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悪役は二度目も悪名を轟かせろ!  作者: 大恵
第1章 天才と怪物
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英雄カイタル・カタラン

 ランズマは鉱山を背にした城塞都市である。

 鉱山でありながら、煤煙ばいえんなどの不潔さがこの街にはない。

 むしろ清浄な雰囲気さえ感じられた。


 鉱山は鉱山でも、取れる鉱石は鉄や錫など卑金属ではない。かといって、宝石でも貴金属でもない。

 ランズマで取れる鉱石は、療薬石と呼ばれる魔法の石だ。

 療薬石はアメジストに似た奇石で、周囲にいる人の自然治癒力を上げる魔法的効果がある。

 症状に合わせ煎じて飲ませたり、砕いた時に漏れる魔力をそのまま治癒魔法とするなど、世界各国で需要が高い。

 ただしランズマの産出量は低く、王国内にはもっと採算性の高い鉱山があり、領内を潤わす一大産業とは言えない状況である。

 それでもカタラン領内の需要を賄った上で、売り出す程度は採れている。


 昼過ぎにランズマの城壁外で飛竜から降りたオレたちは、正式な手続きを行って街の中へと入った。


 元気のない人たちが行き交う街を抜け、オレたちはランズマのカタラン別邸を訪れた。

 連絡は通っているので、何事もなく屋内に通される。

 侍女たちに案内され、廊下を歩きながらオレは一人呟く。


「案外、活気のない街だったなぁ」

「昔はそうでもなかったんだが。今は鉱山街というより、療薬石の魔力が沁みだした鉱山湯が目的で、各地から病人が集まっているからねぇ~、言うならば湯治街だ」

 なんかオレの独り言に、優しいハンマーが答えてくれた。

 鉱山から流れてくる水には、少量の療薬石の残骸や砕けた時の魔力が含まれている。それらを沸かし、湯治街として産業にさせている。これがランズマの現状だ。

 

「なるほど。街が療養院みたいなものか。となると……イシャン先輩。良かったですね」

 そう言って振り返り見ると、毛布に包まって鼻水をすするイシャンの姿があった。

 イシャンは案の定、風邪をひいた。


「ひどいなぁ、ザルガラくん。ずず……。あれほど服を着せてくれと頼んだのに」

「もうランズマが見えてたからな。せっかく、裸で道中を突き進んだんだ。あと少しなら、その原初とかの意志を尊重しようと思ってな」

 最後までイシャンの懇願をスルーしたオレは、言い訳の体裁を装った追い打ちを口にした。


「ふ、そうか。根を上げた私を諌めてくれたのか。いやぁ、キミはいい理解者だ」

 だが、イシャンは変態だった。

 オレの悪意あるイジメを、理解者の行動と思ってくれたようだ。


「いや、違うんけど。もう、なんていうか服を着せたくなかっただけ」

「そうか。では脱ぎたくなったろう?」

「なんでそうなる」

 オレとイシャンがふざけた会話をしていると、案内していた侍女たちが俄かに騒がしくなった。


 侍女たちが口ぐちに、「え? なに、放置プレイしながらきたの? あの二人」「やだ、そういう関係?」「うそ? アリなの? そんなのって!」「あたし……アリだと思う」などと話題にしている。

 また勘違いされたような……。

 

 この国の人間は「特技:勘違い」とか「秘技:早とちり」とか、そういうの持ってんのか?


