第10章 魔法の国から来た女
仕事忙しいよ〜><
まだ入ったばかりだけど・・・
二人が付き合ってから1週間後・・・
上夫とセイヤが散歩をしていたら、セイヤ上に女性が落ちてきた。
「いた〜・・着地失敗・・」
「重い・・早くどけ」
「あっ、ごめんなさい」
普通は犬が喋れば驚くのに、女はまったく驚きもしなかった。
「大丈夫か?」
長い髪に優しそうな目、見た感じ十五くらいの女だ。
「どうもスイマセンでした」
「(この子、犬が喋ったのに驚きもしない・・気づいてないのか!?)」
「(けっこうカッコイイ人・・この人に決めた)」
「君、屋根から落ちたのかい?」
「あっ、私、魔法の国から来ましたミサで〜す。年は二十歳、ヨロシクね!」
「上夫、この子大丈夫か?」
「さ〜、頭でも打ったのかも」
「あ〜、信じていないでしょう。ホントなんだから」
「し、しかし、魔法の国って・・・しかもハタチには見えない」
誰だって、魔法の国から来たなんて言われても信じられないだろう。
しかも自分から言えばなおさらだ。
「証拠を見せてあげるわ」
「上夫、この子マジでやばいぞ」
「何がいいかしら・・・あっ、あなた口から血が出ているわね」
上夫は数分前、たかりをしていた奴らと喧嘩をしてきた。
もちろん、上夫は一発殴られただけで、簡単に勝利した。
「マジカル、マジカネ、マジカヨ・・・」
ミサは呪文らしきものを唱えると手が光、上夫の口に近づけると、血がとまった。
「・・ほ、本当に魔法の国から・・?」
「はい!」
「う〜む・・・少しうそ臭いけど、まあ、信じよう。しかし、ハタチには・・」
「どうせ童顔ですよ。」
「それで、何しにこの国へ?」
「実は、結婚相手を探しています」
「結婚相手!?魔法の国では男がいないの?」
「いるけど、キモイのしかいない。それに子どもの頃からこの世界に来たかったしね」
「そうかい・・いい人見つかるといいね」
「もう見つけた」
ミサは上夫のほうを見て微笑んだ。
「お、俺・・?」
「そう、一目惚れしました。ミサリンって呼んでね」
「俺は、無理!俺は、年上がタイプ・・あっ・・」
「あなた、いくつ?そういえば名前も聞いてないわ」
「も、もういいだろう・・セイヤ行くぞ」
上夫達が行こうとしたら、ミサはセイヤの尻尾をつかんだ。
「ワンちゃん、私、本気なの・・だから、この人のこと教えて」
「・・こいつの名前は、愛上夫、16歳だ」
「余計な事を言うな!」
「いいじゃないか」
「愛上夫・・素敵なお名前・・」
「アホらしい・・行くぞ!」
「ウッチー待って!」
「だ、誰がウッチーだ!」
「恥ずかしがらなくてもいいじゃない。私のほうが年上だから、あなた好みの女よ」
「年が上でも見た目は子どもじゃないか」
「分かったわよ。そのかわりコンビニまで付き合って」
「まあコンビニまでなら」
上夫たちは近くのコンビニで買い物をした。
「ミ、ミサちゃん、お酒買っていたけど、飲めるの?」
「あんまり好きじゃないけど・・」
そういいながら、ミサは全部飲んだ。
すると、今まで子どものようなミサが美しい大人の女性に変わった。
「ミ、ミサちゃん・・・?」
「そうよ」
「驚いたな〜まるで別人だぜ!なあ上夫」
「あ、ああ・・魔法で変身したのかい?」
「違うわ。私はお酒を飲むと大人の姿になり、牛乳を飲むとさっきの姿になるの」
ミサは容姿だけでなく、言葉使いも大人の口調になった。
「少しは、上夫さん好みの女性になれたかしら」
「は、はい・・」
上夫は動揺した。
「あなたの家に行きたいな」
「えっ!いいですよ。」
「(俺だけ面白くないな・・・)」
セイヤはミサをさっきの姿に戻そうと考えた。
「ミサさん、上夫の親父はさっきのアイドル系が好きなんだよ。コイツの親に気に入られたかったら、牛乳を飲みなさい」
「そうなの?」
「俺の親父はもういないぞ。セイヤ、うそをつくな」
「・・どんな姿でも上夫さんや、ご家族の方に気に入られなくては」
ミサが牛乳を飲むと、さっきの子ども姿に戻った。
「ミ、ミサさん・・いやミサちゃん、お酒飲まない?」
「ミサ、お酒は今いらない」
「そうですか・・・」
上夫たちは自宅に帰ってきた。
「ただいま」
「おかえり・・あら上夫のお友達?」
「お母様ですか?私、ミサといいます。ウッチーの彼女で〜す」
「まあ、上夫に彼女がいたなんて・・元気でかわいらしい子で良かったわね」
「・・・ああ・・」
「お邪魔しま〜す」
居間では愛子がテレビを見ていた。
「おっ、アニキの彼女かよ」
「ああ、ミサちゃんだ」
「ミサで〜す!ヨロシクね!」
「変わった奴だな」
しばらくすると、して代が紅茶とショートケーキを持ってきた。
「ミサちゃんの家はどこ?」
して代がミサに質問してきた。
「私、魔法の国から来ました」
「まあ、魔法の国から、素敵ね」
相変わらず動揺しない母親だ。
だが、愛子は変な奴と思っている。
して代とミサは、すっかり意気投合していた。
「アホらしい・・アニキ、何であんな女と付き合ったんだ」
「酒を飲むと俺好みの女になるから」
「酔うと性格が変わるのか?」
「まあ、見てな」
上夫は冷蔵庫からビールを持ってきた。
「ウッチーありがとう」
そう言ってコップに注がれたビールを飲み始めた。
彼女がビールを全部飲むまでに姿は変わり、愛子は驚いた。
して代だけは能天気に、
「あら、ビールを飲むと大人らしく見えるわ」
と、言った。
「アニキ、ほんとにアイツ魔法使いなのか?」
「ああ・・」
「なあ、私のお気に入りのカップ、さっき割っちゃってさ、直せる?」
「これくらいなら・・」
彼女は呪文を唱えカップを直した。
「すげ〜、ありがとよ」
「ミサさん今日は泊まっていきなさいよ」
「いいのですか?」
「私もアンタが気にいたよ」
「(これは面白くなった)」
そう思いながら、セイヤは牛乳を持ってきた。
「ありがとうセイヤさん」
牛乳を飲むとまた子どもの姿に戻った。
「ではお母様、ミッチー、愛ちゃん、ワンちゃん、よろぴくね!きゃはっ!」
子ども姿になると何かムカつくと、愛子と上夫は思った。
職場には病気の事を隠してます。
正体がばれないように一般人のふりをして仕事してます。
パーマンが正体を隠して生活しているような感じです^^