自分にできること
そうなるとやることは山積みである。
不幸中の幸いにして、母上の容体は最悪ではない。
とりあえずご飯は食べられるし、会話などもしっかりできる。
なら、その間に色々と考えなければならない。
「まずは母上が死ぬ運命にあり、それによって家族達も不幸になって……そして領地は荒れ、それが引き金で主人公達による反乱が起きるよね」
これを防ぐためには、母上を救えれば良い。
そうすれば家族も不幸にならないし、反乱も起きないはず。
そしたら主人公も別に探さなくても良いし。
「うん、話が簡略化されたぞ……いや待って」
この世界がゲームの世界だとしたら、そんなに簡単に設定を覆せるのかな?
それこそ、強制力とかあったり。
その場合母上は死んで、領地が荒れるに関係なく主人公による反乱が起きるとか。
「……ははうえが死ぬのは嫌だ」
なら今の俺にできることはなんだ?
まだ三歳で、少し魔法を使えるだけの俺が。
「そうだ、ねえさんは光魔法を使えたらって言ってた。でも、それを雇うためにはお金がかかる」
あの母上の性格上、無理をしてお金を用意したら嫌がるだろう。
そもそも、そんなことしたら領民にも負担が……それこそ、反乱が起きちゃう。
そんなことで救われたとしても、母上は喜ばないはず。
「じゃあ、ははうえが気にしないくらいのお金を稼げたら良い」
よし、考えがまとまってきた。
先にするべきことは、まずはお金を稼ぐことだ。
もしくは、領地を栄させる。
そしたら領民だって、最悪お金を出してくれるかもしれない。
「でも、そのためには何をしたら良いんだろ?」
スッキリしないなぁ……頭が痛くなってきた!
縁側でそんなことを考えていると、後ろから頭に手を置かれる。
振り返ると、父上が優しく微笑んでいた。
「セリス、唸ってどうした?」
「ちちうえ……あのね、僕も強くなりたい。だから、何か武器を教えてください」
「しかし、お前はまだ三歳だ。魔法はともかく、武器を扱うには早い」
「でも、僕も家族のために何かしたい……ははうえ、辛そう」
具体的に何をしたら良いのかはわからない。
俺は世界のことも知らなすぎたし、ゲーム内容も見ていたに過ぎない。
でも、じっとしてなんかいられない。
「お前に何かあったほうがお母さんは悲しいと思うがな」
「うん、わかってるよ……でも、このままじゃいけない気がするんだ」
「お前は不思議な夢を見て、それは実際に起こった……何か感じているのかもしれん。わかった、許可しよう」
「わぁーい! あっ……でも、ははうえ反対するよね」
「安心しろ。お父さんが、一緒に説得してやる……まあ、あとで怒られるがな」
そう言い、頬をかきながら苦笑する。
とにかく、やれることからやっていこう。
よーし! 明日から頑張るぞー!




