準備完了
よし、これで条件は揃ったはず。
俺達は森に入り、いくつかの魔物を倒すことに成功する。
後で絶対に怒られるけど、それは甘んじて受け入れよう。
「ふぅ、ゴブリン程度で良かったぜ」
「そうね。それに兵士達が巡回をしてたから助かったわ」
「にいさん、ねえさん、ありがとう!」
確かに兵士さん達も手伝ってくれたが、三歳の俺がトドメを刺すことには懐疑的だった。
なので二人が母上を助けるためだと説得し、ゴブリンを弱らせることもやってくれた。
そこを俺が氷魔法でとどめを刺した形だ。
「へっ、気にすんな」
「ふふ、そうよ。それで、次は何をしたら良いの?」
「えっと、牛乳が必要になるんだ」
「んじゃ、俺が一つ走り行ってくるぜ」
「うん、お願い。そしたら、ねえさんは僕と一緒に果樹園に行こう」
そうして二手に分かれ、俺と姉さんは急いでイチゴを収穫する。
それを持って教会に戻ると兄さんと鉢合わせ、音に気づいたのか教会から父上が出てきた。
「ナンナ! セリス! ……泥だらけじゃないか」
「私達、森に入って魔物を倒したの」
「なっ——」
「お叱りは私が受けるわ」
「いや、オレが受ける」
「違うよ! 僕が無理を言ったの!」
「……とりあえず、聞かせなさい」
ひとまず、父上に手短に説明する。
すると、物凄く複雑な顔をした。
「怒って良いんだか、褒めて良いんだかわからん……だが、今は褒めておく。三人共、お母さんのためにありがとう」
「そんなの当たり前だわ」
「そうだぜ!」
「うん! 大事な家族だもん!」
「……あぁ、俺は良い家族を持った」
その後、ホルンも合流して教会の中に入る。
すると、マーリンさん女の子と一緒にやってきた。
「来たみたいですね。では、まずはお金の方を」
「私からはこれを」
「俺からは、これをお願いします」
二人がテーブルにお金を置くと、マーリンさんが目を見開く。
「まさか、こんな大金を用意するなんて……これならば足りないということはないでしょう」
「私の全財産を持ってきました」
「俺は民のおかげ……そして、息子のおかげで用意出来ました」
「僕のおかげ?」
「ああ、そうだ。民達に頼みにいったらな……セリスが開発した冷蔵庫のおかげで生活が楽になったと。本来なら高価なものなのに、こうしてただでくださったことに感謝していると。故に、皆が快くお金を貸してくれたよ」
……そっか、家族を破滅から救う役に立てたんだ。
これもモーリスさんのおかげだね。
「なるほど、良い領主一族のようですね。ですが、これが最低条件です。特例を認めるには、私を驚かせてください」
「セリス、いけるのか?」
「うん! 任せて!」
「頼りない父ですまん……」
「そんな事ないよ! ちちうえは領民に好かれてるもん!」
そもそも俺の発明だって、父上がきちんと市政を敷いていたからだ。
積み重ねてきた信頼と実績があったから、こんな子供の言う事を聞いてくれた。
後は、俺がこの人を驚かして……破滅フラグをぶっ壊すだけだ。




