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身辺調査

 撮影は順調に進んでいるみたいだ。料理の監修で呼ばれたが、もうすでに教えることがないくらい彼は料理に対して真摯に向き合ってくれている。僕が用意していた映画内で登場する料理はすでに作れるようになっていた。そうなると、自然に僕には時間ができるというもので、特にやることもない時は、スタッフの方のために材料を使って料理を振る舞うなどをしていた。それ以外の時間は基本的に、彼の身辺調査をしていた。盗聴器なども考えたが、バレるのはリスクが高すぎるのでやめた。新作の映画ということもあって、情報の流出にはかなり気を使っているみたいだったでの、誰でも徹底的に身体検査をするほどだった。面倒だが、直接関係者から聞くことが最善手なのかもしれない。

 僕が真っ先に接触したのは、彼のマネージャーさんだ。最も彼に近いところで見ているから当然だろう。彼女に接触して、話すことは案外楽だった。彼女が僕の料理を食べにきた時に、彼のことで相談があるというとすぐに時間を作ってくれた。


「何かうちの悠太郎変なところありましたか?」


「いいえ。特にはないのですが、かなり料理が上手なので、作品のためにも、もう少し料理を工夫してみようかなと思いまして。そのために、彼のこと少しだけ聞きたくて。ほら、まだ出会って時間も経ってないのでご本人に聞くのは少し踏み込みすぎかなと。マネージャーさんから見て、どんな性格なのかとか、何が好きなのかとか聞けたら嬉しいなと。」


「それって必要なことなんですか?」


「もちろん。例えば無理難題を言われると燃えるタイプだともう少しばかり難易度の高いものを提供しようかなと思ってます。それに飲み会に誘われてまして、その時に料理をすることになっているので、好きなものを聞けると嬉しいです。」


「そうでしたか。なら、私の知っていることならお話しします。」


 悠太郎。今回のターゲットは、スカウトされてこの世界に入ったらしい。最初は雑誌のモデル程度だったのだが、流暢な英語とさまざまな才能が目に留まり、いろいろなことを挑戦している最中だという。特に演技はピカイチで、事務所の社長も俳優という職を軸にして仕事をもらっている。彼は見たまま、性格も良く、誰でも気さくに話しかけ、留学の経験からか壁を作るということがない。今でも、頻繁に留学当時の友達とよく連絡をとっているらしい。特に怪しいところは見当たらない。


「そういえば・・・」


「何かありましたか?」


「私も、大学では英語を専攻していたので短期の留学経験があるのですが、聞いたことのない発音だったり、聞いたことのない単語を話してるところを見たことがあります。」


英語にも方言がある。独特の発音だったり、その地域特有の話し方があるらしいが、一般的な留学生が行くところにはそういった地域は少ない。彼のいった留学先はおそらくかなり治安の悪い地域なのかもしれない。


「彼が留学していた地域ってわかりますか?」


「さぁ、聞いたことなかったです。私から話しかけることもありませんし。」


「なぜです?」


「変な噂が立ったら困るからですね。それがうちの方針みたいなので。もう、よろしいですか?撮影も終わったみたいなので。」


「はい。ありがとうございます。」


彼の留学先を調べる必要が出てきた。早速僕は、村田さんに連絡をとって、彼の留学先について調べてもらうことにした。


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