「さすがに服着てんだな、先輩」

 風邪をひいてしまったイシャンも、こうなると全裸を突き通せないらしい。


「ああ、さすがに……ね。しかし看護してくれるキミには全裸になって欲しいよ」

「……」

「ズズ……。ツッコミなしかね?」

「あ、いや、ちょっと本気でドン引きして」

「そうか。キミにツッコミを入れられるたび、友達として深みが増していくと実感していたんだが、へっくしょい!」

「バリバリツッコみいれるぜ! このオレがその程度でドン引きなんてしねぇからな」

 そうか。ツッコミって友情なんだな。

 ザルガラ、オボエタ。


「ふ、友情で少し暖まったし、私は休ませてもらうよ……へぶしっ!」

 イシャンはそう言い残し、カタラン伯の侍女に支えられ、毛布を引きずり去っていった。

 オレはその後ろ姿を見送り、どうしようもないため息を吐き出した。


「はぁ……何しに来たんだ? アイツは」

「先輩に対して辛辣だなぁと言いたいけど、これは私もそう思うよ」

 ハンマーが同意してくれた。彼もイシャンに服を着ろと注意していたので、呆れかえっている。


「しかし、イシャン先輩の全裸行動は、大敵者アーチエネミーへのいい対策になると思ったんだが、風邪で服を着ざるを得ない……か、ほんと何しに来たんだ? アイツは」

 道中、裸で竜に乗って、風邪をひいただけである。

 療養するために、わざわざ風邪をひきながらくるという、なかなか聞いたことないアクティブな湯治である。


 風邪で抜けたイシャン以外……、オレとハンマー以下巡回兵は、このままカイラル・カタラン卿に接見する。

 ちなみに竜兵の半分は、城壁外で待機している。いくら王軍とはいえ、伯爵領の街へ簡単に入る事はできない。

 カタラン卿にだってメンツがある。


 さて、そのメンツのあるツラを拝むとするか。


 オレの記憶では、カイラル・カタラン伯爵は勇猛果敢な武人である。と、いっても噂しか知らない。会ったこともない。

 とかく気難しく、頑固で融通が利かない。だが、ひとたび戦さとなれば、剣を取っては100人を薙ぎ払い、正16胞体陣から放たれる古式魔法は、一軍に匹敵すると聞いていた。

 オレほどの怪物ではないだろうが、傑物であることは確かだ。

 辺境伯であるカタラン卿は、辺境を守るゆえに、半生を戦いの中で生きてきた男である。燦然とした功績と、確かな結果を残している英雄だ。

 オレとやり合えば、いい勝負ができるに違いない。もしかしたらカタラン伯の老練さに、オレが負ける事だって……。


 そんな期待を持ってカタラン卿屋敷の広間に入ると、痩せ衰えた老人が椅子に座って待っていた。


「よく来たな。と、言いたいところだが、まったくいい迷惑だ……」

 強がる言葉だが、声に覇気がない。掠れていて聞き取りにくい上に、目にも吐く息にも力がない。

 出涸らし?

 そんな印象の男だった。


「わしがカイラル・カタランだ。……ふっ、迷惑だが……怪物の顔が見れただけでも、面白い……。ごほっ! ごは……ごほ……」

 笑おうとしてむせたのか、ただ咳き込んだのか分からない。侍女や家令に身体を支えられている有様だ。

 こいつ……今、オレに皮肉を言ったのか?

 怪物と言われて腹も立たないなんて、初めての経験だった。

 憐れみすら感じる。

 それほどカイラル・カタランは、心身ともに弱っている男だった。

 

 そうか。カタラン卿が自領とはいえ、この街にいた理由は療養……ってわけか。

 歳はまだ50に行ってないはずだが、この姿は70の老人に見える。

 まったく病気は怖いな。

 

「カ、カタラン卿! 御療養中でしたか!」

 隣りのハンマーが動揺していた。

 そりゃあの姿みたらびっくりするが、それにしちゃ狼狽えすぎじゃね?


「ああ……。そうでなければ、貴様らの増援など受け入れんわ……。まったく……。これで何事もなかったら……カタランの末代までの恥じゃごほっ! がはっ!」

 苦しいなら無理にしゃべるなよ、爺さん。

 オレと同じ感想を抱いたのか、家令の一人が前にでた。


「このように旦那様は肺を患っておられます。応答には可能な限り、このオーバラインが務めさせていただきます」

 どうやら家令ではなく、筆頭家臣チーフリテーナーだったらしい。


「ど、どうも。巡察官のハンマー・チェンバーです。この度はご療養の中、お騒がせして、その大変申し訳なく存じます」

 ハンマーがショックから抜け出せないようだ。それほどカタラン卿の現状が衝撃だったのか?


「いえ、お気遣いなく。こちらも連絡を受け、早急に件の石を調べましたところ、魔物の卵と判明し、衝撃を受けていたところです。幸いその……大敵者アーチエネミーですか? その卵は直ちに回収を行い、郊外の鉱山滓集積場に集めて管理しております」

 オーバラインは静かに対応した。ハンマーとは大違いである。


「王都の鍛冶屋組合長が得た卵は、どうやら炭鉱夫が拾って独自に売ったもののようです。この炭鉱夫はすでに身柄を確保しております。他に流失した卵の存在は確認されておりません」

「そ、そうですか」

「それから、それらの石。いえ、卵は鉱山から産出される療薬石に混じっていたものを採取されたものです。当初は新たな鉱石として産業になるかと思い、研究、保管しておりましたので回収にはさほど手間はかかりませんでした」


