即席デザート
魔力も多少は上がったし、今ならできるはず。
何より、俺も食べたい。
「あのね、ちちうえ……」
「どうした?」
「このイチゴ、凍らせても良い?」
「なに? 保存用ということか? 欲しければ、また取りに来れば良い。毎日は無理だが、週に一回くらいなら……」
「ううん、そうじゃないんだ。これを冷やして食べるんだ」
「冷やして食べる……ふむ、やってみると良い」
父上達が見守る中、目の前にあるイチゴを見つめる。
イメージは、瞬間冷凍……いけるかな?
「フリーズ!」
「おおっ……少し白くなったな」
「まあ! 貴方、これ冷たくて硬いわ!」
「むっ、ほんとだな」
ほっ、どうやら上手くいったかな。
後は味と食感がどうなってるか。
「なあなあ! オレにも!」
「私も触りたいわ!」
「ほれ、触ってみなさい。セリス、人数分を凍らせられるか? 皆で味見がしたい」
「うん! この魔力量なら平気!」
魔法を使いなれてきたからか、どれくらいで限界かはわかってきた。
これくらいなら、問題はない。
感覚的には、もう少ししたら白いふわふわの氷も作れそう。
人数分を凍らしたら、全員で試食タイムです。
「シャク……シャクシャク」
「シャクシャク……」
皆が言葉も発さず、シャクシャクという小気味良い音だけが残る。
俺自身も、予想はしていたけど……その旨さに驚いていた。
凍らせたことにより甘みは減ったけど、それが逆にスッキリした甘さになっている。
「セリス、美味いぞ……!」
「ほんとだわ……食後とかにあったら素敵だわ」
「ん〜! 頭が……でも美味しいわ」
「これ、キーンとするな!」
「あんまり食べすぎると良くないからね」
確か余分に脂肪を摂取してしまったり、そもそも身体を冷やしすぎは良くない。
とにかく、これで日持ちに関しては解決するはず。
「そんな知識を何処で……」
「ちちうえ? 何か言いました?」
「いや、なんでもない。ともかく、これで冷凍保存が可能ということか」
「うん! でも、解凍させる際に糖分が抜けてフレッシュなイチゴはここに来ないと食べられないかな……」
確かびちゃびちゃになって、元のイチゴには戻らないとか。
このあたりが、肉とか魚とは違うからなぁ。
すると、母上が手をポンと叩く。
「でも、それならそれで良いかもしれないわ」
「どうしてですか?」
「だって、それを食べた人は……本物を食べたくなるんじゃない?」
「あっ……確かに。そっか、そしたら領地に人が来る」
「うむ、その通りだ。そして人が来れば、使用人達も集まるだろう」
よしよし、少しは役に立てた。
これを応用すればアイスとかかき氷とか、ジュースなんかにしても良いね。
なんだが、最近は順調で良い感じ。
少しずつ、破滅回避に近づいていると良いな。




