魔力障害?
教会に向かいながら考える。
原因は何だ? 胃潰瘍? 結核? 食道癌?
ダメだ、俺の知識には医学的なものが少ない。
こんなことなら、前世できちんと勉強をしておくんだった。
「はぁ……はぁ……」
「奥様、しっかり……!」
「え、ええ、わかってるわ……ゴホッ」
そんなことを考えていると、前を走るホルンに追いつく。
ホルンはほぼ音を立てることなく、俊敏に動いて母上を抱きかかえている。
「ホルン!」
「旦那様は先に行って司祭様に説明を! 私はこれ以上、スピードはあげられませんので!」
「わかった! セリス! しっかり掴まってろ!」
そのままホルンを追い抜き、教会へと向かう。
そして俺に馬を見るように伝え、父上が教会へ飛び込む。
すると、すぐに司祭様がやってきた。
同時に、ホルンも追いつく。
「今すぐこちらに! 馬は使いの者が見ます!」
「ホルン、セリス、こっちだ!」
「うん!」
そのまま流れるように教会に入り、診察台の上に乗せる。
すぐにマイル司祭様が触診を始めた。
そういえば、この世界の医療はどうなんだろ?
「あの、ははうえは……?」
「これは……魔力の流れが乱れております」
「魔力の流れ?」
「セリス君にもわかるように言いますと……我々の身体には魔力が流れており、それが正常に流れていない状態です。その魔力が、身体を傷つけているのかと」
「魔力血行障害か……!」
血行障害……これは聞いたことある。
血の流れが悪くなることで起きる症状だ。
そっか、この世界には魔力障害もあるんだ。
「はい、その通りです。しかし、吐血をするような症状は……セシル様、貴女無理をしてましたね? ずっと、体調が悪かったのでしょう?」
「はぁ……はぁ……すみません」
その問いかけに、母上が静かに頷く。
そんな……どうして。
同じことを思ったのだろう、父上がすごい剣幕になった。
「ど、どうして言わない!? 最近は調子良さそうに……」
「ご、ごめんなさい……みんな楽しそうにしてるから、その負担になりたくなくて……」
「何を言う!? そんなことは……」
「でも、私に時間を取られちゃうわ……それにお金だって」
「……俺は馬鹿だ。君の変化にも気づけず、君がそういう女性だとわかっていたのに」
父上の言う通りだ。
母上はいつも優しくて、みんなを笑顔で見守っていた。
それが嬉しくて、俺達は……気づくこともないまま。
「ふふ、それなら頑張った甲斐があったわ……」
「……司祭様、妻は治るのでしょうか? お金なら、いくらでも払います……!」
「ダメよ、アラン……それは領地のお金……」
「私もそうしたいですが……ご存知の通り、私には簡単な治療しかできないのです」
これが運命? 母上が死ぬことは避けられない?
それにお金が用意できても、それは民の反感を買う。
それは破滅フラグを意味する……どうしたら良い?




