お披露目
それから更に1週間後、俺のお披露目会が開かれることに。
母上の体調も良い日が続き、そのタイミングでとのことだ。
領内にある広場にて、人々が集められる。
領主である父上がお立ち台で演説する中、俺は兄さんと一緒に近くにある木の陰から覗く。
「わぁ……人がいっぱい」
「おい、顔を出すなって」
「はーい」
兄さんに首根っこを掴まれ、草むらに隠れる。
予定では呼ばれたら、兄さんに連れられて出て行くのだ。
「まあ、無理もないか」
「あれで全部? 何人くらいいるんだろ?」
「流石に全部は無理だろ。大体、五百人くらいじゃね?」
「そっか、お仕事してる人達もいるよね」
そんな会話をしていると、お立ち台の近くにいる姉さんが目配せをする。
それは合図なので、兄さんと手を繋がれて広場へと出て行く。
俺は領民の心を掴むため、背筋をしっかり伸ばして前を向いた。
俺の印象をあげる=それは領主一族のイメージアップだから。
「あれがセリス様か」
「可愛らしいけど、きちんと前を見て歩いてるわ」
「あのキュアン様がお兄さんらしくなったものだ」
よしよし、少しでもイメージをあげないと
この後の予定を考えつつ、お立ち台に上がる。
俺は父上の前に立ち、一番後ろには姉さんと兄さんがつく。
そこからはホルンに付き添われた母さんの姿も見えた。
「皆の者、今日はセリスのために集まってくれて感謝する。皆の協力もあり、こうして三歳のお披露目を執り行うことができた……セリス、挨拶をしなさい」
「はい! 皆さん、ただ今ご紹介にあずかりましたセリスと申します。本日は、僕のためにお時間を割いて集まって頂き感謝いたします。まだまだ未熟者ですが、父上のような立派な男になりたいと思います」
すると、シーンと静まり返ってしまう。
あれ? 何か変なこと言ったかな?
「す、すげー! しっかりした子だ!」
「敬語も使えてるし、呂律もしっかりしてるわ!」
「三歳できちんと挨拶できるなんて天才児か!?」
いや、確かに言葉遣いには気をつけたけど。
……そういや、同い年くらいの子供知らない。
でも貴族とかの子供って、小さい頃から敬語使えたりするかなって。
ふと顔を上げると、父上が驚愕の表情を浮かべていた。
「ち、ちちうえ? 変だったかな?」
「コホン……いや、よくやったな。ただ、あまり流暢でびっくりしたぞ。とりあえず、本題に入るか?」
「はい、お願いします」
「さて、皆の者……この聡明なセリスだが、特別な力も持っている。それを使い、とある試作品を開発させた。まずは、今から配る物を飲んで欲しい」
すると畑仕事を訪問する際に知り合った方々が、人々にコップを配っていく。
それを人々が飲み、同じような反応を見せる。
「つ、冷たい!?」
「ただの水なのに美味しい……!」
「それは氷という特殊な物で出来ており、それをセリスは精製することが可能なのだ。そして、それを応用して……《《冷蔵庫》》なるものを作る! 食材を冷やすことができれば、食材が長持ちする!」
一瞬静まり……その言葉を理解した領民達が騒ぎ出す。
そう、暖かい大陸ではあるが涼しい時期もある。
その時に食材の傷みが遅いことは理解しているはず。
冷蔵庫があれば、食材のロスは確実に減るということ。
それはつまり、食事事情の改善に繋がるということだ。




