第4話 侵入者 1
「!?」
祖父が帰ったので部屋に戻ると、人がいた。私の部屋には掃除の為に使用人が入ってくる時はあるが、基本的には誰も入ってこないので驚いた。
その人が振り返ると、私はもっと驚くことになった。そこにいたのは不思議な格好をした、とても美しい少年だった。女の子のショートカットの様な少し長めの黒い髪に青白く見えるくらいに白い肌、グレーの目。服装はファンタジーの創作物に出てくるような黒くて長いローブに銀色の帯というものだった。
格好も不思議だったが、もっと不思議なのは雰囲気。彼は微笑んでいるから親しみやすそうに見えるのに、同時にとても近寄りがたい感じがし、とても異質だった。
「僕は不思議に見える?」
私は沈黙で返し、逆に聞き返した。
「あなたは誰?」
「僕はこことは違う惑星の神だよ」
そんな事信じられるわけがない。でも彼が放つ強烈な異質さが、私に完全に否定する事を許さなかった。そして私はまずは話を聞いてから判断する事にした。
「君は愚かじゃないね。疑わしい事もまずは受け入れて確かめる。重要な事だよ。」
彼はまるで心が読めているかのように言った。もしかして本当に読めていたりして。
「その通り。僕は心が読める。」
「それを証明できる?」
「君の秘密を何か思い浮かべて見て。」
私は生まれることの無かった弟の名前の候補を思い浮かべた。両親と私しか知らない事だ。
結果、彼は見事に全て言い当てて見せたので、私は少しだけ信じてみる事にした。
◇◇◇◇◇◇
「あなたの要件は何?」
私が聞くと、彼は笑みを深め、こう答えた。
「君を連れ戻しに来たんだ。」
「それは、どういう事?」
一瞬意味が分からなかった。私にはこの地球以外の記憶なんてありはしないから。彼は別の惑星の神だと言った。この言葉を信じるならば、私は彼が住んでいる惑星の住人と言う事になる。地球人ではないという事に。
「君は取り替え子という言葉を知ってる?」
彼は意味深に笑った。