一歩前進
ドワーフのモーリス、それは作中においての重要人物の一人。
土魔法と武器防具を作ることを得意とし、主人公達を導く大人の一人だ。
彼のおかげで反乱軍は勢いを増していったはず。
でも、どうして父上達を裏切って反乱軍についたんだろ?
そんなことを考えていると、目の前にモーリスさんの顔があった。
「うわっ!?」
「何じゃ、びっくりしおって」
「ご、ごめんなさい……えっと、セリスっていいます!」
いけないいけない、今は後にしなきゃ。
どちらにしろ、俺はこの人を味方につけなきゃ。
すると、モーリスさんの険しい顔から一転し……ニカッと笑う。
「そうか、セシルに似て賢そうな顔つきじゃな」
「それだと、まるで俺が賢くないみたいな言い方だな」
「ふんっ、そう言っておる。お前という奴は、いつだって猪突猛進じゃからな」
「否定できないわ。モーリスを連れてくるのだって、物凄く強引だったし」
「全くじゃわい。いきなり店にやってきて、自分の領地に来て欲しいとか言う始末」
「だァァァ! 悪かったって!」
その姿はめちゃくちゃ気安い感じだ。
とてもじゃないが、父上達を裏切るようには見えない。
「え、えっと……」
「おっと、すまん。モーリス、セリスがお願いがあるらしい」
「ワシにか? ……セシルの息子だ、話くらいは聞いてやる」
「ありがとうございます!」
「……腑に落ちないが。とりあえず、中に入るぞ。セシルを座らせたいのでな」
「それには同意じゃ」
そうして中に入ると、殺風景な部屋だった。
家具も最小限で、こじんまりとしている。
ただ綺麗なソファーがあったので、俺と母上はそこに並んで座る。
父上とモーリスさんは椅子を持ってきて近くに座った。
「それで、ワシに何の用じゃ?」
「相変わらずせっかちな奴だ」
「うるさいわい。ワシはこの小僧に聞いてるから邪魔するでない」
「わかったよ。セリス、こんなんだが俺の信頼する男だ。例の話もしていいし、好きに言ってみなさい」
「はい! あ、あの! 作って欲しい物があるんです!」
「ふむ、聞くだけ聞こう」
俺は拙い説明で、どうにか伝えようとする。
何せ俺は技術畑の人間ではないので、仕組みとかはよくわからない。
でも作ることに特化したドワーフなら、もしかしたらわかってくれると信じて。
「よく分からんが、まずは現物を見せろ。それをするには、お主の能力がいるのだろう?」
「は、はい……氷よ」
「ほう……これが氷……ふむふむ……これを魔石に閉じ込めて……その力で冷やす……面白そうじゃな」
俺が精製した氷を触ったり、じっくりと観察する。
というか、驚いたりしないんだ。
いや、それ自体には興味がないんだ……だって、めちゃくちゃ楽しそう。
「それで、これを使って小さな保冷庫を作りたいのだな?」
「は、はい! できますか?」
「ふんっ、ワシを誰だと思ってる? ドワーフ一の作り手と言われた男じゃ。例え子供が考えた物でも、きちんとしたものにしてみせよう」
「わぁ……ありがとうございます!」
よし、これで冷蔵庫もどきが作れるかもしれない。
俺の魔力を増やす方法もわかったし、後は量産できるように頑張ろっと。




