紅い約束ー今日の話ー
登場人物
愛坂守
愛坂夏希
あらすじ
家に帰って夕飯時、守は沙季との約束について考えていた。
しかし、夏希に注意され我に戻った守は夏希に事の説明をすり。
その日の夜、俺と夏希は共にテレビをつけながら夕食を食べていた。だが、テレビとかには目もくれず俺は沙季との約束を思い出すことに集中している。
「それでね、千秋ちゃんが......お兄ちゃん聞いてる......?」
俺はあの時何を約束したんだろうか、子供だけあって勢いで言ってしまった気もする。けど、今でも心に残っている大切なこと......
「うーん......痛っ!」
丸めた新聞紙が俺の頭に当たる。夏希が勢いよく俺に振ったのだ。
「まったくもう。何を考えるてるかはわからないけどさ、せっかくの夕飯時にボクを無視するのはやめてよね」
俺の悪い癖が発動してたようだ。一つの事に集中すると他のことに対応出来なくなってしまうのだ、それを夏希との食事時にしてしまうとは、俺と夏希にとって家での会話はかけがえのないもので、数少ない家族の会話なのに。
「悪かった、今日はちょっと色々あって......それで考えこんでたんだ」
夏希はため息をついている。
「それで、何を悩んでるの? ボクが話を聞くから言ってみてよ」
そう言われ俺は今日あったことを話す。
「沙季姉、帰ってきたんだ!! 明日ちゃんと会いに行かなきゃ」
夏希は嬉しそうにはしゃぐ。俺も夏希も当時の沙季は放っておけないぐらい泣き虫だったけど、その分好きだったからだな。
「まぁ、それはそれで。お兄ちゃんは沙季ちゃんとの約束を忘れてたと......」
夏希はジト目で俺を見てからため息をついた。
「約束を忘れてるって言うのは女の子にとっては凄くショックなことだと思うよ。それも、昔に約束した張本人が覚えてないんじゃなおさらだよ」
「いや、でもあとちょっとで思い出しそうなんだよ......」
「お兄ちゃんは乙女心分かってないな~、思い出すとかじゃなくて、覚えてるかが大切なことなんだよ。まぁ、ボクはどんなお兄ちゃんも好きだけどね!」
いや乙女心って......だが、夏希が言うならあながち間違ってない気もするのは何故だろうか。確かに、覚えてないってことを沙季の身になって考えると凄く辛いと思う。
「お兄ちゃんがあと少しで思い出せそうならさ。どうしてお兄ちゃんがその事を覚えてるのかって事を考えてみたらどうかな?」
どうして覚えているのか。約束の事を忘れて居なかった理由か......
「ありがとう、なんか大分参考になったし話してて楽になったよ」
俺は夏希の頭を撫でてやる、すごく嬉しそうな顔をしていてかわいいのでサービスでさらに撫でる。
「どうせなら、ハグしてくれた方がボク的には嬉しいんだけど」
「調子にのるな......」
軽くチョップしてやると『ひゃ』と嬉しそうな声を出してくる。夏希は俺にされることは大抵嬉しがるので、これもなんだかんだでサービスであり。俺にとってもご褒美である。
「ごちそうさまです!」
夏希は夕飯を食べ終わってもいないのにそんなことを言うのだった。
今回はおまけみたいな話です。
愛坂家の夕飯時の話です。
家族との話って凄く大切ですよね!