表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
悪役一家の末っ子に転生した俺、家族を守る為に破滅フラグをぶっ壊す  作者: おとら@9シリーズ商業化


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

12/20

決心

……何やら遠くから聞こえてくる?


その言葉は『良くやった』と聞こえたような気がした。


「……ん」


「あなた! セリスが目を覚ましたわ!」


「なに!?」


目を開けると、そこには心配そうな今世の両親がいた。

そっか、さっきの声は……前世の両親の声だったんだ。

ろくな親孝行も出来なかったけど、少しは二人にとって誇れる息子になれたのかな。


「ちちうえ、ははうえ……僕は誇れる息子?」


「もちろんだ、お前の機転のおかげで救われたのだから」


「そうよ、セリス……当たり前じゃない。ありがとう、助けてくれて」


「そっか……えへへ」


前世では家族に守られてばかりだった。

そればかりか、みんなに顔向けできないような生活をしてた。

きっと、呆れてたに違いない。


「でも、あんまり無茶をするな。お前に何かあったら、俺達はそっちの方が悲しいのだから」


「そうよ。私達が生き残っても貴方が死んだらダメなんだから。もちろん、ナンナやキュアンにも言ったわ」


「お前達は生きているだけで良いのだ。たとえ、誇れる息子ではなくても」


「親なんて、子供が元気でいてくれたら良いのよ。もちろん、人様に迷惑をかけなければね」


「……うん、気をつけます」


もしかしたら、前世の両親や兄や姉も同じことを思ったのかな?

少なくとも、家族に顔向けを出来ないようなことはしなかったつもりだ。

だから、夢の中でも怒ってなかったとか……だと良いな。

すると、扉が勢いよく開く。


「「セリス!」」


「ねえさん、にいさん……」


「よ、よかった……」


「ったく、心配させやがって」


そして、二人に強く抱きしめられる。

目は真っ赤で、泣きはらした跡があった。

すると、二人の体がずり落ちた。


「すぅ……」


「ぐぁ……」


「あれ? 二人とも、寝ちゃった?」


「無理もあるまい。二人とも、ずっと看病をしていたからな。お前は二日間も寝ていたのだぞ?」


そんなに寝てたのか。

道理で、みんなが心配するわけだ。

姉さんと兄さんは父上に担がれ、俺の両隣に寝かされる。


「心配かけてごめんなさい……そういえば、あの後はどうなったの?」


「無事にガルムは倒せたが、お前は魔力枯渇によって倒れてしまったのだ」


「魔力枯渇……?」


「適正なしと出たから説明をしなかったが、魔力を使いすぎると倒れてしまうんだ。故に普通なら徐々に慣らしていき、自分の限界を知りつつ総量を増やしていく」


ふむふむ、MPがゼロになったらまずい感じか。

……そうだ、そもそも俺はどうして魔法が使えた?


「あの、僕の魔法って……」


「それは俺達が聞きたいくらいだ。一体、どうやって使った? 六属性以外の魔法……あれは何だ?」


「え、えっと……」


どうしよう? 聞くってことは氷がない世界ってこと?

そもそも、この世界はゲームの世界?

……ダメだ、判断材料が少なすぎる。


「アラン、そんな攻めるような口調で言ったら可哀想よ?」


「はっ……俺としたことが。すまんな、セリス」


「う、ううん……」


「それじゃ、お母さんが聞きます。セリスはどうして私達が危ないと思ったり、魔法が使えると思ったの? ゆっくりで良いから考えてくれると嬉しいな」


どうしよう? 前世の話なんかしても信じてもらえないよね?

ましてや、この世界がゲームの世界かもしれないなんて。

でも、一つだけ言えることがある。


「うんと……変な夢を見たんだ。ははうえに危機が迫ってることとか、お前にしかない力があるとか」


「なるほど……神託の類か?」


「もしくは予知夢ってことかしら? そういう話は聞いたことあるわ」


「そうだな、虫の知らせとも言われる。とにかく、理由はわからないがそういうことか」


どうやら、上手く誤魔化せたみたい。

でも、本当にどういうことなんだろ?

これは後で、じっくりと考えてみないと。


「とにかく、みんな無事だったから良いじゃない」


「それはそうだな。ただ、氷魔法か……」


「何かまずいの?」


「いや、不味いということはないが……ただ、今のところ秘密にしておこう」


「うん、わかった……もう一回寝ても良い?」


「話したら疲れたわよね。少ししたら起こすから、その時にみんなでご飯にしましょう」


そうして、二人が俺たち三人を残して部屋を出て行く。

両隣には、大切な姉さんと兄さん。

まだ三歳の俺を信じてくれた……嬉しかった。


「そして、ちちうえとははうえ……みんなを守りたい」


ひとまず、考えるのは後にする。


この世界は、俺の知るゲームだと思って行動しよう。


そして、もしそうなら……今度は俺が、大切な家族を守ってみせる。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