主人公がはじめ恐れていた人物と次第に仲良くなっていく展開が好き
主人公がはじめ恐れていた人物と次第に仲良くなっていく展開が好きです。その展開がことさら押し出されている必要はありません。初対面の際に主人公がその人物を見て恐れる。その後その人物に好感を抱くようになる。この二点だけ満たしていればよいのです。
特に異世界トリップにおいて出会う、異世界の住人などに対してよく思います。主人公よりも年上であったり、その世界において権力を持っていたりなど、威圧的な要素があるとなおよいです。異世界は当然未知の場所ですから、そこで出会う人々は、たとえ普通の村人であっても、怖いものでしかありません。作者が意図しなくとも、その描写は自然と読者の不安感を煽るものとなるのです。
じつはこれは実生活でもよくあることで、初めての環境に身を置かれるとたいてい周囲の人間は不穏なものに見えてしまいます。しかししばらく一緒に過ごすうちに親しみを持つようになります。それも、はじめ強く恐れていた人物ほど、強い好感を抱きやすくなります。言い方は悪いですが、いわゆるストックホルム症候群に似たような心理があると思っています。新しい環境という強いストレスと恐怖が、その人物にわずかな好感を抱いた瞬間、翻って強い好意を湧き起こさせるのだと思います。
そんな実体験が主人公の心情とシンクロし、未知の世界に慣れてきたというリアリティを強く呼び起こさせます。




