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おばあさんはキョロキョロと、困った顔で、手に持った紙と目の前にある家を見比べ、
表札の名前を見てはまた辺りを見回している。
このへんじゃ、見ない人だなぁ。
俺は町内のご近所さん達を思い浮かべながら、既に足をその人へと向かわせていた。
「あの〜、どこかお探しですか?」
俺はなるべく柔らかい声でおばあさんに話しかけた。
「ん?おやおや、お前さんは?」
「あ、僕はこの町内の若林といいます」
「そうかい、いや実は地図がちょいとあてにならなくてね」
そういうと、おばあさんはその地図をクルクル回し始めた。
「あの、僕でよければ行き先まで案内しましょうか?」
「おやおや、いいのかい?」
「はい、僕はどうせ暇でしたし、この暑さの中ずっと歩いてたら倒れちゃいますよ?」
おばあさんは少し考えた素振りを見せると
じゃあ、お願いしようかね とにっこり笑って地図を渡してきた。
俺もにっこり笑ってその地図を見ると、顔が多分、苦笑いに変わった。
「な、なるほど…」
なんというか、コレはヒドい。
子供が頭の中だけで思い出した道を書きなぐったようなガタガタの線に、ココっと矢印が書いてある。
とゆうか、スタート地点らしき場所も ここから! という文字と変な絵で書いてあるだけで全然分からん。
おばあさんも俺が渋い顔をしたのを見て、
「分からんだろう?」
と苦笑する。
これは誰が見ても分からんです。はい。
「あの、住所とか分かりませんか?」
俺は地図との格闘に即座で耐えかね、おばあさんに新しい情報を求める。
おばあさんは腕にかけた風呂敷の包みから一枚のメモ用紙を取り出し、渡してくれた。
その紙には光介の知っている住所が書いてある。
「良かった!これなら分かりますよ!」
「おや、なら良かったよ。あたしには、これを見てもどこにあるんだかさっぱり分からんかったからね」
「あははは…じゃあ、行きましょうか?」
「よろしくねぇ」
光介は、自分の帰り道とは逆に歩き始めた。
確認の為、もう一度メモ用紙を見る。
そこには、地図とは別に、荊家と書いてあり、ふと思う。
荊さんって、名前すら見たことないなぁ……




