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悪役は二度目も悪名を轟かせろ!  作者: 大恵
第4章 エルフとドワーフ
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秘密秘密だらけの戦闘

 小男は明かりの魔具を携えて、狭い地下通路を駆けっていた。

 

「なんてことだ! まさか馬車がすべて確保されてしまうなどと!」

 吐き出した悪態が、暗く狭い通路で木霊する。


「うるさいわね! ふう、はあ、はあ……。とっとと行きなさい!」

 小男の後方で、息も絶え絶え走るモノイド=マルチが掠れた声で叫んだ。 


「も、申し訳ありません!」

 モノイドの声に叩かれたように、前を走る小男は加速する。


 小男とモノイド、そして2体の護衛の骸骨兵スケルトンソルジャーは、王都の隠れ家から抜け道を通って逃走中であった。

 抜け道は、元々古来種が作った魔力供給道である。魔力供給用の魔具が失われた今、本来の用途には活用されていない。

 狭く行き交いは出来ないが、小柄な人間が歩けるほどの道幅と天井の高さがあり、発見されていないのを良いことに、モノイドたちは魔力供給道を緊急の抜け道として利用していた。

 

「まさか、本当に使うことになるなんて……」

 モノイドは抜け道を駆けながら、こんな事になってしまった事態を思いおこす。


 王都からの撤退を決めたモノイドは、即日のうちに手下を散らせ、孤児たちを5台の馬車に分乗させた。

 ここまでは問題なかった。

 しかし馬車の1台が脱出のため城門に向かう途中、運悪く貴族の子息と接触。

 貴族に怪我はなかったが、相手が悪い。

 市民ならば見逃されただろうが、近くにいた巡回兵がすぐさま馬車を引き留めて中を検めた。重ねて言うが、貴族相手でなければ、馬車の中を確認されることなどなかっただろう。

 貴族の子息などは、気にするなと破けたシャツを脱いで立ち去っているというのに、巡回兵は仕事をとことん意欲的に職務を全しようと、馬車を徹底的に検めた。

 

 こうして、王都外に連れ出そうとした孤児たちの一部が発見されてしまった。

 ここから巡回局の行動が早かった。

 一斉に馬車や荷車などを検めはじめ、あれよあれよと孤児が見つかってしまう。

 幸い、孤児たちはモノイドの【支配者の視線(ルーライン)】を受けていたため、しばらくは隠れ家が発覚することはなかった。

 しかしそれも時間の問題だ。

 なまじ賢い子供たちを集めたため、【支配者の視線(ルーライン)】の精神拘束が解ければ、彼ら彼女らからさまざまな情報が巡回兵に提供してしまう。


「モノイド様! 私は先に進みます!」

 いくらモノイドの魔力が優れているとはいえ、肉体はマルチであり10歳の少女である。足も遅いし、体力もない。

 小男はまず抜け道の安全を確認のため先行した。


 しばらく緩やかな逆を登り、縦道へと出た。頭上の偽装ドアの隙間から、わずかな光が零れている。

 縦道には縄梯子がぶら下がっていた。

 地上の様子を確認するため、小男は縄梯子を上って頭上の偽装ドアを押し開いた――。



   *   *   *


「まあまあ、お昼も近いし、ベルンハルト……さん? かな? 一緒にランチにしようよ」

 膝を抱えているミニスカおっさんに、あのアリアンマリが生意気な口調ながらも優しい声をかけた。


 取り巻きの中でヴァリエに並び、特に攻撃的な性格のアリアンマリが珍しい事を言うな。

 ユスティティアとフモセの取り巻き2人も、アリアンマリの優しい態度を目の当たりにし、互いに顔を見合わせ首を傾げている。

 オレの目には、あの子供っぽいアリアンマリが精神的に成長しているように見えた。

 アイツに何かあったんだろうか?


