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悪役一家の末っ子に転生した俺、家族を守る為に破滅フラグをぶっ壊す  作者: おとら@9シリーズ商業化


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15/20

兄さんとお出かけ

 翌日の朝、俺は早速行動を開始することにした。


 朝ごはんを食べた後、まずは父上に直談判する。


「ちちうえ! お願いがあるの!」


「そんなに意気込んで……早速鍛錬をするか?」


 父上の説得もあり、母上の許可は出たみたい。

 心配をされたけど、無理をしないことを約束した。


「それもあるけど……僕、街に出てみたい」


「しかし、すまんがお披露目はまだ先だ。セシルの具合が良くなってからにしようかと」


「うぅー……」


 お披露目をしてからじゃないと、俺は自由に歩いてはいけないとか。

 でもははうえの容態を待っていたら、色々と手遅れになっちゃうかもしれない。

 破滅回避のために、まずは色々なことを知らないと。

 すると、ホルンに肩を借りて母上がリビングにやってきた。


「アラン、許可しましょう。セリスは、ずっと外に行きたがっていたし。幼い時に感じた経験は大事だし、私のことで貴重な時間を無駄にはさせたくないわ」


「ふむ……では、領内を見学することを許そう」


「わぁーい! ちちうえ、ははうえ、ありがとう!」


 母上の許可も出たので、俺は兄さんとホルンと一緒に出かけることに。

 父上は仕事、姉さんは母上の看病でお留守番だ。

 昨日兄さんと遊ぼうと決めたから、今回は兄さんに案内をお願いした。

 その際に、兄さんと姉さんの間で一悶着あったのは言わずもがなである。


「ぐぬぬ………」


「ははっ! オレの勝ちだな!」


「生意気ね!」


「いてぇ!? 何すんだよ!?」


 兄さん、学習しよう……また叩かれてるし。

 俺をどちらが案内するかで、先程揉めたばかりだというのに。

 やれやれ、ここは末っ子の出番ですねー。


「ねえさん、帰ってきたらあそぼ!」


「セリスったら! ふん……愚弟、セリスに救われたわね」


「愚弟いうなし」


「二人とも、僕の大好きなにいさんとねえさんです!」


「「……ふへへ」」


 すると、二人が照れ臭そうに頭をかく。

 おそらく破滅には、この二人の関係性も関わってくるはず。

 だったら、それを繋ぎ止めるのも俺の役目だよね。

 末っ子は末っ子で、大変なのです。

 家を出たら兄さんと手を繋ぎ、家からの一本道を歩いていく。


「へへっ、今日は俺が案内してやるからな」


「うん! それで、どこにいくの?」


「今日は、うちから一番近くにある商店街に連れて行くぞ。この付近に住んでいる人は、大体そこを利用してるんだぜ」


「ふんふん……楽しみです!」


 この付近では唯一商店街に行くと、そこには人が集まっていた。

 人族はもちろん、ホルンのような獣人族も何人か見かける。


「わぁ……人がいっぱいです!」


「だろ? これでも、大分人は増えたんだぜ。オレがお前くらいの時は、まだ全然人もいなかったし」


「どれくらいいるんです?」


「それは……すまん、わからん。ホルン、頼むわ」


「全体で千人程度でしょうか。それこそ、キュアン様が生まれた頃はまだ数百人程度の小さな規模でしたから。元々は放置されていた地域で、そこを旦那様が領主として赴任したのです」


「ふんふん、そうなんだ」


 なるほど、まだ領というよりは村とか町に近い規模か。

 十年経っても、それくらいしか増えないのか……いや、多分死亡率が高いんだ。

 この辺りも、後で勉強しよう。


「オ、オレだって……」


「にいさん?」


「な、なんでもない」


 なんだろ? ……にいさんの面目を潰しちゃったかな。

 でも、これは大事なことなんだよね。

 すると、ホルンが俺に軽くウインクをした。


「キュアン様、よろしければ種族の説明などをしてみては?」


「わぁ……聴きたいです!」


「し、仕方ねえな……人族、獣人族は知ってるな? その他にドワーフ族、エルフ族、竜人族がいるんだぜ」


「うちにもいるんですか?」


「エルフやドワーフは基本的に人里には来ないし、竜人はそもそも数が少ないからいないな。ただ、ドワーフ族なら一人だけいたはず」


 なるほど、種族や設定は俺の知ってるゲームと一緒だ。

 よしよし、一つずつ確かめていこう。

 そして商店街を見て回ると、イメージとしては下町の商店街って感じだ。


「みんなはここで買い物をしたり、集まったりしているな」


「あんまり僕と同じくらいの子はいなそう?」


「そうなんだよなぁ……病気や怪我もあるが、若い夫婦とかは他所に行ったり。あと子供が生まれて成長しても、大体が王都とか栄えてる場所に行っちまうみたいだぜ。申し訳ないが、うちには稼げるような場所も名産みたいなものないしな」


 ふむふむ、それが人口増加の妨げになってると。

 領地を栄させるには名産とか作れたらいいのかな。

 後は稼げるような場所か。

 そのまま歩くと、宝石みたいのが並んでいる屋台に来る。


「これが、魔石売り場だ」


「いっぱいあります! えっと、大きさが違う?」


「魔石の大きさによって、ある程度込められる魔法が決まるんだぜ」


「ふんふん……魔石の大きさは何で決まるの?」


「魔物の強さに比例するらしいぜ。例えばゴブリンなんかだと、生活魔法くらいしか入らないし、すぐに容量が足りなくなる」


 そっか、俺の氷魔法を入れるにしても魔石が必要か。

 魔石は魔物からしか手に入らないから、そもそも俺では無理だよね。

 誰かを雇ってもいいけど、結局お金がかかっちゃうや。

 ここで重要なのは、0から1を作り出すことだ。


「うーん……そうなると、稼ぐにはまずは元手を用意しなきゃ」


「む、難しい言葉知ってるな」


「へっ? え、えっと、ナンナねえさんとよく話すから」


 危ない危ない、つい漏れちゃった。

 三歳児だし、あんまり知りすぎてもおかしいよね。


「こりゃ、オレもうかうかしてられねえ」


「にいさん?」


「いや、なんでもない。それより、屋台でおやつでも買っていこうぜ」


「いいの!?」


「おうよ、オレが奢ってやる」


 そうして移動していると、人々が兄さんに親しげに話しかけてくる。

 その度に俺は紹介を受けて、歓迎された。

 そして屋台に行くと、おじさんが話しかけてくる。


「おっ! キュアン坊ちゃんじゃないですか!」


「おじさん、弟の前で坊ちゃんはよしてくれって。ほれ、挨拶しな」


「は、初めまして! セリス-トライデントです!」


「これはこれは、ご丁寧にありがとうございます。なるほど、キュアン坊ちゃんと違って賢そうだ」


「おいおい、そりゃないぜ」


「ははっ! 申し訳ありません!」


 やっぱり、兄さんは領民に好かれてるっぽい。

 ゲームの設定だと暴君とかいう感じで、横柄だったり気が短かったような。

 母上が死んでからそうなっちゃったのかな? それとも、何か違う要因?

 会計を終えたら、近くのベンチで三人で串焼きを食べる。


「ほら、食べな。ホルンもな」


「これはこれは、ありがとうございます」


「にいさん、ありがとう!」


「たまには兄貴らしいことしないとな」


 そう言い、照れ臭そうに微笑む。


 戦いも強いし、今みたいに領民の人にも好かれてる。


 きっと、父上のような立派な領主になれるよね。


 なら俺のすることは、それを支えることだ。




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