自覚なし
一週間ほど経ち、今のところ色々と順調だ。
俺の魔力は上がってきたので、魔石に込められる氷も増えてきた。
冷蔵庫はモーリスさんが試作品を作り、すぐにでも簡易的なものなら作れそう。
何より嬉しいのは、母上の具合が良いことだ。
今も縁側で俺を膝に乗せて、姉さんと兄さんの組手を眺めている。
「ははうえ、体調は大丈夫ですか?」
「平気よ。調子が良くて怖いくらい」
「えへへ、よかったです」
母上は力こぶを作って元気な様子。
でも、まだ油断は禁物だ。
何が起きても良いように、準備はしておかないと。
すると、家の中から父上とホルンがやってくる。
「アラン、ホルン、お疲れ様」
「ああ、ありがとう……どうだろうか? 明日辺り、みんなでお出かけでもしないか?」
「わぁ……行きたいです!」
個別にはあるけど、全員でお出かけはまだない。
それこそ、お弁当とか食べたい。
「素敵だわ。でも、お仕事は平気?」
「ふっ、家族のために明日の分は今日中に終わらせるさ」
「アランったら……よーし、私も手伝うわ」
「おいおい、無理をするな」
「私だって家族ですもの。大丈夫、最近体調はいいから」
「全く、君は言い出したら聞かないからなぁ……」
母上と父上がいい雰囲気を醸し出していると、兄さんと姉さんもやってくる。
「聞こえたぜ! オレも行きたい!」
「……まあ、それには同意するわ」
「それじゃあ、二人も明日の分の課題を終わらせなければな」
「私は余裕よ。もう、ほとんど終わってるもの」
「うげぇ……まだ、なんもやってねぇ」
相変わらず、対照的な二人である。
というか、まだお昼前なのにほとんど終わってる姉さんが凄すぎる。
何やら、最近はやる気が違う気がするけど……なんでだろ。
「ちょっとアンタ、何も手をつけてないのに鍛錬してたわけ?」
「し、仕方ないだろ! 息が詰まったんだよ!」
「はぁ……情けない。あの時の意気込みはどこに行ったかしら」
「ぐぬぬ……それに、母上が縁側にいたから」
……兄さんも寂しかったのか。
自分だけが部屋にいたらそうだよね。
「それなら仕方ないわね。いいわ、私が手伝ってあげる」
「……へっ? ほ、本当か?」
「アンタだけ置いて行ったら気分悪いし……まあ、別に私はどっちでもいいけど」
「た、頼む! 手伝ってくれ!」
「それなら、お昼前に少しでも進めるわよ」
そうして姉さんが兄さんの手を引き、自分の部屋へと向かう。
すると、父上達がクスクスと笑っていた。
「どうしたの?」
「いや、セリスのおかげで二人ともやる気だなと」
「お兄ちゃんとお姉ちゃんですもの。セリス、うちに生まれてきてくれてありがとう」
「お前のおかげで、うちは幸せだな」
そして、二人が俺の頭を撫でる。
良くわからないけど、みんなが幸せそうだから良いや。