 ランチボックスを差し出すアリアンマリを、真ん丸目玉のベルンハルトが見上げた。彼女の変容を驚いているのではない。貴族子女が一緒に食事をしようと言い出して、彼は驚いているのだ。

 侍女はもとより、護衛の騎士ですら食事は後回しになっているから、そりゃベルンハルトが驚くのも当然だ。

 

「……いや、畏れ多くもそれを頂くわけには」

 なので、彼が断わるのも当然と言えた。

 そしてさすがにこれ以上、この場にいてはいけないと思ったのか、ベルンハルトはよそよそしく立ち上がる――スカートの裾を直しながら……。


「どうせこれから帰っても、ごはんは……じゃなかったランチは食べるんでしょ? ここで一緒に食べた方が時間の節約にもなりますよ」

 立ち去ろうとするベルンハルトを、アザナが引き止める。

 しかし、アザナはちょくちょく食事の事を「ごはん」というが、それはどっか異国の食べ物の名称だよな?

 なんで言い間違えるのか、どうにも理解できない。

 まあこれも気になるが、アザナの態度も気になる。


「おいおい、オマエはこのストーカーベルンハルトに困っていたんじゃねぇのか?」

「それもそうですが、娘さんのこともあるでしょうし……少しはしょうがないかなぁっと」

「甘いのは構わんが、だったらオレに泣きつくな」

「な、泣きついてませんよ!」

「いーや、泣いてたね」

 反論するアザナをからかう……、これ楽しいな!


「えーっと、じゃあ皆さんもご一緒に」

 一切の準備をしてきたユスティティアが、ベルンハルト含めてオレたちにランチを勧めてきた。

 弁当は持ってきているが、ここはご相伴に預かろう。


 色とりどり――ってほどでもないが、フルーツや焼き菓子など女性向けの軽食が目立つランチをツマむ事になった。

 ペランドーはおやつが増えたと大喜びだ。

 柔らかすぎる蒸しパンは携行に不向きなので、弁当だけで菓子は持ってきていない……ていうか、いくら腕利き鍛冶屋の息子とはいえ、菓子に当たる物をほいほい持ってくることはできない。実際、弁当はうっすいハムに野菜を堅パンでサンドした物だ。

 これだって豪勢な部類だろう。


 ワイルデューたちはさらに寂しい弁当だ。

 ペランドーの持ってきた堅パンより、焼いてからさらに数日経ったような硬いパンと、たっぷりクズ野菜の漬物だ。

 スープがなかったら、アレ、たぶん漬物の汁に浸して食べるんだろうな。

 

「結局、手ぶらで来てるのはイシャン先輩だけか」

「恐縮だな!」

 サンドイッチをツマむオレとイシャンが隣り合わせというのが納得できない。いつの間にか上半身脱いでるし。


「シャツが汚れては困るからね」

「さっき鈎裂きにされたシャツじゃねーか」

 脱いだ理由が納得できない。コイツ、いつも脱ぐ理由が適当だな!


 そんなランチ中、タルピーとディータの見えない2人組は、アザナに従える数々の最上位種や上位種と挨拶を交わしていた。


『私はレギンレイヴ62-0207。ワルキューレをしている』

『このような姿にて拝謁する不徳、お許しください。戦乙女様。私はディータ・カトプトリカ・エウクレイデス。古来種様無き地を、畏れ多くも預かる王統で末席の責を務めさせていただいておりました』

『手前、百鬼隊長のカミコウザ・オダノモリ・フツトフツノタクミと申す。王の末裔なる小さき姫よ、以後お見知りおきを』

『まあ鬼一族の長ですわね。おとぎ話に聞く勇壮なるお姿をこの目で拝見できるなんて、幽体になるのも悪くないですね』

 ディータは無機質な表情の戦乙女と、オレの5倍はあろうかという鎧武者に、炎のドレスをつまんで挨拶していた。

 この他にも恐ろしいというか、畏れ多いというか、そんな上位種たちが居並んでいる。

 ディータも相手が最上位種たちとあって、少々緊張しているようだが、そこはさすが王族。

 立派な対応で次々と挨拶を済ませていく。

 あっちはあっちで済ませておこう。

 なんかタルピーが一番ビビってるように見えるが……本当に上位種なのか、アイツ?


