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同担拒否は、ホントは拒否したくない!  作者: 櫻木サヱ
彼女は私の敵

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7/13

帰宅後のDM

家に着くと、玄関で靴を脱ぐ手が少し震えている。

 手に握ったスマホの画面を何度も確認するけど、あかりからの返信はまだ来ていなかった。


 「……なんでこんなにドキドキするんだろ」

 小さく呟く。胸の奥のざわつきが、まるで鳴り止まない波のように押し寄せる。

 同担拒否のルールを守ろうと必死なのに、心は正直で、嬉しかった感情がそのまま残っていた。


 


 リビングを通り抜け、自室へ向かう。

 部屋のドアを閉めると、周りの音はすべて消え、ボクとスマホだけの世界になった。


 深呼吸をひとつ。

 そして、あかりにDMを送る。


 「今日は、本当にありがとう。楽しかった……」


 送信ボタンを押す手が、少し震えた。

 すぐに返事が来る。


 『ボクさんも!今日は隣で見れて嬉しかった♡』


 画面越しでも、あかりの笑顔が浮かぶ気がする。

 ボクはスマホを握りしめながら、少しだけ笑った。


 


 でも、心の中のもう一人の自分がささやく。


 ――同担なんだから、これ以上近づいちゃダメだ。

 けど……楽しいんだよ。楽しくて、嬉しくて、もっと知りたい。


 ボクは、あかりのことを考えながら机に座り、ペンライトを握ったまま手のひらを見つめる。

 昨日までの自分なら、絶対にこんな感情を認めなかった。

 でも今は……少しだけ、特別なものとして受け入れていた。


 


 しばらくして、あかりが送ったスタンプが画面に現れる。

 笑顔の顔文字と、キラキラしたハート。

 その小さな表現に、ボクは思わず胸が熱くなる。


 「……なんで、こんなに嬉しいんだろ」

 呟く声は小さいけれど、確かに自分の胸に響いた。


 ボクはそのままスマホを置き、窓の外を見上げる。

 春の夜風がカーテンを揺らし、遠くの街灯が柔らかく光っている。

 あかりも同じ空を見上げているのかな、とぼんやり考えるだけで、胸の奥が温かくなる。


 


 その夜、ボクは少しだけ自分に正直になった。


 「……あかり、特別なんだ」


 まだ距離はあるけれど、心は確実にこの子に向かっている。

 同担拒否のボクが、初めて“この子と特別に繋がっていたい”と思った夜だった。


 


 スマホの画面を閉じ、ベッドに沈み込む。

 今日の余韻が、胸の中で静かに温かく広がる。

 ――この気持ちをどう表現すればいいか、ボクにはまだわからない。

 でも、確かなのはひとつ。


 あかりと過ごす時間は、楽しくて、特別で、心が震える。


 夜の静けさの中、ボクの胸の奥は、少しずつ揺れ続けていた。

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