表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/16

情報屋兼暗殺者

 村田さんに情報のお願いをしてから3日後に連絡がきた。村田さんは公務員でさらに警察署のトップを守る身で忙しいのはわかるが、悠里のことを気にかけて頻繁に連絡をくれる。日本で生きる上で必要なもの、保険書や住民票の偽装などもしてくれているらしい。ちなみに、悠里は僕の兄弟の子供ということになっている。もともと兄弟はいないのだが、違う依頼の時にどうしても兄弟の存在が必要になったため、僕には一つ下に兄弟がいるということになっている。記録上、既に死んでいた僕の設定記録を有効的に利用できた。


「剣城様ですね。」


村田さんからの連絡には、『私は忙しくて行けないので代わりの者を使わせます。剣城様とは面識が少しある方ですし、何より奥様と関係の深い方なので問題はないと思います。』ということだった。


もちろん、警察関係者だろう。でも、琴乃と関係が深いというのが気になる。フリーの暗殺者だった琴乃と関係が深い人間となると、かなり怪しい。どんな奴が来るのかと少し緊張していたが、僕の名前を呼んだのは、つい最近任務であったばかりの女だった。


「あなたは・・・」


「先の任務の時にはお世話になりました。」


「警察関係者だったんですね。」


「はい。あの時は黙っていて、すいませんでした。」


「それはもう良いです。僕たちの監視のためだったでしょうから。立ち話もなんですから、座って話しましょうか。」


僕は彼女をつれて、近くにある年老いた喫茶店に入った。アイスコーヒーを二つ注文して、奥の席に座った。お互いにスーツ姿でいたので、会社の同僚かなんかにしか見えないだろう。逆にコソコソする方が目立つ。書類の内容なんて詳しく知りたいと思う一般の方は少ないだろうし。


「改めて、私は公安の諜報部所属。加藤真那と申します。」


「こちらこそ、剣城玲です。それより、そんな簡単に名前を出して良いのですか?」


公安、特に諜報部の人間は潜入捜査なども行うことがあるため、基本的には名前も姿も存在すらも隠していることが多い。その公安の諜報部員が簡単に名前を出して大丈夫なのか。


「はい。問題ないです。もとよりわたしたちには名前はないですし、加藤真那は、日常生活を送るための名前なので。」


この人たちは、普段一般市民を装って生きている。公安だと言うことを悟られないためと、後々処理しやすくするために。


「琴乃とはどういった関係ですか?」


「育った孤児院が一緒で、先に私が公安に引き取られ、そのあと彼女は別の組織に引き取られました。それ以降は連絡も取れず。しかし、彼女のことを公安は把握していました。あなたの暗殺の依頼を受けて、あなたと結婚するのは流石に驚きましたが。」


彼女はおもむろにカバンの中から、ターゲットの資料を出してきた。


「私の役割は、情報の供給です。必要なことがあれば、最後のページにあるアドレスに連絡をください。では。」


彼女は、頼んだアイスコーヒーが来る前に席を立ってしまった。


「アイスコーヒーは?」


「ああ。どうしましょう・・・」


「もう少しだけ話しませんか?琴乃のことも聞きたいですし。」


彼女は渋々僕の要求を飲んで席に座った。


「少しだけですよ。」


「ええ。それに、今度うちに来てください。琴乃が喜びそうですし。」


しばらくして、結露が沢山ついたアイスコーヒーが運ばれてきた。作っていて提供するのを忘れていたらしい。店主が高齢だから仕方ない。提供されたコーヒーは氷が溶けて少し薄かった。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