 ふむ、そうか。

 なんらかの理由で無人となった大敵者アーチエネミーの巣の一部を掘り当て、そこから大敵者の卵を奇石と思って採掘してしまったのか。

 カタランの悲劇は、そうやって手に入れた卵を、大敵者が取り返しに来たことから起きた事件だったのだろう。

 各所にあった卵を、大敵者が大群で回収しにきた。

 街中にあったため、あちこちを蹂躙され、生き残りすらいなかった。

 ましてや、この街は療養施設が多い。病人だらけだ。大部分が、逃げるのも難しかっただろう。


 オレが情報を与えたため、被害の出ない鉱山のゴミ貯めに卵を移動させた。管理せず放置すれば、もしかしたら小競り合いすら起きないだろう。

 それだと、7年後に大敵者が大量発生して、この国を恐怖のどん底に落とすのだが……。


 しかし、なんだ。カタラン卿の部下、いろいろ素早いな。さすが辺境で敵国に囲まれているだけある。緊急時の動きが、半端なく優れてる。

 なら、平気だろう。


 オレは楽ができる。


 ガキと侮って、オレを無視して話を進めているが、ここはちょっと踊ってもらう。

 状況を確認しあっていたハンマーとオーバラインの話が一段落した頃、オレは一歩前に出て大げさな礼を取って見せた。

 視線がオレに集まる。


「お初にお目にかかります、カタラン卿。わたし……いや、堅苦しいのは御免被るってツラしてるから――。オレはザルガラ・ポリヘドラ。おっさん……ああ、失礼。出涸らしカタラン卿の言われる面白ぉい、『怪物ザルガラ』だ」

「なっ!」

「む?」

「えっ?」

 オーバラインが驚き、カタランが顔を歪め、ハンマーが絶句した。


「いやぁ、あの勇猛なカタラン卿の地に襲撃があるとしても、あの高名なカタラン卿なら問題ないって思っていたんだけどねぇ。なのに無敵のカタラン卿のその姿みたらちょっと驚いたよ。死にかけじゃねーか」

「な、なな何をいいだしているんだ! ザルガラくん!」

 不遜なオレをハンマーが慌てて諌めた。カタランは訝しがる目で、オレを睨んでいた。オーバラインは主人の意を汲んで黙っている。

 

「でもまあ、さすがは辺境の英雄。対応が素晴らしい。ここは来たくなかったしね。オレ、かんけーねえもん」

「……関係ないだと?」

 死にかけだったカタランの目に光が灯る。


「ああ、オレはこの街なんて見捨てようと思ったんだ。いや、カタラン卿ともなれば、情報さえあれば大敵者を打ち払えるだろうからね。見捨てるってより、信じてたと……言った方がいいかな。過去形だけどね」

 ちょっとケレンミが強すぎたか?

 誰もが黙ってオレの言葉を待っていた。

 少しは反発があると思ったのが――。まあ、いい。

 挑発を続ける。


「――万が一の事があっても、あのカタラン卿なら命を賭して、大敵者を打ち破るってな」

「っ!」

 カイラルの胸中に火が灯った。


 オレにはそう見えた。


「さーて、オレは楽な仕事をさせてもらいますよ。さっき聞いたところによると、炭鉱夫が持ちだした卵があるらしい。と、なると公的には目が届かず、未回収てのもあるだろう。オレはそいつを探して回収する役をするよ。じゃあな」

 さっさと立ち去ろう。

 引き止められても困る。

 オレは呆気にとられるカイラル・カタラン以下家臣と、ハンマー以下巡察兵を後目に、広間を退出していった。


 広間の扉が閉まり、廊下で一人になったオレは思わずスキップを踏んだ。


「やーちゃった、やっーちゃった。ま、これでカタランも死ぬ気で動くだろう。筆頭家臣を見るに、主人が飾りとしても、病身でなんとか動きだせば、死力を尽くすに違いない。対策は罠メインで、追撃に魔法などで間接的に効果のでる攻撃って伝えてあるし、被害があってもなんとかなるだろ」

 なかなか、調子を取り戻してきた。

 これでこそ、オレ。死せる怪物ザルガラだ。

 この一件がアザナに伝われば、オレが甘ちゃんだなんて思いもしないだろう。


 カタラン下の兵は確実だが、街も被害はあるかもしれん。でもまあ、全滅するよりマシだろう。

 オレ、まあまあ頑張ったと思うぜ。

 見捨てる予定だったし、それから見ればオレ様もなかなかの英雄だぜ。

 このまま、うまいこと行ったら、オレの評価上がっちゃうもん。それは勘弁だ。

 こうやって、評判を落としておくのもいいだろう。


 とはいえ――。


「街中に卵があるかもしれないのは事実だ。ついでとはいえ、そっちは真面目にやりますか」

 オレは晴れ晴れとした気持ちで、ランズマの街へと繰り出した。



   *   *   *


「怪物とは聞いていたが……。おのれ、言わせておけば……。おい、オーバライン! 剣と鎧を持て!」

「はっ」

 冷水のようなザルガラの暴言を浴び、弱っていたカイラルの心の中で、反骨と戦いの炎が燃え上がった。

 英雄カイラルが覇気を取り戻し、準備に走るオーバラインは、どことなく嬉しそうだった。


「ガキと見ていたが、いずれあの顔を潰してやる! 物理的になっ! がははははっ! むっ? どうしたかな、ハンマー殿」

 血気溢れんばかりに椅子から立ち上がったカイラルは、広間中央で泣き崩れているハンマー・チェンバーを見咎めた。

 

