夜の公園
放課後の秘密の公園。
昼間とは違って、夜風がそよぐ。
ベンチに座るボクたちの手は自然と触れ合い、心臓は早鐘みたいに鳴っていた。
「……ねぇ、みおちゃん」
夏海さんがボクの手をぎゅっと握る。
「ちょっと近くて……ドキドキする」
ボクも思わず手を握り返す。
「……ボクも……」
胸の奥が熱くて、息が詰まりそう。
⸻
ふと夏海さんが近づいてきて、
「ごめん、ちょっと耳元で……」
そう言いながらボクの耳元に顔を寄せる。
「……え?」
心臓が止まりそうになった。
鼓動が耳にまで響く。
息まで近くて、胸の奥がぐわんと熱くなる。
でも、夏海さんの口元はボクの耳にだけ届くくらいで、
唇は触れていない。
それなのに、どうしてこんなにドキドキするんだろう。
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「……今日、楽しかったね」
耳元の声は甘くて、でも安心する声。
ボクは一瞬、頭が真っ白になって、
「……う、うん……」
しか言えなかった。
心の中で、どうしても勘違いしちゃいそうで、
でもちゃんと確かめる勇気もなくて……
胸が苦しくなるくらい、ドキドキが止まらない。
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ボクは目をそらしながら、必死に冷静を装う。
「……あの、手、離そうか?」
「え、ううん……いいよ、そのままで」
夏海さんの返事にまた胸がギュンとする。
ふたりの距離が近すぎて、
このまま勘違いしちゃいそうな自分を、笑いながらも止められない。
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夜空を見上げると、星がちらちら光っていて、
その輝きが二人の距離を照らしているみたい。
ボクは心の中でつぶやいた。
“あぁ……夏海さんって、ずるい……”
勘違いしそうな距離、耳元の甘い声、手のぬくもり……
全部が、胸をぎゅっと締め付ける魔法みたいだ。




