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1:酒って人を変えるんだって

「蜉ゥ縺代※縺上l?」


 ドブ色の肌をした化物……ラミアは相対している一人の男に雄叫びを上げる。男はそれを冷めた目つきで眺めて腰に差してある()()を抜く。


 「逞帙>?∬ェー縺句勧縺代※縺上l」


 化物は赤黒い瞳をぎらつかせその長い腕を鞭のように振り回す。

 音を置き去りに切り込むその攻撃を前に男は……冷然と前に踏み込んだ。

 男は重心を低くしてゆっくりと軽いステップをふむ。化物のリーチの長い鞭が反発する磁石のように男をさけていく。…………いや、男が避けているのだ。


 頭上を狙った攻撃なら膝を少しだけ曲げ、横から向かってくる攻撃には鉈の刃を立てて怯ませる。


 傍からみれば怪物の一方的な攻勢に見えるだろう。

 しかし、数秒も経たずに男は化物の懐に刃を突き立てていた。


「縺ゅj縺後→縺?↑縲」


「うるせぇ。」

 

 紫色の血液が、男の灰色の髪を汚す。突き立てた鉈を下に振り下ろし、化物の(はらわた)を抉り出す。

 それでも化物は死なない。体の大切な要素を失った化物はプルプルと痙攣をして痛みに悶えている。

 ズタズタに千切れたもう長いとはいえない腕を必死にばたつかせ、あるはずも無い腑を探していた。


 男が初めて笑みを浮かべる。その笑みは嗜虐に満ちて……もはやどちらが化物かわからない。


 男は、今もモゾモゾと動いている化物から目を離して、今度は後ろから見物していた私に目を向ける。


「コイツを荷車に置いてくれ……大丈夫だ牙は抜いてある。」


 私は恐る恐る尋ねる。


「あの、締めたりとかはしないんですか?」

「これだから貴族上がりは……。今、締めたら魔石の鮮度が落ちるんだよ。」

「ですが、しかし……。」

「ああ、アンタもしかして()()を憐んでいるのか?」

「…………。」

 

 男は私の鎧に埋め込まれてある翠の魔石を皮肉げな目で見据える。私の父が刀礼祝いに贈ってくれた自慢の鎧だった……が今はすぐに脱ぎ捨てたくて仕方がなかった。


 (あの悍ましい化け物がこの鎧の…………。)


「ウプッ、ぉおええ゛。」

「きったねぇな、これで貴族か……俺でもなれそうだな。」

「貴方は、何も感じないのですか!?」

 男は笑みを深める。

「この()()相手に?笑わせんなよ。」


 (A級下位を雑魚だって!?)


 私は慌てて、汚してしまった鎧をマントで拭いて男に向き直った。


「カイロスの子アデルがここに申し上げる。貴公の太刀筋、天晴れであった!これはノリト共国の民全員の総意である。どうか我々王国騎士の一員として、ノリトの国と民を守護しては「お断りだ。」」


 男は先程の化け物を私の方になげつけ「餞別だ」と言い残すと暗い森の中に消えてしまった。


――――――――――――――


「フェルグス〜大出世だねぇ。」


 ギルド敷設の男臭い酒場の中、隣で座っていたエルギルが俺の肩を思いっきり叩く。

 流石は大斧使い、腕力が人間辞めている。相変わらず糞臭え熊の毛皮を頭から被っている。


 だが俺も今夜は十杯目……。痛みなどとうに感じない。


「あの騎士の麗人と毎日ズッコンバッコンじゃろ?いんや〜ワシも王都に住みテェな。」

 