(連れてきたガキが調子に乗って、面目が潰れ泣き出した? いや、そのような感じではないが)

 訝しるカイラルは、声をかけることも出来ず、ハンマーのさみしくなった頭頂部を注視する。


「カタラン卿……私には覚悟が……覚悟が足りなかった……」

「ハンマー殿。それはどういう意味かな?」

「ザルガラくんを悪く思わないでください、カタラン卿。あの少年……。最初は一人でこの地に来ようとしていたのです!」

「それはまことか?」

 怪物は「来る気が無かった」と言っていた。それはウソだと、ハンマーは言っていた。


「はい。当初、私とてこの地に参るつもりは毛頭ありませんでした。しかし、事実確認のため、ポリヘドラ邸を訪れた時、私は見たのです! 準備に追われているポリヘドラ邸の使用人たちをっ! あの小さな身体で、戦さ支度をしている姿を!」

「なんとっ!」

 ハンマーの言葉が事実ならば、武人であるカイラルには、ザルガラへの称賛しか思いつかない。


「齢11……。わしの下の娘と同じ年頃で、そのような覚悟を」

「はい。ご存知でしょう。彼は幼少時、たった一人で魔物を討伐した経験があります」

 カイラルは頷く。有名な話だ。

 理由は不明。5歳児が山を越えて魔物退治など、酔狂の範疇にとどまらない。

 彼の実力云々より、討伐理由の謎が優る。


「以来、彼が魔物討伐をしていないところをみると、よほどの事情があったのでしょう。にも拘わらず、彼は今にも飛び出しそうな姿で、私の前にいたのです! 誰が放っておけましょう!」

「うむ、確かにな。しかし、ハンマー殿。それほどまで……巡察官であるあなたが、頬を濡らすなど……なにゆえに」


「当初、私は安全な後方にいるつもりでした。兵だけ派遣すればよいと。苦しくも彼が言ったように、カタラン卿がいれば大丈夫と思いながらです!」

 再び、ハンマーは激しく泣き出した。

 カイラルは、しばし落ち着くまで待った。

 しばらくして、ハンマーが嗚咽と言葉を吐き出し始める。



「……戦さ準備をしている彼を見て、私は覚悟を決めたつもりでした。彼を同行させ、政治的にドロを被ろうと。しかし、心のどこかで思っておりました。カタラン卿がいれば、ザルガラくんがいれば、私の命は安全だろうと……。そして私は、非礼にもカタラン卿のお姿を見て、絶望をしたのです。わが身に危険があるのではないのかと! ここに来てしまった事を後悔したくらいです。私はっ! さっきまでのっ! 自分をっ! 殴りたい!」

 ハンマーは軍官僚である。戦いは不得手だ。しかし、それでよいと思っている節があった。

 彼はそれを心底悔いて、なおかつ恥じていた。

 その思いは部下の巡回兵たちにも伝わり、カイラルへも届いていた。


「そうであったか……」

 カイラルはハンマーを宥めようとした。しかし、ハンマーの吐露は続く。


「ザルガラくんは……彼はひどいことを言って、あなたを奮い立たせました。ご病気のカタラン卿が立ち上がらず、騒動を収めてしまっては、そのメンツを潰すと考えたのでしょう」

「な、なんと!」

 カイラルは驚愕した。

 言われてみれば、ザルガラの憎まれ口で、カイラルは奮い立った。実際に戦えなくても、後方で軍配を振るうだけで自ら戦ったという実績になる。病を押しての戦さならば、評価はさらに上がるだろう。

 だが、病で臥せっていて、巡回兵とザルガラに任せたならば――。


 英雄カイラル・カタランも老いたな――。


 そんな声がちまたで広がったに違いない。


「や、やつは……いや、彼はそこまで考えての……行動だったのか?」

「素晴らしい判断と行動です。彼は命をかけるだけでなく、悪名まで被って――。カタラン卿! あなたの名誉を守ろうとなされたのです!」

「っ!」

 カイラルは絶句した。


「このハンマー・チャンバー! 不得手ながら魔法を古式まで扱えます! どうか私もカタラン様のお力でお使いになってください!」

 ハンマーの覚悟が見えた。

 英雄がこれに応えず、どうしろというのか。


「うむ、承知した! やるぞ、みなども! この話を聞いて、王軍と辺境軍の間には、錯綜した垣根があるなど言っておられぬわ!」


 のちにカイラル・カタランは言う。


 病を治したのは、療薬石ではない。

 ザルガラの熱く厚く篤い心が、不治の病を吹き飛ばしたのだと。












 のちにザルガラ・ポリヘドラは言う。


「あの……勘違いなんだけど……」


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