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悪役一家の末っ子に転生した俺、家族を守る為に破滅フラグをぶっ壊す  作者: おとら@9シリーズ商業化


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直談判

さらに翌日、朝食を済ませたらホルンに本を読んでもらう。


母上は寝ているし、兄さんや姉さんは忙しいみたい。


なんでも、兄さんは姉さんに勉強を教わっているとか……槍でも降るのかな?


「うーん……」


「退屈ですか? すみません、私が相手で」


「ち、違うよ! ホルンがどうとかじゃなくて、もっと難しい本が良いなって」


読んでもらっているのは子供向けの絵本だ。

最初は異国の物語って感じで面白かったけど、言葉や文字は最初からわかっていたのですぐに飽きてしまう。

何より、今の俺に必要なのは架空の物語じゃない。


「確かに、セリス様は字も読めてますし……読む量も多いですから」


「うん。だから、もう少し難しい本が読みたいんだ」


「そうなると、旦那様の許可が必要ですね。では、聞いてみましょう」


ホルン連れて部屋を出て、一階の一番奥にある父上の部屋に向かう。

ここは各部屋から少し離れていて、父上が集中できる仕事場でもある。


「旦那様、お仕事中申し訳ございません。どうやら、セリス様が用があるそうです」


「わかった、入るといい」


許可が出たので、中に入る。

そこにはテーブルと椅子、そして本棚がずらりと並んでいた。

とにかく、今の俺には知識がなさすぎる。

戦いは無理でも、知識なら今のうちからでも覚えられる。


「セリス、どうした? ここは仕事部屋だぞ?」


「ごめんなさい! でも、ちちうえにお願いがあって……一つはこの部屋にある本を読みたいなって思って」


「なに? しかし、ここにあるのは難しい本ばかりだぞ?」


「旦那様、セリス様は既に文字をお読みになれます。理解力もあるので、私などが補助すれば問題ないかと」


「そうか。では欲しいものがあったら言いなさい」


「ありがとうございます!」


よし、第一関門突破だ。

ただ、問題はここからだ。


「うむ。それで、一つはということは他にもあるのか?」


「えっと……僕の魔法で作った氷は売っても良いですか?」


そう、俺が考えた元手を用意する方法。

それは、氷そのものを売ることだ。

それなら魔石に入れる必要はない。


「……売るという意味はわかっているのか?」


「相手が欲しいものを売って、代わりにお金を得ることです!」


「お、おおっ……わかっているのか」


昨日の兄さんとの会話で、あんまり知識を晒すのは止めようかと思った。

でも思い直した……それで家族が破滅したら元も子もない。

それに、俺が変に思われるくらいで家族が救えるならいい。


「それで、ちちうえに試してほしくて……」


「……とりあえず、やってみなさい」


「うん!」


許可を得た俺は、近くにある水が入ったコップに氷を入れる。

そして、それを父上に渡す。


「飲んでみて!」


「どれどれ……ごくごく……冷たくて美味い。まるで、山水を飲んだかのようだ」


「でしょ!? あのね、昨日外に出て思ったんだ。暑かったし、外で作業している人たちは汗かいてた」


「うちは水魔石と風魔石と使ってある程度涼しくしているが、密室ではない外では難しい。これがあれば、作業をする者たちは喜ぶだろう」


「うん! そう思ったんだ!」


よしよし、感触は悪くない。

仕事後に冷たい飲み物飲むと、めちゃくちゃ美味いもんね。

ただの水でも、これでもかってくらい。

それに、まだまだ考えは沢山ある。


「なるほど……しかし、氷魔法か」


「何かまずいかな?」


「未だかつて、誰も使えなかった魔法だ。それを狙ってくる悪い者も現れるかもしれない。そもそも、お金を手に入れてどうする?」


「ははうえのために光魔法使いを雇えるかなって。あと、僕も領民の役に立ちたい」


すると、父上の顔が固まる。

そして、目頭を押さえて項垂れた。


「なんと……我が子供達は良い子に育った」


「そうですね。キュアン様もナンナ様も、同じように仰ってました」


「そうだな……なんて事はない。もしセリスを狙う者が現れるなら、俺達で守ってやれば良いだけの話だ」


「はい、その通りかと。微力ながらお手伝いさせて頂きます」


「僕もみんなを守るよ!」


「ああ、本来家族とはそういうものだな。よし、では具体的な話に移ろう」


そうして許可を得た俺は、思いつく限りを提案する。


父上とホルンはびっくりしていたけど、ひとまず話を聞いてくれた。


後は、明日から実行に移すだけである……家族を守るために。


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