自然に近づく距離
放課後、ボクは夏海と一緒に校庭を歩いていた。
風が少し涼しくて、夕日が校舎をオレンジ色に染める。
恋心じゃなくても、こうして肩を並べて歩くだけで、心がふわっと温かくなる。
「みおちゃん、見て!この新しいグッズ、めっちゃ可愛いんだよ」
夏海が笑顔で見せてくれた小さなキャラクターグッズ。
ボクも思わず笑って手を伸ばす。
「ほんとだ、可愛いね!」
その瞬間、笑い声が風に混ざって校庭に響く。
肩を並べる距離も、自然で心地いい。
胸がぎゅっとなるような恋のドキドキはないけど、友情の温かさで胸が満たされる。
「ねぇ、みおちゃん、これ一緒に飾ろうよ」
夏海の提案に、ボクは素直に頷く。
二人で小さなグッズを並べる作業は、まるで秘密基地のようで楽しい。
「こういう時間って、いいね」
ボクが呟くと、夏海もにっこり笑った。
「うん、私も同じ気持ち!」
何気ない会話や行動の中で、二人の絆は少しずつ深まっていく。
恋愛ではなくても、友情の甘さや安心感が胸にじんわり広がる。
こうして笑い合える時間が、二人にとって大切なものだと感じる。
「明日も一緒にこんな時間、過ごせる?」
夏海が少し期待するように聞く。
「うん、もちろん」
ボクは笑顔で答えた。
友情の約束が、こうして自然に積み重なっていく。
夕日が沈みかける校庭で、二人の影が長く伸びる。
肩を並べ、笑いながら歩く時間は、心に甘く温かい余韻を残した。
恋ではなく、友情だからこそ、安心して甘さを感じられる――そんな幸せを、ボクは噛みしめていた。




