11 被害をひろげる理由はない
問題を起こす人間の排除。
発覚次第に殺処分。
これは好影響を組織にもたらす。
組織の問題で一番悩ましいのは人間だ。
問題を起こすのが人間なのだから当然だろう。
まともな人間なら問題は起こさない。
事故が起こる事は避けられないにしてもだ。
その事故だってまともな人間なら適切な対応・対処をしていく。
最善の結果にならなくても、少しはよい状態に戻そうとするだろう。
だが、問題を起こす人間にはこれがない。
問題が起こってもどうとも思わない。
それどころか、好んで問題を起こそうとする。
だからこういう人間をとにかく排除していった。
その為の手段には事欠かない。
なにせ危険と隣り合わせの探索者だ。
どこで何が起こっても「そういうもんだ」で終わってしまう。
もちろん選別はする。
誰彼かまわず処分するわけではないのだから。
その選別方法だが。
問題を起こす人間というのは分かりやすい。
無駄に騒動を起こすのだから目立つ。
すぐにナニカをやらかすから見つけやすい。
それを見て、即座に処分していく。
目立たずに裏に回る者も簡単に見つけられる。
転生者のもつ能力で考えや気持ちはすぐに見抜ける。
育てた探索者達の中にも、相手の性質や気質・考えを見抜く能力を持つようになった者もいる。
これらが問題を起こす者を即座に見つける。
見つけた問題発生源の人間は、屋外で殺処分をする。
危険が伴う探索者だ。
死亡したとて誰も問題にしない。
怪物との戦いで不幸にして死んだ事になる。
こうする事で組合にはまともな人間が残っていく。
気持ちも考えも態度も行動も普通の者が。
そういった者達はおかしな問題を起こす事はない。
怒鳴り声やかけ声のない穏やかな職場が作られていく。
怪物退治においては、功を焦らない堅実な探索がなされる。
組合においては滞ること無く業務が進められていく。
大きな功績をあげる事は無い。
だが、着実な成果が積み上がっていく。
時間が経つごとに結果が増えていく。
その結果が組合を大きく成長させていく。
そうなる土台を作り上げていく。
急がず慌てず。
大きな成果もないが、大きな損害もない。
死亡者は確かにいるが、それは消すべき問題発生源になる輩だけ。
もとより損害や損失には数えられていない。
仕事における無駄の省略でしかないのだから。
強さや能力は求めない。
誠実に仕事をこなす事を求める。
やれる仕事は手を抜かない。
手間を惜しまない。
無駄を減らして効率をあげられるようにする。
休むべき時にはしっかり休んでいく。
出来ない事はやらない。
自分の力量を超える事はしない。
準備が足りないなら手を出さない
仲良く出来ない者と協力したりしない。
これが出来る者を求めた。
これが出来る者だけを残した。
その結果、転生者の組合は大きく成長していく事になった。
人員も組合の建物も関連施設も大きくなった。
それだけではない。
業務内容が改善され、利益率が高くなった。
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