「さーて、腹も満たされたことだし、食後の運動といきますか」

 手早く食事を終えたオレは、そういって立ち上がる。


「え? 調査と実験じゃないの?」

 ペランドーが両手に梨を持ったまま、オレをぽかんと見上げている。


「それはオマエらに任せた。よし、アザナ! 勝負だ!」

「そうくると思ってましたよ、先輩」

 ほほう、覚悟が出来ているようだな、アザナ。


「…………シャクシャク」

 アザナは素知らぬ顔で梨を食べている。


「……おい、そう思ってたなら立てよ、アザナ」

 アザナは不思議そうに梨を食べ続けている。


「もぐもぐ……あ、本当に決闘とかするんですか?」

「同意したわけじゃねーのかよ!」

 オレがケンカ吹っ掛けると、思ってたとか分かってた……ってだけかよ!


「しょうがないですねー、先輩は。わかりました。ここなら先生たちの目はもちろん、官憲の目も届きませんからね」

「そういうことだ。よく分かってるじゃねーか」

 アザナの顔は呆れたように見えるが、たぶん気のせいだ。


「またですの? ……もう、ちゃちゃっと終わらせてくださいな」

「やっちゃえ! アザナくん!」

「勝敗は決まってるのに懲りませんね~」

「気をつけてくださいね、アザナ様。ポリヘドラ様が怪我されないように」

 取り巻きどもが、アザナの応援……というよりなんかオレをバカにしているようだ。ある意味、アリアンマリが一番普通である。


「オォマァエェらァ~、ホント、ムカつくなっ!」

 いやまあ勝てると思ってないけどさ!


 一方、ワイルデューとテューキーも観戦モードになっている。

 貴族の学生などより、遥かに勉強熱心なコイツらの事だ。オレとアザナから何かを学ぼうとしている。


「では、僭越ながらこの私が立会人となろう」

 んな事を言い出したイシャンが、大きな切り株の上にスタッと立った。


「この私がズボンとパンツを下ろした時が開始の合図だ」

 よい機会だとばかりに、すがすがしい笑顔のイシャンの手がベルトにかかる。


「きゃぁっ!」

「いやっ!」

「ふざけないでよ!」

「あら……まあ」

「ひぇぇぇ……」

 女性陣から悲鳴や怒声やらが上がった。

 侍女たちが熱っぽい目をイシャンに向けているが、これは彼を良く知らないからだろう。


「おい、ソレっていつ降ろされるかを見てないといけねーのか?」

「5! ……4………………ン、さ~~ん」

「お、おいっ! よりによってタイミングをズラしたカウントダウンすんじゃねーよ!」

 変な動きで間延びさせたり早めたり、ベルトを上げ下げするイシャン。

 整ったカウントダウンならイシャンを見ていなくてもいいが、そんな半端な調子で数えられたら嫌でも注目しなければならん。

 ってコラ、アザナ。真っ赤な顔でイシャンの股間を凝視するんじゃねぇ!


「学園の解放された肉体を解放した時が勝負の始ま――」

 イシャンがズボンを下ろそうとした瞬間、切り株の一部がパカリと開いて、1人の男が顔を出した。

 

「……?」

 その場にいた誰もが、事態を飲みこめない。

 切り株から頭を出している男も、だ。

 ズボンを下げようとするイシャンを、真下から見上げる形となっている。


 ズボンを半ばまで降ろしていたイシャンが、なんとゆっくりと履きなおした。

 震えるイシャンは、頬を赤らめ、信じられないという様子で呟く。


「これが……まさか……まさかこれが羞恥心というものなのか……」

「うそだろ! イシャン先輩が羞恥心を持っただと!」

 騒然とするオレたち。

 まさかあのイシャンが、恥ずかしいと言い出して服を着る? だと……。

 後ろから鬼が襲ってくるんじゃないかと、心配になって振り返ろうとしたが、切り株から顔を出した叫び声で中断させられた。


「きさま! ザルガラか!」

 イシャンの股下の切り株中央から、1人の小男が飛び出しオレの名を叫んだ。


「ああ、そうだが?」

 誰だ、オマエ?

