7 能力や技術より人間性
排除したのは職員だけではない。
怪物と戦う探索者も選別していく。
能力は高くても問題を起こす者は多い。
それらを削っていく。
探索者における問題は、成果の横取りだ。
他の探索者が手にした成果を強奪したり。
暴力や騙しで他の探索者を下僕扱いしたりというのもある。
暴力団のような犯罪組織のようになって一般人を脅すような輩もいる。
警察なども下手に手を出せない。
レベルがそれなりに高く戦闘になれてる探索者は危険だ。
下手に手を出せば損害が大きくなる。
なので、そこそこ強くなった犯罪探索者は野放しに近い状態になってる。
こうした者達を転生者は潰していった。
方法は簡単。
怪物退治に出かけたところで潰すのだ。
超絶的な能力を持つ転生者には造作も無い。
未帰還・行方不明になる探索者が増大した。
それと同時に意外な事が起こった。
組合内や町の治安が良くなった。
問題を起こす輩が消えたのだから当然ではある。
このおかげで転生者もよく分かった。
悪人悪党は殺すに限る。
もちろん探索者の人数が減る。
その分、怪物退治に従事する人間も減る。
近隣をうろつく怪物が増加するかもと誰もが不安になった。
だが、そんな事は決して起こらなかった。
問題を起こしていた犯罪探索者はまともに仕事をしない。
怪物を倒してきた者達から成果を横取りしたり。
町の者達を脅して金品を手にしている者がほとんどだ。
怪物退治の実績など無い者ばかりだ。
そんな連中が消えたのだ。
怪物退治の成果に影響するわけがない。
むしろ、消えてくれた方が良い。
仕事の邪魔をする事がないからだ。
探索者は今まで以上にのびのびと怪物退治にいそしめるようになった。
成果を強奪される危険が無くなったのだから。
組合の方にも良い影響が出てくる。
怪物を倒して手にする魔力結晶が流れ込んでくるようになったからだ。
これらは今まで、横暴な犯罪探索者に横取りされていた。
そして、経験値として犯罪探索者が使っていた。
魔力結晶の魔力を取り込む事で人は強くなる。
レベルを上げることが出来る。
悪辣な探索者達はこの魔力結晶を強奪する事で自分を強化していた。
だから迂闊に手を出せないくらいに強くなっていった。
当然、そうして魔力結晶が使われるのだから、組合に売却される数が減る。
そうした滞りが無くなったので、以前よりも魔力結晶が持ち込まれる量が増えた。
組合に多くの魔力結晶が流れ込んでくる事で、取引量が増えた。
一つあたりの値段が今までと同じでも、扱う数が増えれば当然利益はあがる。
探索者の人数は減ったが、組合の利益は以前よりも増えた。
本来あるべき姿に戻ったと言う方が正解だろう。
今までは犯罪探索者のせいで取引できる量が減っていたのだから。
そうした損失を生み出す連中を処分した事で、損害が無くなったのだ。
まともな人間だけなら、確かな利益をあげられる。
それがはっきりとした。
「やっぱり、クズはいらないんだな」
世の中にはいてはいけない人間がいる。
そういう存在は即座に抹殺しなければならない。
生きてるだけでどこかで問題を起こすのだから。
追放してはいけない。
生きてどこかで問題を起こす。
復讐しにくる。
投獄してはいけない。
生かしておくために無駄な出費を強いられる。
確実に殺してこの世から消す。
転生してどこかで生まれるかもしれないが。
それまでは世の中平和だ。
それで構わなかった。
完璧な平和ではなくても、一時的であっても少しは世の中良くなるのだから。
何はなくとも、自分の身のまわりだけでもだ。
無駄な騒動が消えれば、それだけやりやすくなる。
新たに作った組合の運営。
それに無駄な労力をかけるわけにはいかないのだから。
「消してくか」
邪魔になるものは残さず。
そう決めた。
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