表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
悪役一家の末っ子に転生した俺、家族を守る為に破滅フラグをぶっ壊す  作者: おとら@9シリーズ商業化


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

5/20

魔法について

それからしばらく経ち、行動範囲も増えてあちこち動き回る。


しかし当然、そんなに広い家ではないので……飽きてきた。


ちなみに、冷蔵庫は存在しないことが判明した。


そちらも重大だが、今の俺にはそちらより気になることがある。


「ねえさん、退屈です」


「ねーねは?」


「もう三歳なのです!」


「うぅー……お母様とお父様の言いつけとはいえ寂しいよぉ……」


そう、俺は三歳の誕生日を迎えた。

その際に父上と母上、姉さんと兄さんと呼ぶように言われたのだ。

何故が、それを言った両親が苦汁の表情を浮かべていたのが印象的だった。

父上とか『ぐぬぬ……』とか言ってたし。


「ねーねも、ねえさんも好き!」


「……呼び方なんて些細なことね!」


「んぎゅ……」


この抱きつくのは、どうやらやめてくれそうにありません。

それはそれで寂しいから良いけどさ。

解放された俺は、姉さんに連れられて縁側にやってくる。


「今日は、にいさんいないね?」


「アイツなら槍の稽古よ。十歳になったから、そろそろ本格的な稽古を始めたみたい」


「ふぁ……すごいです」


兄さんは年の割に体格もよく、父上と同じく槍の才能があるらしい。

領主の息子として、兄さんも既に狩りに参加しているとか。


「た、大したことないわ。私だって……やれるもん」


「ねえさんは、魔法が使えるからすごいです! それに頭も良いです!」


「えへへ……ありがとう」


姉さんも狩りにいきたいが、女の子だからと許可が下りないみたい。

母上と同じ火属性魔法を使えるし、組手の才能とかもあるのに。

貴族ってこともあるけど、やっぱり女の子はお淑やかにって文化が異世界にもあるのかも。


「僕、魔法が見たい!」


「し、仕方ないわね……許可が下りてるやつだけよ?」


「わぁーい!」


「それじゃ……火よ」


俺を膝に乗せたまま、姉さんが火の玉をお手玉のように扱う。

よくわからないが、これは中々に凄いことらしい。


「わぁ……きれいです!」


「ふふ、役に立って良かったわ。でも、これだけ扱えても森では使えない……」


姉さんが狩りに連れて行かれない理由の一つに、火属性魔法の使い手というのがある。

基本的に狩りは近くの森で行われるらしいが、火魔法は火事を起こす危険性があるとか。


「ぼ、僕が水魔法使いになりゅ……噛んじゃった」


「ふふ、セリスは優しい子ね。確かに水魔法使いがいれば、私の火も消せるかな」


「うん! もうすぐ、洗礼の儀があるよ!」


「そうね。でも、家にいるお陰でセリスを独りじめ出来るからいいわ」


そう言い、再びぎゅっとされる。

それも本心だろうけど、姉さんが領地の役に立ちたいことも知っている。

俺が今より幼い頃に、俺が言葉がわからないと思い独り言を言っていたから。


「僕も嬉しい! ねえねえ、魔法について教えて!」


「それじゃ、勉強のお時間ね。魔法は六属性あります、それは何かしら?」


「えっと、風、水、火、土、光、闇です」


「正解。それがそのまま、一週間の呼び名になるわ」


一週間は六日で、光と闇が休みの日になる。

一ヶ月は30日、一年は12ヶ月だから年間360日。

この辺りも違和感は少なくて助かる。


「じゃあ、魔法はみんなが使える?」


「えっと、簡単な魔法なら適性さえあれば誰でも使える。そして一個は必ず適性がある。でも、実用性の高い魔法になると百人に一人くらい……?」


「あら、覚えてたのね……流石はセリス!」


「んぎゅ……」


くるちい……。

誰でも使える事は嬉しいけど、俺は実用性の高い魔法は使えるのかな?

やっぱり異世界転生したからには、魔法は使いたいよね。

そして冷蔵庫がない理由は、《《氷魔法が存在しないからだった》》。

電気とかではなく、魔石を使って火や風を起こして生活用品を補っているので冷やす魔法自体が存在しないからだろう。


「とりあえず、こんな感じかしら」


「ねえさん、ありがとう。僕も、早く外に出たい」


「まだ庭しか許可出てないから仕方ないわ」


この世界は医療が発展していないので、三歳までに死んでしまう子供が多い。

外には魔物や魔獣などの危険もあるので、それからお披露目や洗礼を受けるとか。

そもそも洗礼の儀の由来は、三歳まで成長できた祝いの儀らしい。


「外には何があるのかなぁ……」


「楽しいことがいっぱいあるわ。洗礼の儀が終わったら、私が領地を案内してあげる」


「約束!」


「ええ、約束ね」


そう言い、姉さんと指切りをする。


この時の俺は未来へのワクワクで胸がいっぱいだった。


でも、洗礼の儀で知ってしまう……この後、自分の家族に待ち受ける運命を。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