はじめての2人だけの帰り道
カラオケを出た後、駅までの帰り道。
街灯が並ぶ道に、ボクたち二人だけの影が揺れる。
手をつないだまま歩く距離が、昨日よりずっと近く感じる。
昨日のイベント、今日のカラオケ……
積み重なった思い出のすべてが、胸の中でぐるぐるしている。
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「ねぇ、みおちゃん」
夏海さんがふと立ち止まり、ボクの手をぎゅっと握り返す。
「……手、冷たくない?」
「ううん、大丈夫」
小さな声で答えながらも、胸がぎゅっと締め付けられる。
触れているだけで、心臓が跳ねる。
「よかった……手を握ってて」
夏海さんの声は、照れくさそうで柔らかい。
その声だけで、ボクの心はドキドキして、世界が少しゆっくりになる。
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歩きながら、二人の視線が自然と合う。
目を逸らしたくなるのに、見つめ合う。
小さな沈黙の中で、心臓の音だけが聞こえるような気がする。
「……ねぇ、ボクちゃん」
耳元にささやく声。
「今日、一緒に過ごせて……すごく幸せだった」
胸が締め付けられる。
ボクも、同じ気持ちだから。
「ボクも……すごく、幸せです」
声が少し震えるけど、手を握り返すことで、全て伝わる気がした。
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駅前に着くと、人通りが少し増えてくる。
でも、ボクたちはまだ手をつないだまま。
離れるなんて考えられない。
夏海さんがそっと笑う。
「明日も会える?」
「もちろん……」
言葉に力を込める。
今日の帰り道、手をつないでいるだけで、世界が二人だけのものになった気がする。
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夜風が少し冷たくて、ボクは自然に肩を寄せる。
夏海さんもボクに寄り添い、二人で歩く。
笑い声、手のぬくもり、胸の高鳴り……
全部が、初めての“帰り道”を特別にしている。
心の中でそっとつぶやく。
“このまま、ずっと一緒にいたい”
ふたりの距離が縮まるたび、
恋の魔法が胸いっぱいに広がっていく。




