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支配下で支配人がダンジョンを支配する  作者: 雪ノ音
初めてのダンジョン攻略
6/46

再スタート

 微かに洞窟に差し込む日の光を浴びての目覚めは、それが何処の世界であろうと気持ちいい事には変わりがないらしい。それが逃げ場を失ったダンジョンであろうとだ。


 今の時点での驚きは2点。


 1つ目、ダンジョンの中だというのに夜も朝もある事。

 2つ目、意識を失う原因がなんであれ、深く眠れれば気持ちも体力も回復するものだという事。自身の不注意な発言が原因だとしてもだ。


 思った以上に体の痛みも取れている。背中に貼られている臭い葉っぱのおかげだろうか? 意識を失っている自分を手当てしてくれたのはハイネしか考えられない。

 彼女自身も大量の血を消費している状況で、良くここまでやってくれたものだと感謝しかない。

 ちなみに感謝の中には、昨日の眼福となる光景の事は含まれていない。


 肝心の彼女は少し離れた場所で、まだ静かな寝息を響かせている。

 今日くらいはゆっくり寝かせてもいいだろう。

 目を覚ませば、ダンジョンからの命がけの脱出に全力を出す現実があるから。

 その時までに情報をまとめる必要がある。


 昨日、何匹かのゴブリンを倒している。

 レベルがある以上は、その経験は糧になっているはずである。となれば最初にやる事は1つだ。


(サードアイ!)


 心の声に反応するように発動したスキルは、自分のステータスを認識させてくれる。


 対象    『クロス・ロード』

 種族    『人間』

 レベル   『3』

 戦闘力   『E』

 使用魔法  『無』 

 スキル   『サードアイ』『支配人の権利』

 アビリティ 『双剣の素質』

 職業    『アビスの館の支配人』


 変わっている!?

 レベルが上がっている。

 1から3へと。それがどれだけ意味があるかは微妙ではある。

 自身に驚きを与えたのはそこではない。

 ステータスの詳細が増えている。

 アビリティなんて前には認識できなかった。たまたま今回の戦いで習得できただけなのかもしれない。

 どちらかは分からないが、1人だったら無理な事でも2人いれば、これを比べる方法は簡単だ。


 まだ寝息を継続しているハイネにもサードアイを使用する。


 対象   『ハイネ』

 種族   『人間』

 レベル  『12』

 戦闘力  『D』

 使用魔法 『炎属性』

 スキル  『魔力節約』

 アビリティ『格闘家の素質』『薬師の素質』

 職業   『魔女』


 間違いない。認識できるステータスが増えている。

 2人揃ってアビリティを偶然得られたとは考えにくい。

 となれば、レベルアップによりサードアイの効果もアップしている可能性が高い。

 間違いがなければ大きな意味がある。

 つまり、レベルが上がれば得られる情報が増えるという事。

 場合によっては相手の弱点を予想が安易になり、攻略に繋がる可能性も生まれる。


 そして、もう1つ気づいた事がある。

 ハイネのレベルが1上がる間に、自分は2上がっている事である。

 低い頃は上がりやすいのかもしれない。だが、別の可能性も考えられる。

 それは強敵と戦う事で上昇しやすいと言う可能性。

 ハイネはレベル11の状態で、昨日は少なくても俺よりもゴブリンを倒している数が多い。

 討伐している数が少ない自分の方が経験を多く得られたのは、レベル1から見て強敵だったからだとしたら説明がつく。

 あくまでも『支配人の権利』でハイネのステータスを上乗せしているだけであり、基本はレベル1と言う計算なら、レベル1でレベル11~13のゴブリンを複数を葬った事は大きな経験のはずだ。


 もちろん結論を急ぐ必要はない。

 今日からやるべき事をやって行けば、きっとそれは判明していく。

 脱出する為の何かを見つけつつある事に微かな希望を持ち始める。


(時間をかければなんとかなるかもしれない……!)


 1人で心の余裕を感じ始めていると、背後から寝息を立てていたはずの人物の動く気配を感じる。


「あれ? クロスさん、もう起きていたんですね」

「ああ、朝の光に起こされたよ」

「ここにも光が届くんですね」

「日の位置によっては差し込むらしいな。ところで体の状態はどうだ?」

「全開とは言えませんね。力がしっかり入らない気がします」

「しっかり入らない状態でも、俺は気絶させられたわけか……」


 恐ろしい事実だ。

 もう職業が魔女なんて忘れた方がいいかもしれない。

 アビリティ『格闘家の素質』恐るべし!


「あっ、申し訳ありませんでした! 気づいたら手が出ていました……。だって……ほら……」


 続かない言葉の後に両手で顔を隠すしぐさは、殴られていない人間が見れば、乙女そのものに見えた事だろう。だが俺は騙されない。今後は寿命を縮めない為にも油断する事はない。もちろん、彼女のお漏らし事実は絶対に秘密にしなければいけない。


「気にしていないよ」


(だって、貴重な物も見れたしね。それに今はやる事がある)


「そんな事よりも今後の予定について話し合おう」

「予定ですか?」

「そうだ。このダンジョンから脱出する為の予定をだ」


 始まったばかりで、いきなりの終わりを受け入れるつもりなんてない。

 自分の命を守る為にダンジョンに入ったのだから。

 そして唯一の仲間である、ハイネと共にこれからも戦っていくために。

本当の始まりを迎えた気がしますね。

ここを冒険のリスタートとして加速していくはず……?

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