくなり、遠くにいってしまったような気がした。


「いらないってあなたは言うけど、お礼を言わせて……。ありがとう。……それから今までごめんなさい」

 ソフィは顔を背けたままだったが、ペランドーは意外と悪い気分はしなかった。

 ここでザルガラをマネて、皮肉の一つも言いたかったが、そんな言葉は出てこない。これは彼の生来の気質だ。


「うん、大したことじゃないよ」

 強者の余裕。

 勝者の言葉。

 ペランドーは初めて、それらを経験した。



   *   *   *



「あぁあ……。なぁんか最近、教頭会のやつらに怒られるため、登校してる気がするわ。二度目の楽しい学園生活のはずなのに、ちょっとここだけ変だぞ?」

『学校、学園? お勉強きらーい。お説教きらーい』

 オレは登校直後、教頭会に呼び出されてげんなりとしていた。

 肩の上で、タルピーも同意していた。若干、意味合いが違うが。


「ザルガラくん! おはよう!」

 説教部屋としか思えない学園長室に向かっていると、ペランドーが声をかけてきた。


「ごめんね! お見舞いにいけなくて!」

「ああ、話は聞いたよ。大変だったらしいな」

 ペランドーは有名な強盗犯を一網打尽にしたらしい。オレほどじゃないが、王都でちょっとした話題になっていた。

 大騒ぎしている根源は、どうもペランドーのオヤジらしいが。


「うん。試験直前でいろいろあって大変だったよ」

「そんな時期か。ほんと、いろいろあってそんな気がしねぇな」

 まあ試験なんて余裕だからいいけどな。ちょっと忘れてる学科で成績下がりそうだが。


「つぎの試験、学科の一つだけでもザルガラくんに勝つよ!」

 不意にペランドーがそんな事を言い出した。

 バカなことをいいだして――。と、思うと同時に、なぜか嬉しかった。


「汚ねぇぞ! オレが仮病……じゃない、寝込んでた隙を狙うとか!」

「だからチャンスじゃないか! それに今回だけじゃないよ。負けても次も次も、挑戦するからね!」

「そうかい。そりゃ楽しみだ」

 ほんと、楽しみだ。

 

「じゃあ、オレは教頭会のところに顔だしてくるんで」

「うん、じゃあまた教室でね」

 ペランドーは晴れ晴れとした顔で去っていった。


「うーん。こういうのなんていうんだっけ? アザナのヤツが言ってたな……」

「男子3日会わざれば刮目して見よ。だね」

「うおっ! アザナ!」

 オレの独り言に、いつの間にか現れたアザナが反応して答えた。

 って、考えて見れば一緒に教頭会に呼ばれてるんだから、学園長室に続く廊下で出会っても当然か。


 教頭会へ説教を貰いに行くとは思えない笑顔を見せるアザナは、首を傾げてオレの肩の上を指差した。


「ねえ、その子って、もしかして上級精霊?」

「そうか。見えるんだな、コイツのこと」

 そう言えばそうだった。

 あんまり関係ないことなので忘れていた。


「ボクにも精霊の友達がいるんですよ」

「え? あ、そうか」

 おう、知ってる。二度目だからな、オレ。


「お揃いですね! お揃いっ!」

「な、なんで嬉しそうなんだよ!」

 なんかオレも嬉しいが、気のせいだ。


『ふーん、精霊の友達がいるんだぁ。じゃあアタイの部下もいるかもね! さあアタイに挨拶させな! 少年!』

「おい、あんまり大きなこと言うなよ」

 オレは「知っている」ので、肩の上でいい気になってるタルピーを諌めた。しかし、調子にノッているタルピーの耳には届かない。

 タルピーの要望に応え、アザナは高次元から精霊など(・・)友達たち(・・)を呼び出した。


『ン? メズラシイナ』

『お、イフリータじゃねぇか』

『アザナちゃんの、お仲間にはいませんね』

『下位はともかく、上級の火精霊は住みかが限定されますからしかたありません』

『お名前は? イフリータのお嬢ちゃん』


 光の戦乙女、半裸の水精霊、夜の女王、百鬼将軍、白大蛇、地の巨人などなどなど――。アザナの背後で、厚い壁となり居並ぶ。

 イフリータより高位の最上級数体に、上級と中級が入り混じり、精霊や妖精、妖鬼などの集団がいた。

 そう。アザナは今は無き上位種族と交流をもっていた。前の人生で知ったのはだいぶ後だが、アザナはそういった存在から知識や助言を得て、いろいろと活躍してこれたのだ。

 

 彼らは置き去りにされたイフリータと違い、古来種カルテジアンと共にこの世界から去っている。ここにいるのは残留思念や、高次元からの分身というアストラル体だ。

 そのほとんどが魔力不足で、タルピーほど実体化してない。大きくこの次元に関与できないだろう。オレやこの世界の住人には無害である。だが、同じ次元に一部身体を持っているタルピーにとっては違う。

 大勢の上位種族のアストラル体に囲まれ、頭を撫でられながらタルピーは震えている。


『あわわわわ……』


 あ、タルピーのやつ魔力漏らしやがった。



短編終了。

明日から第三章予定。


旅行中で感想返しができませんですみません。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