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異世界になじんでいく過程が好き


 大変今さらですが、異世界もの(異時代も可)が好きです。理由はいろいろなのですが、そのひとつに、異質な世界に飛ばされた主人公がその世界の住人としてなじんでいく過程が好き、という部分があります。

 最初は戸惑っていたことが、今では普通にできるようになっている――そんな主人公(=自分)に高揚感と嬉しさを覚えます。これは二次元に限った話ではなく、進学や就職など現実での新しい挑戦にも当てはまることなのですが、異世界の場合は慣れるまでの苦痛を主人公が肩代わりしてくれるのと(笑)、現実ではありえないほどの大きな体験ができるという楽しさがあります。

 それを象徴するものとして、物語の途中で「主人公がこの世界に慣れたからこそ成し遂げられたこと」が出てくるのが好きです。

 わたしの好きな漫画で「天は赤い河のほとり」(篠原千絵)という古代トルコの異時代トリップものがあります。この漫画に、はじめは古代の人々との考え方の違い――身分の低い者を簡単に切り捨てたり、戦争では女子供が犠牲になるのが当たり前であったり――にただただ辟易していた主人公が、次第に古代の戦争の仕組みを理解し、戦い方を学び、意表をついた作戦で敵の城を無血開城する、というシーンがあるのですが、この爽快感はたまりませんでした。

 まわりの人々は彼女の成長ぶりに驚きます。そして彼女の「命を粗末にしたくない」という理想が支持されていきます。主人公が古代世界について学んだからこそ成し遂げられたことです。(もっとも彼女の成長はいささか唐突で、物語として見ればつっこみどころ満載なのですが)

 人間関係においてもそうです。異世界の人々は当然こちらの人間とは価値観が違うわけで、しかも突然現れた主人公に対して戸惑っていたりして、主人公にとっては理解しがたく、初めは全ての人間が敵のように見えると思います。

 また異世界が旧時代的な世界の場合は、追い剥ぎや圧政等、未発達な世界ならではの被害にみまわれて人間不信に陥ることもあるかもしれません。そんななかで、言葉を交わしたり、優しい人に出会ったりして異世界の人間と交流を深めていく過程は、とても気持ちがいいです。

 「目が合ったとき笑ってくれるのが好き」でも触れたように、異世界の人々も自分と同じ人間であり、同じようなことを考え、いい人も悪い人もいることを理解していくのが、異世界ものの醍醐味であるように思います。

 ただし「爽快感」という部分が大きな要素であるため、「現実そんなうまくいくわけないだろ」というご都合主義とは紙一重であるかもしれません。しかしあまりにもうまくいかなすぎると勢いに欠け、物語として楽しくありません。そこをうまく白けさせないように、リアリティーのあるものに描いていくのが難しいところですね。

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