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第4話 男をダメにする女

世の中には「アゲマン」と言って男を成功させる女が存在する。その反面、男をダメにする女も存在する。ほんの遊び心で手を出したら人生をダメにしてしまうから、用心した方がいい。浮気はもちろん、本気の相手であっても不幸になるとわかって付き合うのは

自殺行為だ。

でも、どうやってそれを見極めたらいいのだろう。しばしば、占い師のところにそんな相談が持ち込まれる。

「最近、何をやっても裏目に出るんですが、運勢が悪い時なんでしょうか?」

見るからに背広もヨレヨレの三十代の男が千円を出して、見てもらいたいと言う。

「いいけど、長居はしないでよね。後ろに怖い顔した女が取りついているから。」

男は驚いて後ろを振り返る。

「どんな女ですか?」

「髪の長い、色の白い痩せすぎの女だよ。よくいるオバケ役がぴったり来るタイプだね」

と笑う。男は真っ青になって真摯に迫ってくる。

「今、その女につきまとわれて困っているんです。たった一度だけの関係だと納得して

いたのに。僕の子を孕んだと言ってきて、妻には離婚され、会社にまで乗り込んできて、立場なんてありはしない」

「よくある不倫だね。因果応報だなんて言うのは可哀そうだけど。寂しい女は落としやすいけれど、親切にしたら捨て犬と一緒で、どこまでもついて来るよ。普通だったら

『一緒になりなさい』ってアドバイスするところだけど、彼女だけはやめておきなさい。縁切り寺でも行くとか。まあ、そんなもので切れるなら、こんなところには来ないだろうけどね」男は涙目になっていた。

「そうなんです。何度も話し合いをしても、どんどん近づいてくるんです。前に話した

内容も、彼女の中では別のストーリーになっていて、追いかけてくるんです。そのうち病んで、向こうの親まで出てきて大騒ぎ。それでも無視していたら自殺騒ぎ。一体どうしたらいいんだ。医療費も払わされて、切れたもんだと思っていたのに、毎日マンションの下に立っている。恨めしそうに僕を見て、まるで幽霊のように、何を言っても反応がない。どうして、あんな女なんかを抱いたんだろう。妻を愛していたのに。ちょっとした火遊びだったのに。そういうことって、男にはあるでしょう?」

「そういうこと、山ほど事例があるわね。確かに。ほんの気まぐれ、成り行き任せ。そういうのを“魔が差す”って言うの。つまり悪魔に取り込まれたってこと。執念深いわよ、愛されたことのない女と情を交わすと。まあ、男ならよくあることだから、誰かに相談してみては?」と占い師は、さっさと店を閉じてしまった。

取り残された男は茫然とするばかり。

「ちょっと待ってくださいよ。占い料を払ったんだから。僕の未来を占ってくれなきゃ

詐欺でしょう?」

と占い師の服を掴むと、黒づくめの衣装がするりと脱げて、振り返った顔は、そのストーカーの女だった。

「毎日のように生霊を飛ばしてあげる。私は男の運を食べる“下げマン”なんだって。不埒な男を地獄に突き落とす閻魔みたいなものだから。出会ったのが不運だと思って、地獄の苦しみを今世楽しむことね」とニヤリと笑った。

「本当は、こんなクズ男ばかりと縁を持つ自分の運勢を呪いたいところだけれどね」

と呟いた言葉は、男には聞こえなかっただろう。



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