 そう言って勝手に盛るのは60過ぎのエロジジイ……ロゴだ。下品に曲がった腰を前後に振らしてクソ汚ねぇ金歯をテカらせていた。


 「「「「なぁ今度こそ誘いを受けるんだろ?なぁ?」」」


 この馬鹿二人により、酒場は大いに騒がしくなった。


 酒場のネェちゃんたちはシュンとしている。強面店主のレーグルは無言で包丁を研ぎ始める。対して他のギルドのメンバーは「やったー!」肩を組んで歌っている。


「オメェら何回勘違いすれば気が済むんだよ……俺は蹴ったぞ?」


 喧しかった酒場が一気にしらける。最初に動いたのは店主のレーグルだった。俺に向かい合って抱擁を交わす。

 暑苦しい、胸毛が痒い、締め付け強すぎる、ワキガ臭い。

 目が血走ってやがる。店主は俺を見つめて。


 「愛してる♡」


「「「おォォォォォォォォ!!!!」」」

 辺りは歓声に包まれる。

「念願の告白が叶ったなぁマスター!鍛えてた甲斐があったぜ!」

「祝言はいつにする???」

 頬を赤くする店主。

「オメェらうるせぇぞ!俺がいつこんな魚臭え筋肉男が好みだと言ったんだ!」


 俺が慌てて水を差すと今度の標的が俺に変わった。


「送別会も祝言もなし、あるのは店の不味い安酒と、糞イケスカねぇフェルグスだけ……。」

 

 エルギルの言葉にギルド内全員が殺気立つ。


「ざけんな殺すぞ!」

「死ねぇフェルグス!」


 散々だ。こうなったら生意気な男共にフェルグス様の威厳を見せるっきゃねぇか。俺はカウンター席の上に立ち、周りのわからずや共を見渡す。やっぱ、どいつもこいつも愚か者ばっかだ。


「いい加減静かにしやがれお前ら!幾ら俺の財布の紐が緩いからってなんだ!レーグルもネェちゃん達も俺のこと金ズルとしか思ってねぇんだろ!それに、このドブ臭ぇ冒険者共!誰のお陰で安酒呑めてると思ってんだ。俺が何度お前達に奢ったことか……数えきれねぇよ!」


「「「…………。」」」


「おら、この町で一番景気がいいのは誰だ?」


「「「…………。」」」


「この町で一番強ぇ奴は誰だ?」


「「「…………。」」」


「ここが冒険者の町と呼ばれている理由(わけ)は?」


「「「…………。」」」


「俺だろうが!このフェルグス様だって言ってんだよ!何もかも俺のお陰。のくせオメェらの態度はなんだ!アホ面晒して酒、女、酒ェって……その辺で糞してる牛の方がまだ利口だ!」

 

 っへん言ってやった。俺を厄介払い出来ると思ったら大間違いだ!


そんな自己陶酔にはまっていたら、気づいた頃には、レーグルやエルギルにボコボコにされギルド横の牛糞置きに放り込まれていた。


 糞が口の中まで入り込んできた。


 「あークソッこんな店取り壊して畑にしてやる。」


 牛糞まみれの巾着の中を見るが案の定空っぽだ。俺は路地裏に溜まっているのであろうくそ()()どもに「次盗んだらオメェラのガキを売っぱらうぞ!」と大声で叫ぶ。


 こんなことならあの話に乗っていたらな……とおぼつかない足取りで糞まみれの体を引きずり俺はぼろ宿に帰っていった。







――――――――――――――――――


 ムカつく。


 ――――YOU LOSEと書かれた画面を前に歯ぎしりする。思えば俺にとっちゃ何もかもが負け続きだったかもしれない。


 頑張って中学受験に挑戦したけど……YOU LOSE。


 中学でサッカー部に入って全国を目指したが……YOU LOSE。


 高校で初めて好きな女の子が出来て彼女の理想に近づこうとしたが……YOU LOSE。


 そのまま就職しようとしたがまた……YOU LOSE。


さっきから親父のドアを叩く音がうるさい。あーもう働け、働けとかそんなのできないって早く気づいてほしいよね。


 もうやめにしようか。どうせこの先、生きていても負けが続くだけなら、死んだほうがましなんじゃないか…………まだ、ドアを叩いていやがる。ん?ニュースを見ろだって?


 「…………まじか。」


 そんな淡い夢は一滴の星により一瞬にして露散した。代わりに生まれたのは希望。


 親父を押しのけマンションの屋上に出て赤く光る星を見る。


 落ちてくる隕石を前に俺は涙を流し声を高らかにして願いを叫ぶ。


 「俺以外みんな死ね――――――!!!」


 こんなにでかい流れ星だ。願いなんて、一つや二つ叶えるのは造作のないことだろう。その確信が俺を初めて勝者へと変えた。


 


 

 ――――チートスキル『爆発』を所得しました。


 畠山 ノリスケを異世界へ転移。


 CODE:EARTHES 



 CIE:NORITO


 

どもーはじめましての方々ははじめまして。電大です。はっちゃけた小説書きたくて書きました。感想送ってくれると嬉しいです。絶対に返信します!!

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