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虹のたもとの宝物

作者: 尚文産商堂
掲載日:2012/09/14

「ねえねえお母さん、虹だよ!」

私は、ちょうど晩ご飯を作っていた母に、空の虹を見せようと、部屋の中で叫んだ。

「あら本当。きれいねえ」

母は、それをチラリとだけ見て、またご飯を作り出す。

「そういえば知ってる?虹のふもとには、素晴らしい宝物が埋まってるそうよ」

母が教えてくれたその話。

今じゃ、虹は届かないということを知ってるけども、その時には、本気で虹のふもとへ行こうとしていた。


ちょうどお昼の時間となった。

私は、友人と一緒に、学食でご飯を食べ終わったところだ。

「ほら、これ見てよ」

大学で知り合った友人が、運動方程式を解いている私に見せてきた。

「何なの、それ」

「虹だって」

「虹ねえ」

うっすらとした虹らしいものも写っているが、判然としない。

「それがどうかしたの」

「虹のふもとにある宝物、探してみたくない?」

「単なる光が空気中の水分に乱反射した産物でしょ。刻一刻と姿が変わっていくんだから、探しても意味ないと思うけどね」

「夢がないなー」

友人は、不平を言うように、口をとんがらせて言った。

「ま、そう言うと思ってたけどね」

友人が携帯をポケットにしまい、全く関係ない別の話をし始めた。


いつからだろう、私がこうして現象を物理学で説明できると考えるようになったのは。

でも、一つだけわかってることがある。

虹を見れば、いつでも私は宝物が埋まってるかを考える。

きっとその中には、私がまだ小さかった頃の、あの純粋さが入ってるだろう。

もう取り戻せないかもしれないけど、誰か見つけた時に教えて欲しい。

純粋さは、必要ですかと。

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