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荊さんと出会ってから、一時間は経過しただろうか…
流石に部活後だと疲れたのか、息が少し上がってきた。
いくら林の中で日陰が出来たとはいえ、気温は低くない。
さらに山などに比べれば然程悪い訳ではない足場も、軽い傾斜になっていて、安定しないので徐々に体力を奪う。
荊さんも肩で息をし始め、気持ちが切れそうな時、やっと家の屋根らしきものが見えてきた。
「荊さん!見えましたよ!」
「本当…かい…」
俺はあと少し!と励ますように伝える。
俺の声に反応して、最後の踏ん張りを見せた荊さんは 年寄りに容赦のない道だね…と感想を述べた。
二人並んで目の前の一軒家?を眺める。
屋敷や洋館と言う程大きい訳ではないが、
それでも、大分立派な三角屋根の家がぽつんと建っていた。
「お、大きいですね」
唖然として眺めていると、白い扉の玄関を発見、その左上には遠目だが荊と書いてあるように見えた。
「あ!やっぱりここであってるっぽいですよ!」
俺はなんだか、子供の頃に見つけた秘密基地の感覚が蘇り、少し興奮していた。
周りの洗濯竿や自転車を視界に入れながら、小走りで玄関まで近づき、表札をしっかり確認する。
やはり荊の文字が書いてあり、その右横に啓太と書いてある。
恐らくこの啓太って人が荊さんの息子さんだろう、その下には恵と愛華なる名前があり、
奥さんと娘さんかな?なんて予想した。
何はともあれ、やっとついた。
住所も書いてあるものと家のポストの手紙と一致する。
俺は荊さんに確かな朗報を発表しようと振り返る。
「荊さん!やっ!…と……あれ?」
そこに荊さんはいなかった。
「い、荊さーん!?」
呼んでも返事はなく、挙動不審な人間のようにキョロキョロと辺りを見回す。
「…え?…え?……どゆこと…?」
理解が追いついてこない…
「荊さぁーん!荊さーーん!!」
返事がない。ただの屍のよ……
「いやいやいや!」
現実逃避しかけた…
危ない危ない……
俺は荊さんを探すため、とりあえず家の周りをぐるっと一周してから、今度は来た道を見直してみる。
「…なんで?」
頭にハテナが無数に浮かびあがる。




