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悪役一家の末っ子に転生した俺、家族を守る為に破滅フラグをぶっ壊す  作者: おとら@9シリーズ商業化


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18/20

まずは一歩

それから数日後、俺は今更なことに気づく。


「……そういえば、これがゲームだとしてもまだ何かが起きる前って事だよね?」


俺の見ていたゲームでは兄さんや姉さんは二十代くらいの姿だった。

父上は今より老けこんでいて、無精髭なんかを生やしてたっけ。

そして主人公は十六歳の設定だった。


「つまり、俺と同じくらいの可能性があるね」


破滅要素である主人公の発見は必要だ。

よしよし、自分と同じくらいの子供ならそんなに数も多くないはず。

とにかく何かイベントが起きる前に、こっちから見つけないとね。


「とりあえず、今は勉強っと」


わかったのは、帝国や共和国の名前がゲームと一致している事。

世界観や、魔獣や魔物の種類なども一致してる。

記憶はおぼろげだけど、文字を見たら思い出してきた。

俺はメモを取りつつ、必死に当時の記憶を頼りに確信を得ていく……この世界が、俺の知るゲームの世界なのだと。

どれくらい集中していたのか、ふと横を見るとホルンがいた。


「あっ、いつの間に」


「随分と集中していましたね。そのメモ書きはとても良いかと」


「うん、覚えるかなって。あのさ、領内にいる僕と同じくらいの子供の数とかってわかる?」


「申し訳ありません。そもそも、住民が何人いるかも把握してないかと。お友達でも欲しいのでしょうか?」


……そっか! そもそも前の世界とは常識か違う!

貴族ならまだしも、戸籍なんかは平民にはないかも。

そうなると、探すのは苦労しそうだ。

やっぱり、領民全体を救う方にした方が良さそうだ。


「そ、そう! そんな感じ!」


「しかし、貴族の子息は領主様一家くらいですし……一応、旦那様には言っておきますね」


「う、うん、よろしく」


そして勉強を終えたら、俺は父上と出かける。

目的地は、農作業をしている領民たちのところだ。

馬に乗って移動し、10分程度で到着する。

そしたら馬から降りて、コップに氷と水を入れて領民たちのところに向かう。

すると、領民たちがすぐに駆け寄ってきた。


「これは領主様!」


「休憩中、済まんな。この間言った通り、息子のセリスを連れてきた。悪いが、付き合ってやってくれ」


「いえいえ! なんでも、我々のために何か考えてくださったとか。セリス様、ありがとうございます」


「ううん、こちらこそ時間をくれてありがとうございます」


みんな、自然な笑顔で対応してくれている。

何をするかは伝えてないし、普通ならこんな子供の言うことを聞くのは面倒なはず。

これも、父上がきちんと善政を敷いている証拠だよね。

……こんな父上を、飲んだくれ悪徳領主にしてなるものか。


「これはこれは、流石は領主様の息子さんだ。それで、我々はなにをすれば?」


「えっと、朝から働いているので喉が渇いているはずです。とりあえず、これを飲んでください」


「水ですか? 何やら白い物が浮いていますが……」


「これはセリスの氷魔法によって作られたものだ。安全は、俺が保証しよう」


「氷ですかい? ……いえ、領主様が言うなら平気ですね。では、まずは私が……ごく……ごくごくごく」


恐る恐る口にしたが、途中から目の色が変わり一気に飲み干してしまう。


「プハッ……これは美味いです」


「ふふ、そうだろ」


「よかったです。ただ、一気に飲むと体に悪いですからね。下痢になったり、体を冷やしてしまうので」


「なるほど……流石は領主様のご子息だ、随分と賢いですな」


「あ、ああ……」


その後、他の人々にも氷水を飲んでもらう。

すると、皆が息を吹き返すように目を輝かせた。


「うめぇぇえ!」


「ただの水なのに!」


「もう一杯ください!」


よしよし、つかみはオッケーだ。

しかし、本題はここからである。

皆が満足するまで飲んだら商談開始だ。


「それで、この氷を売ったら買ってくれますか?」


「そうですなぁ……値段にもよるかと。しかし、貴重な魔法を使っているので高いでしょうし」


「いえ、そこは安くするつもりです。それこそ、鉄貨幣一枚くらいかなって。一応、二、三杯はいけるはずです」


調べたところこの国は貨幣制度。

前の世界に例えるなら鉄(十円)、銅(百円)、鋼(千円)、銀(一万円)、金(十万円)、白銀(百万円)みたいな感じだ。

大人たちの給料を聞いたところ、月に銀貨四枚程度と聞いてるから問題はなさそう。


「ふむふむ、それくらいなら良いですな。数人で分けてもいいですし」


「ほんとですか? 貴重な意見ありがとうございます。お礼に、今日はもう一杯サービスにしておきますね」


「こりゃ、助かります。では、皆にも知らせておきます……いや、待ってください。確か魔石がいくつか……これをあげますんで」


そう言い、ちいさな魔石を俺に手渡す。

おそらく、ゴブリン程度の魔石だろう。

ゴブリンは畑を荒らしに来たり、人を狙って領内に迷い込むとか。

畑で働く彼らは、ゴブリンくらいなら倒せるのでその魔石かな。


「えっ? ……ちちうえ、良いのかな?」


「ああ、貰っておくといい。それは、領民がお前に対する礼なのだから。その代わり、お前はそれに応えてやればいい」


「……うん! この魔法を使ってみんなの役にたつよ!」


力強く、頂いた魔石を握り締める。


そして、これに詰める氷魔法を考えるのだった。

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