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悪役一家の末っ子に転生した俺、家族を守る為に破滅フラグをぶっ壊す  作者: おとら@9シリーズ商業化


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13/20

仮説

あれから1週間が過ぎ、俺は庭に出て魔法の鍛錬をしていた。


お相手は、当然ナンナ姉さんである。


「アイスボール!」


「ファイアーボール」


俺が氷の玉を放つ度に、姉さんが火の玉で相殺する。

これが最近の日課だ。

俺は単純に魔力総量を知りつつ底上げ、姉さんは威力調整の鍛錬を積む。

しばらく撃ち合うと、体が重くなってきた。


「はぁ、疲れたや」


「10発が限界ってところね」


「それってすごいの?」


「すごいわよ! 私だって、セリスくらいの時には3発くらいだったもの」


とりあえず、魔法の才能はありそうで安心だ。

だったら、この力をみんなのために役立てないと。

その後は縁側で、兄さんと父上の稽古を眺める。

ちなみに姉さんの要望で、俺は膝の上に乗せられています……逆らう権利はないのである。


「はっ!」


「甘い! そんな突きではゴブリンも殺せないぞ! 俺達を守るために強くなりたいのだろ!?」


「くっ……こうか!」


「そうだ! 体が小さければ体全体や腰を使え!」


それは、いつもより激しい稽古だった。

あの事件の後、兄さんが父上に頼み込んだらしい。

今度は、自分が家族を守ってみせると……俺も負けてられないや。


「そういえば、ゴブリンって?」


「まだ習ってないわよね。魔物の一種で、醜い姿をした生き物よ。ちなみにこの間見たガルムは魔獣っていうわ」


「魔物と魔獣……何が違うのかな?」


「良い質問ね。魔物は基本的に二足歩行の生き物、魔獣は四足歩行の生き物だと思って良いわ。でも一番の違いは、魔物は倒したら魔石という石になるの。魔獣は食料になったり、色々な素材になったりするわ」


なるほど、魔石か……うん、いかにもゲームっぽい。

魔物とかいるし、ああいう魔獣も沢山いるんだ。

まだ確定じゃないけど、やっぱりそうなのかな。


「魔石は何になるの?」


「魔法を込めることができるから、生活に役立つわ。この間火をつける時に見せたでしょ? あれはコンロに火魔石が内蔵してて、それでつけたのよ」


「わぁ……ねえさん、物知りです! ありがとう!」


「まあ! セリスったら素直なんだから!」


「んぎゅ……」


相変わらず、ナンナ姉さんはこれが好きみたいです。

しかし魔石かぁ……俺の氷魔法も使えるかな。

そしたら、冷蔵庫とか作れるかも。

すると、息を切らした兄さんがやってくる。


「悪かったな、素直じゃなくてよ」


「あら、よくわかったじゃない。アンタなんか、全然話を聞かないし」


「うるせえし。オレは魔法は苦手だし、武道を極めるから良いんだよ」


そう、兄さんは土適正があるけど魔法が苦手らしい。

何でも、放つことが出来ないとか。


「ふふん、セリスは魔法使えるもんねー? わたしと鍛錬しましょ」


「ずりーぞ! セリス、

お前も槍を覚えろって!」


「そんな野蛮なことさせるわけないでしょ!」


「んだよ! 槍、カッケーじゃん!」


……こっちも相変わらず喧嘩ばかりです。

父上も呆れて、後ろでため息をついてるし。


「これ、二人共。お母さんも寝てるから静かにな」


「あっ……ごめんなさい」


「そうだった……ごめん」


そう、ははうえは少し具合が悪いようで寝ている。

元々身体が弱かったところに、ガルムに襲われたからかと。

重い病気とかではないけど、ホルンが付きっ切りで看病をしていた。


「さて、俺はセシルの様子を見てくる。キュアン、お前は風呂を沸かしてくれ」


「わかった!」


「ナンナは引き続き、セリスをよろしくな」


「はーい。ふふ、役得だわ」


「ぐぬぬ……」


兄さんが悔しそうな顔で去っていく。

明日は兄さんと遊んであげようかな。

愛され末っ子も大変なのです。


「お母様、大丈夫かしら?」


「うん、心配」


実は俺が考えてる心配はみんなとは違う。

この一週間で俺は仮説を立てた。

まずはこの世界が俺の知るゲーム世界だと前提として。

でもそこに俺という存在はいなく、母上も死んでいる。


「ここには高明なお医者様もいないし……私が光魔法を使えたら」


「光魔法は回復?」


「ええ、そうよ。六属性の中で、唯一癒しの力を持つわ。ただ適性がある人が珍しいし、いたとしても教会とかに引き取られちゃうのよ。仮に頼んだとしたら、莫大な費用がかかるわ」


「そっかぁ……」


もしかしたら……母上は死ぬ運命にあるのかもしれない。

あそこで死ぬはずだったから、この先も具合が悪くなったり。

そして俺が生きている理由、それは本当は死産だったのでは?

そこに俺という魂が入りこみ、生まれたのがセリスだったとか。

だとしたら、俺は本当の家族じゃないのかな。


「よし、くよくよしてても仕方ないわね。わたしが勉強をして、王都にある良い学校に入る。そこで薬学の研究をしつつ、光魔法を使える人の伝手を探すわ」


「僕も頑張る! ははうえと家族を守るんだ!」


「もう、セリスってば良い子なんだから!」


「んぎゅ……」


そうだ、例え俺が本当の家族じゃなくても関係ない。


大事なのは俺がこの家族を大切に思っていること、みんなも俺を大事に思ってくれていること……それだけわかってれば良い。


この家族に破滅が降りかかるというなら、俺がそれをぶっ壊すまでだ。


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