いちご狩り
朝ごはんを食べたら、急いで着替える。
そして初の、家族全員揃ってのお出かけだ。
外に出ると天使も良く、まさにお出かけ日和である。
「晴れて良かったです!」
「ああ、そうだな」
「ちちうえ、そういえば何処に行くんですか?」
「果樹園に行って果物を採ろうかと思ってる。まだ、セリスを連れて行ってないからな」
果樹園……そういえば、アレを作るのに必要だよね。
まだ魔力が足りないけど、材料だけは欲しいな。
それこそ、冷凍していいし。
「でも、危なくない?」
「ガルムの件か。いや、あんなことは滅多におこらん。何より、今回はホルンがいるので問題ない」
「お任せください」
そのホルンだが、いつもの無表情。
だけど心なしか、やる気が燃えているように見える。
「どういうこと?」
「ホルンはな……単純な戦闘力は俺より強いのだ。何より、その耳と嗅覚は飛び抜けている。もし危険が迫るとしても、事前にわかるということだ」
「そうなんだ。ホルン、よろしくね!」
「ええ、セリス様。二度と、あんなことがないように」
そういえば、ホルンってキャラいたっけ?
俺の知る限り、そんなキャラはいなかった気がするけど……まあ、俺もうろ覚えだしね。
その後、のんびり歩いて果樹園に到着する。
そこには色とりどりの果実が実っていた。
「わぁ……綺麗です!」
「そう言ってもらえると手入れしてる甲斐があるな」
「へっ? これってちちうえが?」
「正確には俺とセシルだがな。領地の目玉としたくて二人でコツコツとやってきたのだ」
なるほど、既に名産みたいなものはあったと。
だったら、これを応用するのはとても良いことかも。
ただ、今はそれよりも……。
「あの! 僕、採ってみたい!」
「ふっ、セリスはまだまだ子供だぜ」
「ふふ、そうよね」
「ははっ、そういうと思ったさ。おかしいな……初めて連れてきたとき、キュアンとナンナも同じことを言ったが」
俺が視線を向けると、兄さんと姉さんが気まずそうに目をそらす。
それを見て、母上がクスクスと微笑む。
ただそれだけなのになんだか楽しくなる……はるか遠い記憶と共に。
その後はホルンと母上は果樹園が眺められるテーブルに行き、俺達三人は父上と共にビニールシートの中に。
「この大きいのはイチゴ?」
「よく知ってるな。この辺りの土壌だと、良く成長するんだ」
ゲームを基にしてるからか、見慣れた食材があるのは助かる。
ただ土壌が良いとはいえ、野球ボールくらいの大きさがあるのは驚いたけど。
「僕、イチゴが食べたいです!」
「じゃあ、まずはキュアンがお手本を見せてやれ」
「うぇ!? オレかよ……よし」
兄さんが採ろうとして……ブチュっと音がする。
はい、どう見ても潰れました。
どうやら、見た目以上に柔らかいらしい。
「げげっ!?」
「はぁ……やはり、お前は力加減を覚えなくてはな」
「相変わらずの馬鹿力ね。ほら、私がお手本を見せてあげる」
姉さんは期待通り、プチッと綺麗に採る。
それを見て、兄さんはわかりやすく悔しそうだった。
「ぐぬぬ……」
「ふふ、どんなもんよ。セリス、掌に包み込んで優しく引っ張ってあげると良いわ」
「うん! やってみる!」
言われた通りに掌で包み引っ張ると、プチッという良い音がした。
「出来ました!」
「あら! 上手!」
「いやいや、セリスは器用だな」
「……セリス! よく見てろよ!」
「「「あっ」」」
兄さんが再び挑戦するが……完全に潰れて顔にかかる。
それを見て、俺達は笑い合うのでした。