 と、訊ねる前に小男が悔しそうに地団駄を踏み始めた。


「ザ、ザルガラ……まさか……古来種時代からの抜け道を知っていたのか? くそぅっ! どこまで我々の邪魔をする気だ! この怪物めっ!」

「え? なんのことだ?」

 なにか不当な恨み言を浴びてるような気がする。


「とぼけるな! そうかっ! 魔力供給限界地点を虱潰しに探したな! まさか……魔力供給道を知っていた? それでこれほど手勢を集めて待ち伏せというわけか!?」

 なんのことかわからんが、コイツなんか悪いヤツなのか?

 事態を誰も飲みこめない。

 オレたちは何もできず、1人語り上げる小男を見守るほかなかった。


「ふふふ、こんなこともあろうかと用意しておいたゴーレムが役に立つ時がきたようだっ! 見せてやろう! エカントのゴーレムマスターと呼ばれる私の力をっ!」

 小男はそう叫んで、ゴーレム制御の魔胞体陣を周囲に投影し始めた。

 コイツ、いまエカントといったか?

 エカントって確かアポロニアギャスケット共和国の首都の名前だよな?

 ……敵国の工作員か何かな?


 オレは首を傾げ、アザナやペランドーたちが事態を理解できないで立ち尽くしている後ろで、森の岩に偽装されたストーンゴーレムたちが立ち上がり、地響きを鳴らして姿を現した。


「え? アレって、アザナが持ってきたゴーレムじゃないの?」

「……はい? あ、ボクはてっきりザルガラ先輩が、周辺警戒のために前もって置いてあったのかと」

 お互いがお互いに、隠して配置されたゴーレムに気が付いていたが、お互いがお互いのゴーレムだと勘違いしていたようだった。


 そうこうしているうちに、オレたちは20を超えるゴーレムたちに包囲されてしまった。


「すごい! これってみんなアポロニアギャスケットの高性能ゴーレムですよ! わあ、内包してる魔力がすごいっ! 硬い堆積岩をあれだけ機能的な形に加工できるなんて、さすがアポロニアだよ!」

「どうだ! これだけのゴーレムを戦闘に使える者はそうそういないぞ!」

 アザナが興奮しゴーレムを褒めると、小男がどうだとばかりに胸を張った。


 ゴーレムとは本来、こういう使い方が正しい。

 命令さえすれば、ある程度自立して行動できる。敵の判別は使役者の感覚から読み取ってくれるので、よほどのことがなければ同士討ちもない。

 1人の術者で、数体から10数体を制御し、複雑な戦闘に投入できる。


 アザナのゴーレムが評価できる点は、ゴーレムの製作使役の才がなくても、一体のゴーレムを自在に操れる点だ。

 通常のゴーレムと違い、使役者の魔力の差で行動限界時間や力や早さが変わらない。

 一般兵士が1体とはいえ強力なゴーレムを操縦できるのだ。この利点は大きい。


 とはいえ通常のゴーレムも、従来通りの利点がある。

 才能さえあれば、こうして1人で数体から数十体ものゴーレムを使役できるのだ。

 重歩兵大隊の1つ2つの働きを見せるのがゴーレム使いである。

 純粋に戦闘要員を増やせる。

 間違いなくこの小男は、大陸でも屈指のゴーレム使いだ。


「ふふふ……どうだ! 驚いたか! 教えてやろう! 平民に生まれながらゴーレム使いとして大成に至った我が名は……」

「【彼に秘密の初弾!】」

 小男が名乗ろうとした時、アリアンマリが魔法を1体のゴーレムに打ち込んだ。

 不意に発生した空気の圧縮弾がアリアンマリの眼前に発生し、周囲の空気を巻き込みながらゴーレムの腹へと叩きこまれた。

 魔法陣を投影した様子はない。魔法の名前や、隠されていた魔力が急に発生した流れからして、前もって空気の魔弾を用意していたのだろう。魔力の気配を小さく隠しておいた空気弾を一発だけ、いつでも発射できる魔法ということか。

