第8章 戦いに生きる者たち
今回は「武勇伝」を思い出しながら書いたため、話が長いかも・・・
上夫と八木の喧嘩はさらに激しくなっていった。
その時、愛子が通りかかった。
「あ、兄貴・・それに八木じゃないか」
「愛子、あいつらを止めろ」
「無理だ、セイヤ・・本気になった兄貴を止める事は私にも無理・・」
この場にいるもの達で、二人の喧嘩を止められるものはいなかった。
「こんなに楽しい喧嘩、初めてですよ・・先輩」
「八木、この強さで、弱き者を守ろうとは思わないのか?イジメをして楽しいか?」
「クスッ、別に守りたいとは思わないですねぇ。ただ、イジメは先輩のような人と喧嘩が出来ると思って、やっていただけです。先輩や妹さん、そして神威龍一はイジメが嫌い・・イジメをしていれば、先輩達と喧嘩が出来る・・そう思ったからです。」
「俺と喧嘩がしたいならいつでも買ってやるよ!」
そう言うと、上夫の鉄拳が八木に直撃した。
だが、八木はそのまま上夫の腕に関節技を決めた。
さらにそのまま投げ、上夫を地面に叩きつけた後、上夫の喉に肘鉄を喰らわせようとした。
上夫は何とかかわした。
この技も雷鳴という天神流の技だ。
「八木・・お前は、ホント天才だよ」
「それはどうも」
「だがな、努力をしたこのないお前では、俺には勝てん!」
「(アニキ、八木に勝自信があるのか?)」
だが、本当は上夫に勝自信はなかった。
さっきの、本気の正券突きを喰らっていても、八木には効いていないからだ。
しかも、上夫は立っているのが精一杯。
八木の攻撃が続く・・・
「アニキ、やめろよ・・死んじゃうぞ」
だが、愛子の言葉は上夫には聞こえていない。
「先輩、負けを認めたらどうですか?」
「俺は武道家として、負けない!」
「・・・そうですか」
八木の右の上段蹴り・・・
だが八木は、紙一重のところで止めた。
「・・どうした?八木・・」
「先輩は本物の戦士だ。戦いの中で生き、死ぬ覚悟がある。だから、また先輩と喧嘩したい・・・それに、先輩以上の戦士が二人、後ろにいます」
「な、何!?」
上夫が後ろ振り向くと、後ろに、神威龍一と、龍一の師匠でもあり、妻でもある神威瑠奈がいた。
神威瑠奈・・・旧姓は月形で、天神流の十七代目で、裏ではアルテミスと呼ばれるプロのスイーパーである。
「ほ、本物の神威龍一だ・・」
5人のヤンキー達は怯え、そのまま逃げ出した。
「(アイツは確か、生時さんが言っていた最強の武道家・・)」
「君達の喧嘩見せてもらったよ。二人とも強いなあ」
「えっ?あ・・いや・・ありがとうございます」
上夫にとって、神威龍一は憧れの武道家であった。
「今日はラッキーだ。先輩や修羅・・いや、神威龍一さんとその奥さんに会えるとは・・」
「君すごいよ。誰にも教わらずに、天神流の技が使えるなんて・・」
「真似事ですよ」
「だからすごいんだよ。今度は僕と戦うかい?」
「自分の実力は分かっていますから、やめておきます」
そう言って、八木は去ろうとした。
「八木、弱い者を守れとは言わない。だが、イジメはやめてくれ」
八木は振り返り、
「いいですよ。俺はただ、先輩のような強い人と喧嘩がしたいだけなんで・・」
と、微笑を浮かべ去っていった。
「大丈夫だよ。奴はホントのクズじゃない」
「はい」
「アニキ!」
「上夫!」
愛子とセイヤが駆けつけた。
「アニキ、大丈夫か?」
「ああ・・俺よりあの子のほうが心配だ」
リンチで血だらけの力也・・・
彼の目からは、痛みと悔しさで、涙が止まらない・・・
そんな彼に瑠奈が近寄り、そっと抱きしめた。
「あなたの痛みと悔しさは、よく分かるわ」
「(あ、温かい・・)」
「あれが、ルナさんの優しさ・・僕も昔、いじめられ、泥だらけだったのに、優しく抱きしめてくれた・・・」
龍一は、結婚してからも瑠奈に敬語で話す。
それは、龍一にとって、瑠奈は妻でもあると同時に、いつまでも越えられない師匠だからだ。
「力也」
「愛子さん・・・皆さんありがとうございました」
「まあ、また、あいつ等いじめられたら、私かアニキに言えばやっつけてやるよ」
「・・・皆さんが羨ましいです。僕にも強さがあれば・・・」
「力也、俺達はそれなりの努力をして強くなった。確かに中には、八木のように、テレビを見ただけで、技を自分のものに出来る天才もいる。だが、多くのものはそれなりの努力をしているんだ。」
「八木という子も、努力をしているよ」
「えっ!?」
「僕が早朝、ジョギングをしていると、よく彼が独自で稽古をしているのを見かけた。」
「そうだったのか・・・」
「でも、天神流を誰にも教わらずに、使えるのは、彼の素質と努力だろう」
「でも、僕はいじめられっ子だし・・・」
「力也君、俺も昔いじめられていたんだ。名前が変という理由で・・だから、強くなろうと、格闘技を学んだんだよ」
「ホントですか?」
「ああ・・」
「僕もいじめられていた・・父親が強いのに僕は弱いという理由で・・いや理由なんてあいつらには関係ないか・・でもそのおかげでルナさんに会えたけど・・・」
「ぼ、僕、強くなりたい!」
「よし、愛子!お前が彼を鍛えろ!」
「私が・・・!アニキが教えればいいじゃん」
「男より女のほうが彼も喜ぶ」
「めんどくさいだけだろう」
「さっきのあの子の目、昔のリュウみたいね」
「そうですね・・彼も強くなりますよ。今後の成長が楽しみです」
こうして、力也も強さを求め始めた。
どうでもいい事ですが、レジェンドはバンド名で生時がペンネームです。
前に生時でこのサイトに載せていたんですが、パスワード忘れて管理者に連絡したけど来ないため、新たに生時 (レジェンド)で載せる事になったのです。