 威力はともかく、相手の出鼻を挫くには最適だ。

 1体のゴーレムがよろけ、包囲の輪が僅かに歪む。


「あ、我が名は……」

 改めて名乗りを上げようとした小男だったが、この隙を逃すほど魔法学園の生徒たちは甘くない。


「【天衣自縄の他者束縛!】」

 ユスティティアが立方体陣を投影を終えていた。

 魔法の発動とともに、ユスティティアの纏っていた服が解け、ゴーレム数体を束縛した。服の繊維が強化されているようで、ゴーレムの力を持っても簡単には破けない。

 抑えたゴーレムに向かって、ユスティティアを護衛する騎士たちが盾を翳して殺到する。

 さすが公爵家の騎士だ。盾に強化と衝撃の魔法を与えている。

 ストーンゴーレムといえど、騎士の盾突撃を受けて平然とは立っていられない。ましてユスティティアから拘束されており、まともな回避も態勢制御もできない。

 石の塊と金属と魔法の付与受けた盾が激しくぶつかりあい、少なくないダメージを受けて3体のゴーレムがバランスを崩してゆっくりと転倒した。


 ヴァリエの拳が、ゴーレムの脇腹をえぐる。

 フモセの作った落とし穴が、ゴーレムの足元をすくう。

 アリアンマリが地面を局地的に揺らしてゴーレムを足止めし、剣士が剛剣を持ってトドメを差す。

 テューキーの魔法で、森の草と蔦がゴーレムの動きを阻害する。

 そこを狙い、大槌を持ってワイルデューがゴーレムに迫る。大槌が後ろから衝撃と炎を発して、ワイルデューを中心とし吹っ飛び回る。

 大槌の純粋な重さに、遠心力と推進力が加わってゴーレムの脇腹に吸い込まれ、胴体を一撃で粉砕した。


 奮戦する魔法学園の生徒たちの間を抜け、2体のストーンゴーレムがペランドーに迫る。だが、アイツは遺跡を冒険した立派な魔法使いだ。

 もう貧弱な坊やじゃない。


「【地獄のかまどで待ち合わせ!】」

 ペランドーは地面に3角陣を投影し、漫然と進撃するストーンゴーレムがそれを踏んだ。途端、轟音と共に炎熱魔法が大地から噴き出る。

 新式ながら魔力の高さと相まって、ストーンゴーレムの足を一撃で破壊した。 

 足を破壊されたゴーレムが前のめりに倒れ、両手を草原についた。そこも【地獄のかまどで待ち合わせ】の敷設地点だった。

 再び爆炎が舞い上がり、頑丈なゴーレムの腕を吹き飛ばす。

 四肢を失ったゴーレムは完全に無力化された。


 次々とゴーレムが撃ち倒される中、制御に集中する小男は茫然と他なかった。


「……あれ? そ、そんな……」

 信じられないという顔で、小男は辺りを見回す。

 未だ戦闘は続いているが、すでにゴーレムが殲滅されるだけの惰性の戦闘だ。

 兵卒ならば100人どころか1000人相手に完勝できるゴーレム軍団だったが、オレたち……いや、オレとアザナが手を出すまでもなく、魔法学園の生徒たちと騎士相手では相手が悪すぎる。

 小男はオレとアザナに睨まれ、面白いほど青い顔をしていた。


「子供とはいえ、オレたち学園有数の生徒と、騎士相手になんとかなると思ったのか? アポロニアギャスケットのゴーレム使いさんよ」

補足。

ストーンゴーレムとはいえ対物なので、魔力弾は使用されません。魔力弾は非殺傷系で防御の立体陣や魔胞体陣を撃ち抜く用で対人特化の魔法です。


追記

地理設定を活動報告に追加しました。

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抜け道の出口どこだろうと思ってたらそこだったw
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